出雲駅伝展望⑦ 創価大学編
7回目は強豪校としての地位が定着した創価大を取り上げる。
1.エントリーメンバー紹介
最初はエントリーメンバーを確認する。
4年 黒木陽向 石丸淳那 野沢悠真
3年 織橋巧 小池莉希 篠原一希 S・ムチーニ
2年 S・ムトゥク 山口翔輝 山瀬美大
1年 なし
個人的には優勝候補に名を連ねないこと自体が不思議でならない。
トラックシーズンの戦いぶりは圧巻で、関東インカレではあの青山学院大をも上回る得点を叩き出した。
そこで輝きを放ったのは、小池やムチーニといったスピードスターたち。
そしてロードの安定感に定評がある野沢や山口といった戦力が加わり、死角の少ない布陣となっている。
昨年は堂々の4位入賞で過去最高順位をマーク。
さらに、幻となった前々回の2位の再現も現実味を帯びてきた。
むしろ、今の充実ぶりを考えれば「その上」すら狙えると断言してよい。
主力が持ち味を存分に発揮すれば、歴史を塗り替える走りを見せてくれるはずだ。
さあ、その注目のメンバーを紹介しよう。
4年
今年の創価大の中心となる3人の4年生がエントリー。
黒木の主戦場は3000m障害ながら、5000mや駅伝でも安定感を見せるマルチランナーであり、昨年の出雲では5区6位という結果を残した。経験値はすでに十分で、今回はその上を行く走りでチームを頂点へと導く役割を担う。
石丸は1年時から三大駅伝を走り続けた豊富な実績を誇る。だが昨季は出雲・全日本ともに区間10位と精彩を欠き、箱根も出走できず苦しいシーズンとなった。今年はラストイヤー、復活の走りに大きな注目が集まる。
野沢は全日本8区で区間2位を記録した実力者で、今やチームのエース格と呼ぶにふさわしい存在だ。今年も関東インカレ2部ハーフで2位に入るなど、その強さは健在。駅伝でタフな展開を任せられる信頼感がある。
3年
チームの主力となっている3年生世代からは4人がエントリーされた。
織橋は前回の箱根で7区を経験した実力者。堅実な走りで安定感があり、今シーズンは5000mで自己ベストを更新するなど好調を維持している。駅伝の舞台でも確実に役割を果たしてくれるだろう。
トラックシーズンを盛り上げた選手が小池だ。関東インカレでは5000m・1万mともに入賞、日本選手権5000mでも決勝に進み、その強さはを証明済み。駅伝シーズンではそのスピードで、優勝争いの原動力となりたい。
篠原は1万メートル28分台の記録を持っている新戦力候補。合宿で調子が良かったのか、駅伝経験者を差し置いてメンバー入りを勝ち取った。こうした選手が飛躍を遂げればチームの底力が一段と増すことになる。
そして大黒柱として君臨するのが留学生ムチーニだろう。関東インカレ5000m・1万mを制覇し、圧倒的な強さを誇示。昨年の出雲は無念の欠場、今大会はそのリベンジを果たすべく万全の仕上がりで挑む。
さらにエントリー外にも斎藤大空や川上翔太といった箱根経験者が控えており、選手層の厚さは折り紙付き。3年生世代の充実ぶりこそが、創価大を優勝候補たらしめる大きな要素となっている。
2年
今後の活躍が期待される2年生からも3人がメンバー入りした。
ムトゥクムチーニの影に隠れながらも、関東インカレ2部3000m障害で優勝するなど着実に実績を積むランナーで、不測の事態があれば安心して代役を務められる存在だ。
将来の日本人エースとして期待される山口は前回急遽3区に出場し順位を下げたものの、他大のエースとの直接対決は貴重な経験となった。区間上位を狙えるポテンシャルを持つだけに、今回も主要区間で勝負したい。
山瀬は1万メートル28分台のタイムを持つ新戦力で、ここまでの調子をさらに上回れば出走メンバー入りも可能だ。まずはチーム内の競争を勝ち抜き、駅伝を走る経験を積むことが第一の目標となる。
2年生も箱根経験者の石丸修那や5000m13分台の斎藤一筋らがメンバー外。熾烈な競争こそが創価大の強さの秘訣なのだ。
1年
創価大は2年生以降に台頭する選手が多く、1年生は今回エントリー0人。しかし衣川ら将来の主力候補が控えており、今後の活躍に大きな期待がかかる。
2.強み・懸念点
強み
