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指先をきっかけに自分を大切にする、mel nail salonが届ける「労わり」のネイル

愛知県稲沢市の住宅街にあるプライベートサロン。白と木目を基調とした落ち着いた空間には、季節ごとに香りを変える精油のやさしいアロマが漂います。ここで迎えてくれるのは、自爪育成に特化した「mel nail salon」のオーナーの嶽綾香さんです。

爪を美しく整えることはもちろん、心や体を労わることを大切にしている彼女の施術は、「爪をきっかけに、体まで労われるようになる」と口コミで広がっています。

なぜ自爪育成にこだわり、癒やしのサロンを開こうと思ったのか。そこには「爪を隠すのではなく、育てる」という新しいネイルの楽しみ方がありました。

嶽 綾香(だけ あやか)| オーナー 兼 ネイリスト(歴6年目)

体調不良を機にフィトテラピーと出会い「自分を労わる」ことの大切さを実感。2024年夏、愛知県稲沢市に自爪育成を専門としたプライベートサロン「mel nail salon」をオープン。ネイルで隠すのではなく「育てる」ことを軸に、爪や体の状態から心身のサインを読み取り、一人ひとりにあったセルフケアを提案している。サロンは、お客様にとって安心して本音を話せるサードプレイスとして、30〜50代の女性を中心に人気を集めている。



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爪と心を同時にケアする、新しいネイルサロン


― まずはじめに、サロンをオープンされたきっかけを教えてください。

嶽:お爪をきっかけに「自分を大切にすること、労わること」を、もっと多くの方に届けたいと思ったからです。

以前はネイルサロンに5年間勤め、フレンチネイルや王道のデザインなど、幅広く対応していました。いわゆる「なんでもできるネイリスト」として技術を磨く日々。でも、時間に追われながらお客様と接しているうちに「もっと一人ひとりのお客様と、丁寧に向き合いたい」と思うようになっていったんです。

その後、体調を崩し一度休養を余儀なくされました。そこで感じたのが「自分を労わること」の大切さです。心身ともに疲弊し、塞ぎ込んでいた私でしたが、フィトテラピーに出会い「自分を癒やす」「自分を大切にする」という考え方に出会いました。

フィトテラピーの知識をもとに「自分を大切にできるネイルサロン」を作りたいと思い、2024年の夏このサロンをオープンしました。


― サロン名「mel nail salon」には、どのような想いが込められていますか?


嶽:コンセプトは「労わる」です。お爪やお体を労わりながら、自分を大切にする時間を過ごしていただきたいと思い名付けました。

そのうえで、サロン名の「mel」には3つの意味があります。
1つ目は「ゆるめる」日々の忙しさや緊張を少しでもゆるめて、ほっとできる場所にしたいという想いです。
2つ目は「メロウ(mellow)」穏やかで心地よく、優しい時間を過ごしてほしい。そんな空間をイメージしています。
そして3つ目は「花のしずく」人工的ではなく、自然のめぐみとして、力まず自然に生まれるやさしさを「mel」という響きに込めています。

この3つを掛け合わせて「mel nail salon」というサロン名にしました。


― どんなお客様が多いですか?

お爪にコンプレックスを抱えている方です。深爪や噛み癖、かきむしりの癖で爪の形が崩れてしまったり、爪まわりの皮膚が荒れてカサカサになっていたり。なかには、半年以上悩み続けて、やっと来れたという方もいらっしゃいました。

また、皮膚科など病院に行っても原因が分からず、どうしていいかわからないというお客様が最後の砦として当サロンにいらっしゃいます。ある方は「人に見せられるような手じゃないんだけど・・」と恥ずかしそうにいいながら、勇気を振り絞ってご来店してくださいました。




― サロンの空間づくりにも、こだわりを感じます。

: プライベートサロンなので、癒される空間を意識しています。たとえば、壁紙は目にやさしい薄いグリーン、テーブルなどお客様が触れる部分は落ち着きのある木材を使用しています。清潔感のある白も加えることで「癒される・くつろげる・安心できる」空間を演出しています。

また、香りにもこだわっています。初めてご来店の方は緊張されているので、リラックス効果のあるラベンダーの精油を使用しています。季節によって香りを変えていて、夏は涼しげなペパーミント、梅雨の時期は気分をリフレッシュできるユーカリで、空間を演出しています。香りが変わることで、季節の移ろいを感じていただけますよね。



