【創作】蘇生試験
「時間です、それまで」
試験官の声が無情に響いて、蘇生手術をしていた者の手が一斉に止まる。ため息とともにメスや手術用の器具を置く音がガチャガチャと鳴った。
「皆さんは試験に不合格です、次の試験を目指してください」
医療の高度化に伴い「脳死からの蘇生」が可能となった現代では、医師に加えて「蘇生医師」の国家資格も認定される。蘇生医師は国内外の病院で高額報酬で迎え入れられることから、資格取得を目指すものが後を立たない。
しかし冷凍保存された脳死患者が一定数揃わないと試験が開催されないことから、そもそも受験することが困難な試験となっている。
遺体だけが残る会場で、係員が片付けをしていると、遺体の一つがむっくり起き上がった。
「ここは、どこですか。今は」
係員が素早くお札を貼ると、遺体は沈黙し倒れた。
手術後に呪術で蘇生してしまった場合は、もちろん不合格である。
作業員はその不正防止も業務になっている。
(おしまい)
久しぶりに「毎週ショートショート」に参加です。
文学フリマ東京40用の原稿や創作大賞2025に向けて注力していましたが、ちょっと一息つくことができました。
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