トラックシーズンでの好調ぶりは、創価大の評価を大きく押し上げたと言えるだろう。関東インカレ2部ではムチーニが5000m・1万mの2冠を達成し、圧倒的な存在感を示したのに加え、黒木・小池・野沢・ムトゥク・山口といった選手たちも8位以内に名を連ね、チーム全体の勢いを印象付けた。
その後の日本インカレや日本選手権でも、創価大の選手たちは躍動を続け、他大学の追随を許さない実績を積み重ねた。
こうしたトラックでの力を、いかに駅伝という襷の舞台に反映させるかが鍵となる。
創価大の選手たちにとって、出雲はその力量を試す舞台であり、トラックシーズンの成果を襷に乗せる絶好のチャンス。
チームとしてのまとまりと個々の力が噛み合ったとき、他大学が容易に手を出せない圧倒的な存在感を示すことができるだろう。
懸念点
卒業した吉田響のような、試合の流れを変えられる「ゲームチェンジャー」の存在が現状の創価大における懸念材料だ。
序盤から順調に進めば問題はないが、出遅れや想定外の展開に対応できる選手がいれば、チームの力はさらに増す。
前回の出雲では、吉田響が1区10位から一挙にトップに押し上げたことが象徴的だ。
現状の創価大はトラックで培ったスピードは申し分ないが、駅伝では単なるスピード以上の「勝負勘」や「流れを変える力」が求められる。
今のチームにおいて、その役割を担えるランナーはまだ現れていないのが実情だ。
創価大のカラーである「先行逃げ切り策」を最大限に活かすためにも、前半でトップ争いに食い込み、後半の安定感ある走者にバトンをつなぐための「流れを変えられる選手」が必要だ。
この大会が、新たなゲームチェンジャー誕生の舞台となるかもしれない。
チーム全体の底上げと戦術の幅を広げる意味でも、強いランナーの台頭に期待せずにはいられない。
3.区間予想
最後に区間予想をしたい。
石丸ー小池ームチーニー織橋ー黒木ー山口
1~3区で優位を確保し、4~5区で安定感ある走りを維持。最後の6区で逃げ切る形を狙う。
前半で差を作り、中盤で固め、後半で確実に締めるこのオーダーなら、優勝圏内は十分射程圏内だ。
1区は過去3度の出雲でも1区を務めた石丸を配置。攻略法は熟知しており、確実に区間上位で繋ぎ、チームに流れを作ることが求められる。ここでしっかり上位を確保できれば、後続の区間での優位性も高まるだろう。他の候補は織橋や小池だろう。
2区はスピードのある小池、もし2区出走なら2年ぶりとなる。持ち前のスピードが生きるのは2区一択だ。駅伝ではまだ本領発揮できていないが、区間賞で悪印象を払拭したい。他の候補は黒木。
3区は2年越しでムチーニが登場する。トラック・駅伝共に実績十分な留学生ランナーで、他大学の留学生エースたちとの競り合いを制し、首位確保が期待される。ここでリードを広げられれば、後半の展開は格段に有利となる。
4区は安定感のある織橋に任せたい。前半で築いたリードを守りつつ、他大の追い上げを抑える重要な区間だ。上位でまとめ、チーム全体の流れを維持する役割を担ってくれるはずだ。他の候補は黒木。
5区は前回の経験者である黒木。区間6位と無難に走ったが、優勝を見据えるならば前回を上回る走りは必須。今年は1年間の成長を活かし、区間上位を狙うことで優勝への布石を打ちたい。他の候補は織橋か。
6区は山口。ルーキーながら、他大のエースと勝負した経験をここで生かし、逃げ切りの役割を果たす。出雲の中でも長い距離を走る区間、山口は自分の仕事を果たしてくれるに違いない。対抗馬は野沢。
まとめ
大エースが卒業して存在感を示す人物はいなくなったが、創価大の選手たちはそれぞれ個人として着実に力をつけ、結果を残してきた。
この成長をいかに駅伝に反映させられるかが、チーム躍進の最大のカギとなる。
特に重要なのは「ゲームチェンジャー」の誕生だ。
前回の出雲で吉田響が示したように、一人の選手が一瞬で流れを変え、順位を大きく押し上げる力は、チームの戦術や士気に絶大な影響を及ぼす。
現状の創価大はチームとしてのバランスやスピードは整っているものの、そうした局面で流れを一変できる存在が不在である。
ここに誰かが台頭すれば、優勝という目標は単なる理想ではなく、現実味を帯びてくる。
つまり、個々の成長をチーム戦略に結びつけ、さらに局面を打開できる選手を見つけ出すことが、今大会での創価大の最重要課題であり、躍進の条件と言えるだろう。