さらに、ご来店直後は、水素水をお出ししています。実は、氷の量もお客様に合わせて調整しているんです。
施術中は、テーブルの横に「今日からできるセルフケア」のPOPを展示しています。チェックリスト形式になっているので、自分にはどれが当てはまるか考えながら見てもらっています。その方に合ったケアをご提案するためにも、POPの内容はお客様によって変えています。




フィトテラピーとの出会いが導いた、自爪育成



ー自爪育成に特化した「労わるサロン」をオープンしようと思ったのは、ご自身の経験からだと伺いました。
まず、ネイリストを目指したきっかけを教えていただけますか?

嶽:ネイリストになりたいと思ったのは、中学生のときです。高校にも行かずにネイルの専門学校に行きたいとまで考えていましたが、当時は両親に反対されて高校・大学へと進学。それでも夢を諦めきれなくて、大学に通いながらネイルスクールに通いました。大学やアルバイトと並行しながらネイルスクールに通っていたので、とても大変でしたね。


―その後、ネイルサロンに就職されたのですね。

嶽: はい。いずれは自分のサロンを持ちたいという思いがあったので、まずは経験を積もうとネイルサロンに就職しました。しかし、きれいに仕上げても、次回ご来店時までに剥がれてしまったり、お爪が弱ってしまう方がたまにいらっしゃって…。お客様は笑顔で帰ってくださったはずなのに、その後の爪の状態を想像すると「これで本当にいいのだろうか」と胸が痛むことがありました。

目の前のお客様一人ひとりと丁寧に向き合いたいのに、時間に追われて「作業」のような施術になってしまう。技術は磨けても、気持ちは置き去りにされていくようで…。そんなジレンマを抱えながら過ごしていました。


― 体調を崩されたのは、その頃でしょうか?

嶽: そうなんです。無理が重なって、体も心も限界を迎えてしまいました。大好きだったネイルの仕事を続けられないことが、本当に悔しかったです。周りの同僚が輝いて見え「自分だけが取り残されてしまった」という思いに押しつぶされそうになりました。

それでも不思議なことに、ネイルを嫌いになったことは一度もなかったです。どんなにしんどい日でも、自分の爪だけは欠かさずネイルをしていました。鏡越しに爪が整っている姿を見ると「まだ大丈夫」と心を支えてくれるような感覚でしたね。今振り返ると、嫌だったのは「ネイル」ではなく「お客様と丁寧に向き合えない自分」だったのだと思います。


― そこから「自爪育成」へとつながるきっかけは?

嶽:転機は「フィトテラピー」を学んだことです。フィトテラピーとは、植物や香りの力を取り入れて自分を癒やし、生活習慣を見直す自然療法の考え方です。「薬に頼るのではなく、自分を大切にすることから始めよう」という学びに触れたとき、張り詰めていた心がふっとほどけていくのを感じました。

実際、それまでは「100%完璧にこなさなければ」と、自分を追い込み続けていました。けれど「家事を手放してもいい、疲れたら休んでもいい」そんな当たり前のことを許せるようになってから、心も体も軽くなっていきました。

その経験から「爪も同じなんだ」と気がついたんです。ネイルで飾って本来の爪を隠すのではなく、ひとつひとつの爪を育てていくことで、体も労わることができる。爪も、皮膚や髪と同じように、生活習慣や心の状態が表れる場所。だからこそ、爪を大切に扱うことは「自分自身を大切にする」一歩になると思いました。




心までほぐす、寄り添う接客


― 施術では、どんなことを大切にされていますか?

嶽: 大切にしているのは「お爪を隠すネイル」ではなく「お爪を育てること」です。お客様のなかには「恥ずかしいから隠したい」「こんな指を見せてすみません」と申し訳なさそうに手を差し出される方もいます。不安を抱えながら、勇気を振り絞ってご来店くださったお客様だからこそ、私はその勇気に「必ず応えたい」と思いながらお客様と向き合っています。

一歩を踏み出してくださった時点で、すでに変化は始まっています。特に初回では安心していただけるように「大丈夫ですよ、ここから一緒に育てていきましょう」と声をかけています。



― 意識してチェックしていることはありますか?

