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純米酒と本醸造の違いをやさしく解説|選び方が変わるアル添の基礎知識

「純米酒と本醸造って何が違うの?」

日本酒の棚の前で、こんな疑問を感じたことはありませんか?ラベルに書いてある「純米」や「本醸造」の意味がわかると、自分好みの一本を選ぶのがぐっとラクになります。

この二つの違いは、実はとてもシンプル。「醸造アルコール」を加えているかどうか、基本はそれだけです。

SAKE DIPLOMA・ワインエキスパートの資格を持つ私が、味わいの違いや選び方のコツまで、わかりやすくお伝えしていきます。

そもそも純米酒と本醸造酒とは?──アルコール添加がカギ

日本酒は、大きく分けると「純米系」と「アル添(アルコール添加)系」 の二つのグループに分かれます。

純米酒は、原料が米・米麹・水だけのお酒です。文字どおり「純粋に米だけ」で造られています。

一方の本醸造酒は、米・米麹・水に加えて「醸造アルコール」 を少量加えて造ります。醸造アルコールとは、サトウキビなどを原料に発酵・蒸留した純粋なアルコールのこと。工業用のアルコールとはまったく別物で、焼酎やラム酒と近い製法で作られるものです。

ここで押さえておきたいのが、添加できる量には厳しい上限があるということ。本醸造酒では、白米の重量の10%以下と法律で決められています。つまり「大量にアルコールで薄めている」わけではなく、ごく少量を加えて味わいを調整しているイメージです。

整理すると、こうなります。

純米酒 → 米・米麹・水のみ。精米歩合の規定なし。
本醸造酒 → 米・米麹・水+醸造アルコール(白米重量の10%以下)。精米歩合70%以下。

味わいの傾向はどう違う?

原料の違いは、味わいにもはっきり表れます。

純米酒は、米の旨味やふくよかなコクが前面に出やすいのが特徴です。口に含むと、お米由来のやわらかな甘味や厚みを感じるものが多く、「どっしり」「ふくらみがある」という印象を受けます。

本醸造酒は、醸造アルコールの効果で香りが立ちやすく、後味がすっきりキレるのが持ち味です。軽快でなめらかな飲み口のものが多く、「きれい」「クリア」という言葉がしっくりきます。

もちろん蔵や銘柄によって個性はさまざまですが、この傾向を知っておくだけで、お酒選びの精度がぐっと上がります。

純米酒・本醸造酒にまつわるよくある誤解

誤解①「醸造アルコール=体に悪い添加物」

これが一番多い誤解かもしれません。「アルコール添加」と聞くと、なんとなく体に悪そうに感じる方もいるでしょう。

しかし醸造アルコールの正体は、米の発酵で生まれるものと同じエタノールです。チューハイにも使われているもので、食品添加物とはまったく性質が異なります。適量を添加した現代の本醸造酒が、純米酒より体に悪いという科学的根拠はありません。

かつて戦後の米不足の時代に、アルコールを大量に加えて3倍に増量した「三増酒(さんぞうしゅ)」という粗悪な酒があり、そのネガティブなイメージが今も残っているだけなのです。三増酒は2006年の酒税法改正で事実上造れなくなっており、現在のアル添酒とはまったくの別物です。

誤解②「純米酒のほうが"格上"」

「純米」と聞くと高級そうに感じるかもしれませんが、純米酒と本醸造酒は"格"の違いではなく"方向性"の違いです。

実際、全国新酒鑑評会(日本酒の品質を競う全国大会)では、アル添酒の入賞率が長年にわたり非常に高い水準を保っています。吟醸香を引き出す技法として醸造アルコールの添加は極めて有効で、多くの蔵元がこの技術を駆使して最高品質の酒を生み出しています。

誤解③「ラベルに"純米"がなければ全部本醸造」

純米の表記がない日本酒は、すべてが本醸造酒というわけではありません。本醸造酒には精米歩合70%以下という条件があり、これを満たさないアル添酒は「普通酒」に分類されます。居酒屋で「日本酒」とだけ書かれて出てくるお酒の多くは、この普通酒です。

今日からできる!純米酒・本醸造酒の楽しみ方

同じ蔵の「純米」と「本醸造」を飲み比べる

違いを体感するには、同じ蔵の純米酒と本醸造酒を飲み比べるのが最短ルートです。造り手のスタイルが共通しているので、アルコール添加の有無による味わいの差がクリアに感じ取れます。

料理とのペアリングで使い分ける

こってりした料理(豚の角煮、クリームシチューなど)には、米の旨味がしっかりした純米酒が好相性。一方、淡白な料理(白身魚の刺身、だし巻き卵など)には、キレのある本醸造酒がよく合います。この「重い料理×純米、軽い料理×本醸造」の法則を覚えておくと、食卓がワンランク上がります。

違いを体感できるおすすめ銘柄

竹鶴 純米〈米の旨味どっしりタイプ〉

広島県・竹鶴酒造の看板純米酒。お米の旨味がぎゅっと凝縮された、力強くふくよかな味わいが楽しめます。燗にするといっそう旨味が広がり、純米酒らしい魅力を存分に体感できる一本です。

〆張鶴 月(本醸造)〈すっきりキレタイプ〉

新潟県・宮尾酒造が造る定番の本醸造酒。なめらかな口当たりと穏やかな香り、そしてスッと消えていくきれいな後味が印象的です。本醸造酒の「キレの良さ」を知るにはうってつけの銘柄です。

天狗舞 山廃仕込純米酒〈コクと酸の純米タイプ〉

石川県・車多酒造の代表作。山廃仕込みならではの、しっかりした酸味と奥深いコクが特徴です。濃醇な純米酒の世界を体験したい方に。竹鶴とはまた違った純米酒の表情を見せてくれます。

まとめ

  • 純米酒と本醸造酒の最大の違いは「醸造アルコールを加えるかどうか」。純米酒は米・米麹・水のみ、本醸造酒はそこに少量の醸造アルコールが加わる。

  • 醸造アルコール=悪いものではない。現代のアル添技術は味わいを磨くための手段であり、品質は純米酒に劣らない。

  • ラベル裏面の原材料名を見れば一目瞭然。同じ蔵の飲み比べや、料理との組み合わせで、それぞれの良さを楽しんでみてください。

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