たびびびと【ショートショート】
図書館の棚から持ってきた地図に人差し指を置いた。指先にビビビと感じた所へ旅に出るのが私のやり方だ。
今まで指先が示した様々な場所へ旅をした。人生感を変える出会い、自然の織りなす神秘、旅は私の人生を何倍も豊かにしてくれた。しかし今日は地図のどこを差してもビビビを感じない。
もう私に旅は必要ないのだろうか。
スッと私の指の近くにスラリと細い人差し指が現れた。
その瞬間、指先から体の芯へ雷が落ちたかのように震えた。顔を上げると一人の女性が立っていた。彼女はフフフと微笑むと図書館を出ていった。
ああ、そうか。そろそろ一人旅を止める時が来たのかもしれない。
五年後
私が差し出した人差し指を小さなクリームパンのような手が握りしめた。ビビビな私とフフフの彼女は、その小さな奇跡を優しく見つめた。
はじまして、これから君の旅が始まるんだよ。
旅人はビビビと泣いた。
こちらの企画に参加しました。
過去の既出作品なので、申し訳ないですが。
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