嶽:お爪の状態はもちろんですが、手の質感や体のサインにも目を向けています。たとえば、手が硬くこわばっているときは、血流が悪く水分不足のサイン、手が凝っている時は、疲れが溜まっている証拠です。
そういうときはすぐに施術に入らず、軽くマッサージをして指先をほぐすところから始めます。手がゆるむだけで、自然と心も体もリラックスできます。

また、施術中の会話も意識しています。いきなり「ストレスありますか?」と聞いても、答えてくれるはずがありませんよね。そこで「そういえば、最近こんなことありましたよね」「Instagramみましたよ!ご旅行行ってましたよね」と日常会話からお話しをおうかがいしています。すると「実は子どもが風邪をひいていて…」とか「仕事でちょっとうまくいかなくて」と、自然と心の内を話してくださるんです。


―日常会話からストレスや原因を探るのですね。習慣を変える必要がある時は、どのようにお客様にお伝えしていますか?

嶽:たとえば、噛み癖があるお客様に「爪を噛む癖をやめましょう」と言うだけでは、変わりません。頭ではわかっていても、長年にわたる無意識の習慣はそう簡単に変えられないからです。それは、お客様に限ったことではなく、私自身も同じです。だからこそ、押し付けるのではなく「どうすれば自然とやめられるか」を一緒に考えています。

あるお客様は、仕事中に無意識に爪を噛むのが悩みでした。その方には「指先にオイルを塗る習慣をつけると、香りがしてリラックスできるかも」と提案しました。すると、爪を噛む代わりにストレスケアとしてオイルを使う習慣に変わっていったんです。本人も「無理に我慢するんじゃなくて、オイルを塗るだけで気分も落ち着くし噛むことが減った」とおっしゃっていました。


― 無理なく習慣を変えられますね。ご来店後は、お爪の写真やセルフケアのアドバイスをLINEで送られているそうですね。

嶽:はい、施術後は必ずビフォーアフターの写真を撮影してお見せし、その方専用のセルフケアアドバイスを画像にまとめてLINEで送っています。



施術後に送っているフィードバック画像の例


ネイルを終えた直後が一番きれいなのは当然なのですが、本当に差が出るのは次回のご来店までの1か月間です。ネイルした直後やビフォーアフターの写真を見返すことで、お爪の変化を実感できますし「また頑張ろう」と前向きになれます。
またその画像を見返すことで、セルフケアも徹底できるようになるんです。「そういえば、水分をとらなきゃ」「指先使いすぎないようにしよう」と生活を振り返るきっかけになっています。

さらにLINEの個別相談(無料)も受け付けており、ご来店後のちょっとした不安や疑問にも対応しています。「ささくれが気になる」といった細かいことでもすぐに相談できるのは、他のサロンではあまりない仕組みだと思います。お客様からは「相談できる場所があって助かる」とお声をいただいています。



爪を整えると、心も暮らしも前向きになる


― 爪の状態から分かる「心や体のSOSサイン」はありますか?

嶽:爪って本当に正直なんです。たとえば、噛んでしまった跡やかきむしりの傷、縦線や凹凸が出ている場合は、ストレスの表れです。ただ、一言で「ストレス」といっても精神的なものだけではありません。体力的な疲れや、水分を取っていないことも体にとってはストレスになるんです。

たとえば、ある20代のお客様は突然お爪に縦線が出てきて悩んでいました。お話を伺うと、急激なダイエットが原因だったんです。どうしてダイエットをし始めたのかをお伺いしていると、食べられない理由をぽつりぽつりと話してくださいました。その間私はお話しを聞いていただけですが、最後には「食べてみようかな」とおっしゃり、健康的な食生活に戻れたんです。次のご来店時にはお爪の縦線がすっかり消えていて「体ってちゃんと応えてくれるんだ」と一緒に喜び合いました。




お客様ご自身でストレスに気づくことも大切なのですね。爪が整うことで、気持ちはどのように前向きになりますか?

