"THE LEPLI-ARCHIVES"#206-『原宿の老舗メゾン、”MILK & MILK BOY”の3年振りのランウエーを見る。』
文責/ 平川武治;
初稿 / 2018年12月15日;
写真/ '70年代、ありし日のショップ「MILK」:
今回の僕の眼差しは、「3年ぶりのこの規模の大きなコレクションを
なぜ、彼女は今行ったのか?」
ご連絡を頂き、久しぶりで見せていただくこのメゾンのコレクションだ。
古くから親しくしていただいている大川ひとみさんのブランドなので、
愉しみにしていた。
結果は僕の期待を裏切らずピンクのバンダナと共に、
若々しくカワイイコレクションでした。
1970年、ブランド「MILK」を原宿で立ち上げて以来、
「原宿のおかあさん」と言われる程の原宿の主、知る人ぞ知る大川ひとみがまたもや3年ぶりで地元、原宿でのコレクションだ。
このブランド「MILK」はロンドンスのストリートと古着に憧れ、
当然のように素早く、ヴィヴィアン・ウエストウッドの世界を知り、
’74年には「MILK BOY」を立ち上げ、その影響と共に日本の若者たち、
それもロック好き、おしゃれなロンドン・ストリートファッション大好き
若者たち、パンク好きな少年少女たちのアイコンブランドであり、
一斉を風靡したデザイナー、大川ひとみのブランドであり、原宿の路上に「PUNK」をはじめて染み込ませたデザイナーであり、彼らたちへ大いなる刺激と影響を与えた正真正銘の「原宿ブランド」である。
このブランドのように、”一つの街”にこだわった「街ブランド」は
世界でも類が無い。後に、彼女の周りに屯していた若造たちの
「ウラ原・御三家」は彼女から学んだことの一つに「街のデザイナー」である事だったと僕は信じている。
ちなみに、この時代のCdGは未だ、巴里で全盛だったS.リキエルの
”上書きブランド”でしかなかった。
例えば、’77年、当時ロンドンのミュージュックシーンに登場した音楽とストリートシーンで誕生した“パンクファッション”をいち早く、同時性と
共に日本の若者たちに興奮をもたらし、大いなる流行を原宿にもたらした
第1人者は彼女、”大川ひとみ”だった。
従って日本における“パンク・ファッション”を語るならば、
当事者としての大川ひとみでありその後、10年ほど遅れ川久保のCdG H.P.はブランドを反体制的なブランドにイメージングする為に用いたまでの
ビジネス手法が発端だった。
ここでは「当事者、大川ひとみと傍観者、川久保玲」という差異が
熱意と時間差を日本のファッションシーンへもたらした結果があり、
その後の川久保のストリート学の学びを知った。
しかし、この事実を語れるもう一方の傍観者であるジャーナリストたちも今では少なくなってしまったので、
「CdGがパンクの精神を引き継いでいる」ブランドと評価されているが
その発端の事実は決してそうでは無かった。
そして、大川ひとみのもう一つの事実は、かつての「ウラ原ブーム」の
起爆者、”Under Cover”の高橋盾と今、世界レベルで渦中の人になった
”藤原ヒロシ”の「育ての親」でもあり、僕はその後の”山口文彦”くんの
センスの良さも覚えている。
大川ひとみには鋭い眼力のような審美眼を持って原宿に集まる若い男の子のセンスのいい子を見つけ出し、面倒を見てファッションセンスを育て
磨き上げるという特異な癖がある。
即ち、彼女はファッションの本当の面白さは自分がロンドンの路上に
憧れたように、原宿の裏路上に自身のまなこを今なお晒して生きている
リアリティなデザイナーなのである。
その彼女は1年前の3月半ばに彼女にとっては4番目のブランド、
「ヴィクセン・プロダクツ/VIXEN PRODUCTS」をこれも原宿の
「MILK BOY」の地下にショップと共に立ち上げている。
ブランド・コンセプトは緊急を意味する“イマージェンシー(Emergency)”で、早々とこれからのメンズファッションの新たなコンセプトになる
“オシャレな防災服/SWAT”をデザインする若さと好奇心を持ち続けている。
今回のコレクションもこの意気込みがまだ熱く感じられるまでの若さと
クールさと可愛さが溢れた品の良いコレクションに仕上がっていた。
特に、MILK BOYはかわいかった。
ゆるいファンクション & プロテクションにまとめられて、
着る男の子のうぶさを上手に、クールにデザインし、そのバランス感は
正に、「HARAJUKU・BOY」で旨い!
