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氷織屋先生と白犬 6.エピローグ【創作大賞2024】
部屋に置かれている40インチのディスプレイで流していた動画を止めた。
「これ、流行ってるやつ?」
「そうそう、見たことある?」
「見た! あれ見て氷織屋先生を崇拝する人とか出てるんでしょ。ヒオリヤンだっけ、気持ち悪いよね」
「あれさ、本当の映像だと思う?」
「そんなわけないでしょ。そもそも動画が本物としたら、火事の前にスマホを持ち出さないといけないよね。でもあの事故って学生は全員死んでるし、最後のカップル二人も死んでるでしょ。あの後すぐ火事になったらしいから、カップルの女が火をつけたんだよ。となると、ありえないんだよ」
「でも顔が本物の被害者そっくりなんでしょ」
「これ、AI使ったフェイク動画だって考えてる。たぶん被害者家族も訴えたいんだろうけど、内容が内容だけに声上げにくいんだろうね。もしあの動画が生成AIで作られた動画じゃないとしたら、自分の子供が担任を殺した殺人犯だって認められるようなものだからね。そう考えるとさ、この人達かわいそうだよね」
「そうよね、かわいそう」
問いかけられた恋人は得意げに自分の推理を語っていた。まるで敷かれたレールを自分で開拓したかのように。それを聞きながら、私は来月に迫った結婚披露宴の出席者リストのチェックを始めた。
この話はここまでにしようと思う。恐らく恋人は正しい答えにはたどり着かないだろうから。物事は全方位から考えないとね。ま、あなたが死ぬ間際になったら、教えてあげてもいいけど。
あなたが、いつ死ぬのかも私次第だけど。
ああ、かわいそう。
かわいそうだし、愛おしいし。
氷織屋先生、こういうことなんですね。
<了>
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