嶽:指先を見るのが楽しくなり、気持ちも前向きになります。たとえば「今日はネイルに合わせてこんな服にしようかな」「同じ色のアイシャドウをつけてみようかな」と、ファッションやメイクまで積極的に楽しむ方が多いです。

深爪や噛み癖で悩んでいたお客様が、毎日オイルケアを続けたことで3か月ほどでお爪が安定してきたこともあります。その方は指先への意識がきっかけになって、生活習慣や体のケアまで自然と広がっていました。きっかけはお爪という、体の小さなごく一部かもしれませんが、その変化が心や暮らしを前向きに変えていくんです。



自分を大切にする姿勢は、必ずお客様に伝わる


― ご自身のセルフケアや日々のルーティンを教えてください。

嶽:「休む時間をつくること」です。以前サロンに勤めていたころは忙しくて、トイレに立つのもやっとでした。今は、必ず昼休憩をとり体を伸ばすようにしています。ときには近所を散歩したり、大の字に横になって深呼吸をしたりしています。呼吸は「4秒で吸って、4秒止めて、4秒で吐く」というリズムを15分ほど続けます。そうすると頭がクリアになり、心まで整うんです。
また、施術中は前かがみになる時間が長いので、ストレッチで体を緩めています。肩や腰をゆっくり伸ばすだけでも、次のお客様を迎える準備が整います。

―日々の小さな習慣も「セルフケア」ですよね! 食生活も意識されているそうですね。

嶽:はい。毎日欠かさず納豆を食べ、鶏むね肉などタンパク質をしっかり摂るようにしています。栄養は体の土台なので、自分が整っていないと施術の精度や集中力にも影響してしまいますからね。自分の体調管理は、お客様の安心や仕上がりにも直結する。だから食生活も、サロンワークの一部だと思って大切にしています。

― ご自身もセルフケアを大切にする理由は何でしょうか?

嶽:お客様に「自分を大切にしてください」とお伝えする立場だからこそ、まずは私自身が自分を大切にしなければ説得力がないと思っています。セルフケアをしていないネイリストに言われても、響きませんよね。しっかり休んだり食生活に気を配ったりするのは、自分のためでもありながら、お客様への責任でもあるんです。

たまに私が「今日は疲れたから少し休んだんです」と話すと、お客様が「じゃあ私も無理せず休もうかな」と笑顔で返してくださることもあります。私が無理をしていないからこそ、お客様も「休んでいいんだ」と自然に思える。そんなふうに少しでも気持ちが軽くなればと思い、私なりのセルフケアを続けています。



ネイルサロンを超えた、サードプレイス

―自分を大切にできるmel nail salon。お客様にとってどんな場所でありたいですか?

嶽: お客様にとって「サードプレイス」でありたいです。家でもなく、職場や友人関係でもなく「安心して本音を話せる隠れ家」のような存在。実際に、家族や友達には言えないことを、ここでなら自然に話せるというお客様が多いです。「実は家族にも言っていないけど‥」そんな関係性を築けたとき、mel nail salonはただのネイルサロンではなく、心の拠り所になっています。
これからも「自分を労わる、大切にする」といったセルフケアの大切さを、より多くの方に知っていただけるサロンにしていきたいです。

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― 最後に、どんな方にご来店いただきたいですか?

嶽:「自分のことを後回しにしてしまう」そんな毎日を送っている方に、ぜひお越しいただきたいです。
爪は体のほんの小さな一部ですが、指先が整うだけで気持ちは前向きになり、行動や表情まで変わります。見た目を整えること以上に「自分を大切にしていいんだ」と思えるきっかけになるはずです。

ここでは、ネイルを通じてお爪をきれいにするだけでなく、心や体をそっと労わる時間を過ごしていただけます。誰にも言えなかった悩みも、安心して話せる場所です。どうか一人で抱え込まずに、少しでも軽くなるきっかけを探しに来てください。あなたにとっての特別な休息時間を、一緒につくれたら嬉しいです。


<ご予約やお問い合わせはこちらから>


https://www.instagram.com/p/DQ_fu8QkxXt/?igsh=MTA1MWZxYnF0djJhMQ==


編集後記

嶽さんの言葉を聞いていると「爪は体の一部であり、心の声でもある」という言葉が何度も頭をよぎりました。

爪の縦線ひとつ、噛み癖ひとつにも、その人の頑張りや疲れ、見えないストレスが映し出されている。
それを隠すのではなく、育てるという優しさ。
それが mel nail salon でした。

嶽さんの語る「いたわり」は日常にあります。
香りを選ぶ、食事を味わう、少しだけ深呼吸する。
そんな小さな積み重ねが、
「自分を大切にする」ことにつながっていきます。

爪を整えることは、心を整えることにつながる。
mel nail salon は、そんな優しさが静かに広がっていく場所でした。


取材・構成・執筆/木全彩花 (「たしかなこと」ひとり編集部)

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