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漫画『バンオウ-盤王-』 久々に将棋の面白さを思い出させてくれた快作

先日、友人から将棋漫画『バンオウ-盤王-』が面白いとすすめられ、試しに読んでみたら面白くて一気に全部読んでしまいました。

(昨日買ったのにちょうど今日から全巻50%ポイントバックセールが始まってました。一手違いに泣く)

※以下、ネタバレあり

主人公は将棋好きの吸血鬼というクセ強な設定。普通に通販とかで買える動物の血を飲んでるだけの人畜無害な吸血鬼で、300年間ひたすら将棋を愛し続けてひっそり暮らしている。ネット将棋の世界でのみ謎の強豪として知られる彼が、あるきっかけから「竜王戦」に挑戦することになるというお話。

個人的に気に入ったのが、主人公は300年将棋やってるけど「凡才」というところ。将棋は厳しい年齢制限のある「奨励会」を突破しないとプロになれないため、「天才の中の天才」や「それを相手にした挫折」などは将棋関連作品でよく描かれるけど、「凡人が300年やったら天才に勝てるのか?」という視点は新しかった。将棋漫画でそんななろう系みたいなことやっていいんだ。

将棋描写のバランスもいい。ジャンプ+作品なので将棋の駒の動かし方すらわかんなくても読めるように描かれているけど、AIの評価値見ながらうんちく垂れる将棋ファンみたいな「あるある」はきっちりおさえてる。また、作中に描かれるある名局では実際の棋譜が利用されているのだけど、それも最後に「第60期王座戦五番勝負 第1局より」とだけさらっと書いてある。対局の駆け引きの面白さは漫画で表現し、オタクはここまで言えばあとは調べるやろ、という姿勢も将棋ファン、というか「将棋の力」への信頼があっていいなと思った。

オタクは勝手にこういう動画を見つけて見る

僕が将棋にハマったのは2013年の第2回将棋電王戦のころで、そのころはまだ将棋に関する漫画や小説や動画といったコンテンツは数えるほどしかなかったし、AIにも多くのプロや将棋ファンが否定的・懐疑的だった。そこから10年そこらでAIは将棋に欠かせないものとなり、プロ棋士本人によるものも含めた将棋のネット動画や漫画、小説なども次々に供給され、いつの間にか追いかけきれなくなっていました。藤井聡太というスターの登場も大きく影響したでしょうが将棋ファンや将棋界にとっていい時代になったと思います。

『バンオウ-盤王-』はそうした時代背景をしっかり反映させながらも、将棋の面白さの本質である「お互いに正解がわかっていない盤上ゲーム」という部分を描いているのがよかった。50年に1度の将棋の天才も300年将棋をやり続けた吸血鬼も、たった81マスの完全情報ゲームの正解がわからずに顔を歪めて悩み苦しむ。そこにドラマが生まれる。

人間の勝負事の面白さというのはつまるところ「ミス」が起こることです。スポーツでもゲームでも「理想のプレー」や「最善手」はあるものの、人間はどうしても間違えてしまう。将棋の場合はAIの示す最善手がまるで絶対的な「正解」かのようになってしまいましたが、一方で一分将棋でお互い綱渡りの手を指し続ける人間の勝負の面白さは変わっていないことも理解されつつあり、だから今でもプロ棋士の人気が衰えるどころか増しているのではないかなと思いました。

他のことが忙しくなったりとかもあって一時期に比べると最近は以前ほど将棋追いかけてなかったんですが、久々に「将棋っておもしれー」という気持ちを思い出しました。今後も一生の趣味として大事にしていきたいと思います。吸血鬼ほど長生きできない人生だからこそ。

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以下、『バンオウ-盤王-』のツッコミどころなど含めたこぼれ話メモです。

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