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風の眠る丘

八月の風には、亡くなった人の魂が乗っているという。

1年に1度だけ、大切な人のもとへ里帰りをするために…。

草原の花畑では朝露が花びらを包み込み、やがて朝の光が優しく差し込む。

その時、花たちは静かに目を覚ます。

黄色いニッコウキスゲは、空へ向かってトランペットを吹く🎺

白い小花を幾重にも咲かせたオカトラノオは、風に揺れてウインドチャイムを鳴らす🎵

紫色のウツボグサは、小気味よくリズムを刻むパーカッション🪇

赤紫、薄紫、白のホタルブクロは、小さなハンドベルを優しく響かせる🔔

ツユクサの葉は朝風を吸い込み、澄み切ったフルートの音色を奏でる🪈

そして、シダの葉は空気を撫でるように、静かなバイオリンを響かせる🎻

朝露は一粒ずつふわりと空へ舞い上がり、五線譜となって空いっぱいに広がっていく。

花々はその譜面を見ながら、それぞれの音を重ねていく。

風がテンポを刻み、朝の光が強弱をつける。

こうして生まれた珠玉の旋律は、風に乗り、シャボン玉のようにふわりふわりと飛んでいく🫧

魂たちが、みちに迷うことなく、大切な人のもとへ帰るための道標となる。

魂は家族のそばで数日を過ごす。

笑い声を聞き、仏壇の花に触れ、縁側の風鈴🎐を撫でる。

そして、眠ている家族の髪をそっと揺らし、誰にも気づかれないまま「元気でいてね」と語りかける。

そして風の眠る丘に戻る日。

その別れ際、世界でいちばん小さな奇跡を残していく。


庭の片隅に芽吹く名も知らぬ若葉。

道端でふと見つける一輪の花。

不意に家の中に紛れ込む昆虫🐞🪲だったり。

それは魂が置いていった、小さな希望の種。

目には見えなくても、その芽は家族の心の中で少しずつ育ち続ける。

八月の風は、どこか懐かしく、そして、とても優しい。

片桐みかんさんの企画に参加させていただきました。⏬

#3つのお題に空想のひらめきを
#風が眠る丘
#朝露のオーケストラ
#世界で一番小さな奇跡

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