天命を知る
はじめに
『子曰(のたま)わく、
吾十有五(じゅうゆうご)にして学に志し、
三十にして立ち、
四十にして惑わず、
五十にして天命を知る、
六十にして耳従(したが)う、
七十にして心の欲する所に従いて矩(のり)を踰(こ)えず』
とは、論語の中で語られている孔子のお言葉ですが、自分は30歳で独立してもなければ40歳以降も迷いまくりで、なんかもう偉い人の言葉との乖離が著しいなあ、などと思っていました。
最近、と言うか、ここ一年ぐらいずーっと悩んでいることがありまして、それは会社での仕事のこと。創作大賞2025に参加している間は少し気が紛れていたのですが、やっぱり悩みの種だったんですよね。
1.職場の現状
どう言う悩みかと言いますと……まあ、関係ない方には本当に取るに足らないことなのでしょうが、自分にとってはとても重要なことだったんです。私は今までずっと、ソフトウェアエンジニア、プログラマーとして仕事をしてきました。以前にも別の記事で書きましたがちょうど就職氷河期世代だったためか、それとも業種が製造業で、そのなかのソフトウェア開発部門だったからか後輩がなかなかできず、そんな状況の中で会社構成員、つまりは管理職になるかどうかの選択時にもエンジニアとして仕事を続けることを選びました。下がいなけりゃ管理もクソもないですし、自分にはソフトウェア開発の仕事が合っていて楽しいと思っていたので。
だから定年までずっと、第一線でプログラムを書き続けてソフトウェア開発していくと思っていましたし、周りの年上の同じ様なエンジニアの方を何人も見てきました。ソフトウェア開発関係の職種は、特にこういう人が多いのかもしれませんけど、管理職なんて面倒なことやるぐらいなら、開発していた方が楽しいですからね。
ところが数年前から状況が変わってきました。同じ部署内で部を移動したのもあるのですが、新入社員が毎年コンスタントに入社する様になりました。気がつくとチームは若手ばかりになり、そうなるとこの若手を指導する担当が必要になります。しかしですね、私と同じ世代ぐらいのメンバーは上記の通り、今まで下が入ってこずにずっと前線で戦ってきた様な人間ばかりなわけです。どっちかと言うと部長とか課長と同い年だったり年齢が近かったり。そして悪いことに部長や課長はソフトウェア関連の新技術に関しては専門外ときている。
そんな状況なので、
『ベテランが若手を指導する』
と言う方針が打ち出されたわけですが、自分の子供ぐらいの年齢差がある若手たちの中に混じって指導するのって、技術云々以前にそういうことができるかどうかと言う個人の資質に関わってくるわけです。10人近くいる若手たちは一部屋に集められていて、彼らと同じ部屋に出社し、日々若手に混じって会話を交わし指導する……それができる人間が自分しかいなかったんです。部長や課長ですら、その部屋にはあまり寄り付かない始末。
2.悩みごと
私はペット関係でネットを介して知り合ったお友達が結構いたからなのか、ここnoteでフォロワーさんとのお付き合いがあるからなのか、若手と話すことはあまり苦にならなかったし、自分の専門であるソフトウェア関係の説明をすることも別に問題なくできました。
ただ、心の中では葛藤があり、
そもそも、部下の指導や育成って管理職の仕事ではないのか? 一人や二人なら分かるけど、チーム全体を切り盛りするのって、それはもう1エンジニアの仕事の範疇を超えてるのでは?
「若手の仕事をつくる」ということは、つまり今までに自分でやっていた仕事を切り取って与えること。そしてそれを管理したりするのは、自分のやりたい仕事なのか?
ベテランって自分だけではないけど、結局自分一人で背負ってる現状はおかしくはないのか?
などなど、疑問と言うかある種の憤りもありました。またその一方で、
今、自分がこのポジションを外れたら、若手たちは司令塔を失い迷うのでは?
なんだかんだ言って、やれる人間が自分しかいないのであれば、諦めるしかないのか?