3年振りに開かれたこのコレクションは大川ひとみのファッションへの
思いとこのブランドのファンへの愛と経験があの様な若さと楽しさ溢れる
コレクションを生んだのだろう。
フラワー&フリル、オプトパス、マーメイド、ナース、パジャマ、
スケーターにサンタまでの7つ程のシーンで展開されランウエー。
僕はオプトパスに驚き、スケーターも好きでした。
演出もうまいしキャスティングもいい。レディースにもメンズにも幾つかのアイテムは新しいアイテムのデザインに「進化」が見られる。
トレンド素材のメッシュを使ったロングカーディガンやブリーチ・デニム素材でのおしゃれなストリートウエアー、ミュールを含めたシューズや
バッグ等など。「スタイル+ファンクション+プロテクション」を
今の若者感覚として、どれだけ「緩く」バランスに気をつけてシンプルに
まとめるか?の”さじ加減”とビジネス感がやはり、玄人である。
この彼女の旨さには”アンダーカヴァー”の祖型が見られた。
本当に、このお歳で愉しい世界をクリエーション為さっている。
ここで気がついたことは大川ひとみと東コレやコンテストに始終している「後出しジャンケン」&「壁紙デザイナー」たちの違いはどこに所在する
のだろうか?
それはデザイナーの経験値もあるだろうが、結局はどれだけ、
”街のリアリティ」を体感し、「服を愛しているか? この服への想いを
誰に届けるか? どんな気持ちで着てもらえるか?
そして、着る人を思うこと、」などが
変わらぬ若さとユーモアそして、バランス感覚の旨さと時代感の表現力に
現れるのであろう。そして、継続可能なビジネス観に由来するのだろう。
ただ、私利私欲と自己満足を小さな虚言を発言し、ファッションの
ステージへ乗せるだけでデザイナーぶっている輩たちの「未熟さ」が大いなる「差異」と感じられ、ユーモアとセンスのいいおおらかささえも溢れて
いた今回の「MILK & MILK BOY」ショーでした。
オーディエンスの「原宿大好き若者たち」が一番、納得と得心と共に
喜び、いい笑顔だったことも印象的だった。
最近ではファッションに目覚める年齢がより、若くなってきた。
小学生高学年になるともう自分の着るものへの欲望が生まれる
豊かな時代で在る。
しかし、現実は国民的衣料品ユニフォームのユニクロやSPA系の
安価な「壁紙ブランド」などに親たちは始終したファッションを
お仕着せさせてしまっているのが多くの現実であろう。
この現実への一石を投じているのが大川ひとみのリアリティであり、
これが彼女の変わらず好奇心と若さを育んでいる根幹であり
今回のコレクションにも繋がったのだろうと僕は感じた。
彼女の”ファッションこころ”と”眼”が感じた、
「今、私がやらなければ!!」と言う念いと、
「この世代の子供たちが輝かなければ、輝く大人は生まれ難い。」と言う
ファッション観!
「元祖パンクロリータ」健在 ‼️
なぜ、イタリアはまだ、「ファッション大国」なのか?
それはこの国の親たちが変わらず、子供にオシャレを惜しまないでいる
からです。
「ありがとうそして、ご苦労様でした、ひとみさん、スタッフの
皆さん。」
文責/平川武治。
初稿 / 2018年12月15日。
