虹を盗んだ猫
ある王国には、人が亡くなると虹の橋を渡り、その彼方へ旅立つという言い伝えがあった。
人々が流す涙がお日様の光を浴びると虹となり、魂はその橋をゆっくり渡っていくのだ。
ところがある日、一匹の猫が虹を盗んでしまった。

帰り道を失った魂たちは人々の心に留まり、深い悲しみとなった。
夜になると悲しみはさらに大きくなり、王国中にすすり泣きが響く。
その声で月は眠れなくなってしまった。

困った月は流れ星に手紙を託し、遠くの巨人へ助けを求めた。
巨人は王国の人気者だった。
ある日、巨人はたくさんの風船を持って現れた。
「悲しみをこの風船に預けてごらん」

人々が風船を空へ放つと、風船は七色に輝きながら高く昇っていった。
風船の中には行き場を失った魂たちが乗っていた。
そして空のどこかで、風船は一筋の光となって消えていった。
その様子を丘の上から見ていたのが、虹を盗んだ猫だった。
猫は初めて知った。
虹は美しいだけではなく、魂たちの帰り道だったことを。
胸を痛めた猫は隠していた虹を返した。
すると七色の風船たちは空でつながり合い、再び大きな虹の橋となった。
それ以来、魂は虹を渡って旅立ち、人々の悲しみも少しずつやわらいでいった。
そして猫は、虹の番人になった。
雨上がりの空に虹が架かるたび、そのそばには小さな猫の姿が見えるという。
片桐 みかん様の企画に参加させていただきました。⬇️