と言う思いもあります。私が入社したとき、ポンと仕事は与えられましたが、それに関して指導してくれる様な人はいませんでした。あれこれ調べたり勉強したりしてなんとか今までやってきましたが、仕事とはそういうものだと思っていましたし、
『お金をもらっている以上プロなんだから、それが当たり前』
と考えてガムシャラにやってきたので今がある自負があります。ただ、若手たち……『Z世代』と言われる彼らはそもそも受けてきた教育も違うし、大学や社会人になりたての頃のコロナ禍を経験して、特に人間関係については経験すべきことを経験できなかった世代でもあるんです。
まあ、だからと言って私がワンオペで彼らの面倒を見なければならない理由にはならないとは思いますが、技術の指導者がいるのといないのとでは、今後の彼らの人生に何かしら差が生まれる気がしています。
この二律背反する状況と思いこそが私の悩みであり、彼らのことはここでスッパリ切り捨てて、エンジニアとして今後も前線でやっていくのか、それとも自分のエンジニアとしてのキャリアはここで一旦スピードダウンさせてでも、彼ら、ひいては今後の会社(と、言うとオーバーですが、今まで部署でやってきた技術)の継続を重視して指導に重きを置くのか……この問題になかなか結論を出せずに、それでも若手の指導をやっている状況なのです(エンジニアとしてソフトウェア開発に未練たらたらってことですよ!😅)
3.スピリチュアルに走る
色々悩んでもなかなか自身を納得させるだけの答えが出ず、なんか自分に足りてない気がして久々にYoutubeで占いの動画を見てみたり。自分の星座、最近めっちゃいい! 星座に関わらず三択形式のタロット占いとか見ても、選んだ選択肢はどれも同じ様なことを言ってくれて、またその内容がめっちゃいい! これは!!……と思うこと二ヶ月ほど、一向に何かしらラッキなーことが起こるでもなく、まあ、占いなんてそんなものだな、と改めて解釈する程度。
あと、怪談動画にハマってみたり。最近は怪談系のYoutuberさんも沢山おられる様で、オススメは好井まさおさんの『怪談を浴びる会』と、怪談和尚こと三木大雲さんのチャンネル。いや、怖い話はまじ怖ぇ😱 そう言えば中学・高校の辺りはちょっとだけ霊感みたいなものがあったんだけど、どっか行っちゃったな。復活して欲しいとも思わないけど😅
そんなこんなでスピリチュアルな動画に浸ることしばし、『あなたの天命は……』みたいな動画がオススメに出てきて、ふと、最初の孔子のお言葉を思い出したわけです。スピリチュアルも捨てたもんじゃないな。
4.天命とは
スピリチュアルな方に出てくる『天命』は、どちらかと言うと自分にピッタリ合った天職みたいな感じで語られることが多くて、
やっているとワクワクする
それを知ると生きていくことが楽になる
様に語られていることが多いんですが、一個気になるのはそういう感じで『天命』を語ってる人たちの雰囲気がだいぶ圧強めで、なんか目がバキバキな感じなこと😳 いや、いいんですよ、自信を持って宇宙のナンタラとかを語って頂いても。しかしそれは私の知りたい答えではないんです。実際の『天命』の意味は、
『天から与えられた使命や、一生をかけて果たすべき役割のこと』
だそうで、定義として『やってて楽しい』とか、『ワクワクする』は含まれてない。『天から与えられた』部分に若干スピリチュアル味は含まれるんですが、『果たすべき役割』は概ね合っているんでしょうね。
5.では、私の『天命』は?
そこで立ち戻って自身の『天命』を考えれば、
『今ある環境で、やれること、望まれることをやる』
ことなのでしょう。つまり、私の場合は若手の育成です。正直、20年近くもやってきた技術メインの仕事スタイルを変えて育成や教育に注力することは、私にとってはキャリアチェンジ、リスキリングに相当する方向転換です。教えるより自分でやった方が早いですし、仕事のフェーズに合った助言なんて自分自身に対してやる必要のない作業ですからね。
しかし一方で、自分にしかできない仕事であることも確か。私世代の他の人達は教えること自体が苦手だったり若手と話すことも苦手だったりで、一人だけおっさんでありながら若手に混じって仕事できること自体が私のスキルである気もしています。
私が今のチームに異動するまでは、このチームは若手が入社するもののすぐに別のチームに行ってしまったり転職してしまったりで、メンバーが非常に流動的でした。私が入ってからは他のチームや部から余計な仕事を振られない様に防波堤の様な仕事もしてきたので、今は比較的安定して良い仕事環境が作れているのも事実です(そんなことをすること自体も、私的にはエンジニアの仕事ではないとは思っているのですが)。
エンジニアとしてやりたいこともないわけではないです。エンジニアとして仕事すれば、定年を迎えるまでにまだまだ功績を残せる自信はありますが、そちらを取るのか、それとも後進を育成していくことを取るのか……問題の本質、私の求めた答えはこの二択だった様な気がします。そこに付随して、それをやるべき管理職が技術も、そして育成にも消極的であると言う問題はあります。しかし、そこを追求したところで彼らがいきなりそれをできるわけでもなく、同様に若手がいきなり自発的に成長をし始めるわけでもないんですよね。
複雑な問題であるが故に、自身を完全に納得させて全力でこの答えに従うにはまだ時間がかかりそうな気はします。ただ、自分で技術をやって何も残さず職場を去るよりも、概念的ではありますが『イズム』の様なものを後進たちに残すのも悪くないかな、と思える様になりました。たおたおイズム😅 私が会社を去った後、彼らが私の考え方を継承して、また後進たちに引き継いでいってくれるなら、それもアリかな?
まとめ
私の『天命』は、多分上記の様に自分がこれまで身につけた知識を元に後進を育成することで、そのためには今までの仕事スタイルを改める必要がありそうです。『天命』を知ったからと言って、手放しで喜べる感じではないですし技術者魂が消えるわけでもないので、しばらくは葛藤もありそうです。
昔、お一人だけ占い師の先生に見て頂いたことがあって、その先生が『人に教える立場になる』と就職前に言われたことを思い出したました。 実はこの二択で悩んでいるとき、チラチラと頭の中に浮かんできていたのですが、技術者の立場に固執したり、管理職の面々への不満もあって『自分は最後まで技術者でいくんだ!!』と意地になっていた面もあるのかも。まあ、最終的にはその先生がおっしゃっていた通りになったわけですが、やっぱり先生は凄いわ😲 既に亡くなられているのですが、きっとしょーもないことで悶々として結論だした私をどこかでご覧になって、『だから言ったやろ!』って思っておられそうです😅
皆さんは『天命』を意識されたことはありますか? もし私と同じ様に悩んでおられる方がおられるなら、『周りから望まれていること』『あなたにしかできないこと』がそれである可能性が高いです。そしてそれは、必ずしも『自分がやりたいこと』ではないかも知れませんが、本当にそれが正解だったのか、そして自分が最後に満足できたのかどうかは、結局やってみた先にしか答えはないんでしょうね。『人生は修行の連続』説に一票を投じたいと思います。
