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消えない伝言板

まだ携帯電話がなかった時代。

陽子と友美が出会いは、小学校のクラブ活動だった。

陽子は放送部に所属し、毎週水曜日のお昼の校内放送で絵本の朗読を担当していた。

図書委員の友美は、陽子の放送で朗読する絵本を選んであげるのだ。



放課後の友美の下駄場には、陽子からの手紙が入っていた。


『いつもありがとう。
きょうのそうじのあと
おしえてほしいことが
あります』


陽子は次に朗読する絵本について、友美に尋ねて来ます。

「この絵本は、何を伝えたかったんだろう。」

二人は物語について語り合い、そして親友になった。

陽子は、友美が本好きだから図書委員になったのだと思っていた。

だが、ある日、その理由に気付く。

図書室の受付から見える中庭。

うさぎ小屋で世話をする飼育係の和彦を、友美はいつも静かに見つめていたのだ。

和彦は陽子の幼馴染だ。

高校に入学してすぐに、和彦の家に見慣れた自転車が停まっていた。

友美の赤い自転車は、夕立後の夕陽に照らせら茜色に輝いているように見えた。



陽子は胸が痛んだ。

陽子も和彦に想いを寄せていたからだ。それも、幼い頃から……ずっと。


友美と和彦は付き合うことになる。
陽子は笑って二人を祝福したが、内心は複雑だった。

当時、二人は駅の伝言板を待ち合わせによく使っていた。 


ある休日、友美は伝言板に白いチョークで書いた。

「先に並んでる。」

その様子を柱の陰から見ていた陽子は、二人が見つめ合う未来を想像した。

そして、ほんの出来心で、その一行を黒板消しで消してしまう。


そして、その日を境に二人は少しずつすれ違い、やがて別れてしまった。


それから歳月は流れ、人々は携帯電話で簡単に連絡を取り合えるようになり、駅の伝言板は姿を消した。

しかしあの駅だけは、レトロな駅として観光名所になり、伝言板がその残されていた。


友美は今も陽子の親友であり、
和彦もまた、幼馴染のままだ。

三人は顔を合わせれば笑い合う。


けれども、駅の掲示板の前を通る度、消せない過去に縛られるのだ。


片桐 みかん様のこちらの企画に参加させていただきました。⬇️

#3つのお題に空想のひらめきを

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