エイヒレに合う日本酒の選び方|珍味の肴がもっと旨くなる3銘柄
居酒屋で何気なく頼むエイヒレの炙り。
カリッと焼けた香ばしさに、ふわっと広がる甘味と旨味──あの味、「なんとなく」日本酒を合わせていませんか?
実はエイヒレは、合わせるお酒のタイプをほんの少し意識するだけで、驚くほど幸福度が変わる珍味です。
SAKE DIPLOMA・ワインエキスパートの資格を持つ私が、エイヒレと日本酒のペアリングのコツと、肴としてのポテンシャルを最大限に引き出すおすすめ銘柄をご紹介します。
エイヒレと日本酒が合う理由──珍味ペアリングの基本
エイヒレの味わいの特徴は、味醂ベースのほんのりした甘味と、炙ることで生まれる香ばしさ、そしてコラーゲン由来のねっとりした旨味の三層構造です。
日本酒の中でも、米の甘味やアミノ酸の旨味が豊かなタイプは、このエイヒレの甘味・旨味と「同調」して味わいが何倍にも膨らみます。
一方で注意が必要なのが酸味と香りです。
酸が強い日本酒だと、エイヒレのシンプルな味わいの中で酸だけが浮いてしまい、居心地が悪くなります。
また、フルーティで華やかな吟醸香は、炙った魚の風味とぶつかりがち。
つまりエイヒレに合わせるなら、「香りは穏やか、甘味がしっかり、酸味は控えめ」 ──このシンプルな3条件が黄金ルールです。
肴としてのエイヒレを活かす3つのペアリング方向
方向①|甘味で寄り添う──本醸造・普通酒をぬる燗で
エイヒレの甘味にいちばん自然に寄り添うのが、穏やかな香りで口当たりの軽い本醸造や普通酒です。
醸造アルコールが少量加わることで、純米系より香りが穏やかになり、アタックもふわりと軽くなります。
この「軽さ」がエイヒレの甘味とちょうどフィットするのです。
ぬる燗(40℃前後) にすると、さらにまろやかさが増して一体感が生まれます。
方向②|旨味で包み込む──雄町系の特別純米を常温〜上燗で
「もう少しどっしりした旨味が欲しい」という方には、雄町米を使った特別純米がおすすめ。
雄町はふっくらした甘味と幅のある旨味が特徴の酒米で、エイヒレの噛むほどに出てくるコラーゲン的な旨味と完全に同調します。
常温〜上燗(45℃前後) にすると深みが増して、じっくり味わう夜にぴったりです。
方向③|香ばしさをリンクさせる──熟成酒を常温で
上級者向けですが、軽めの熟成酒(古酒) をエイヒレに合わせると、炙りの焦げたニュアンスと熟成酒のカラメル香がリンクして、独特の奥行きが生まれます。
ただし、長期熟成の強い古酒はエイヒレの味に勝ってしまうので、3年程度のマイルドな熟成酒を選ぶのがポイントです。
珍味に合う日本酒のラベルの見方
エイヒレのような珍味に合わせるとき、お店で探すコツは3つあります。
まず「本醸造」「特別本醸造」の表記 。アル添の軽やかさがエイヒレの甘味に馴染みます。純米を選ぶなら「特別純米」で酸度が低めのものが無難です。
次に、香りの傾向。ラベルに「吟醸香」「フルーティ」と書いてあるものより、「食中酒向き」「穏やかな香り」などの表現があるものを選びましょう。
最後に温度帯。エイヒレは温かい状態で食べることが多いので、冷酒よりぬる燗〜上燗がベストマッチ。ラベルに「お燗推奨」と書いてあれば間違いありません。
エイヒレに合うおすすめ日本酒3選
1. 大那 あかまる(菊の里酒造/栃木)
〈本醸造タイプ〉
栃木県大田原市の蔵が醸す、食中酒の名手。
造りは本醸造規格で、香り控えめ、程よいコクとすっきりしたキレが持ち味です。
アル添ならではのふわりと軽い口当たりが、エイヒレの甘味とぴたりと同調します。
ぬる燗(40℃前後) にすると柔らかさが増して、居酒屋のカウンターで一杯やりたくなる味わいに。
2. 燦然 特別純米 雄町(菊池酒造/岡山)
〈特別純米タイプ〉
岡山県産の雄町米100%で醸した特別純米。
ふっくらした甘味と幅のある旨味が雄町らしく、酸は穏やか。
エイヒレを噛み締めながら口に含むと、甘味と旨味が完全に同調して、お互いの味わいが膨らんでいくのが分かります。
常温〜上燗(45℃前後) で真価を発揮する一本です。
3. 明鏡止水 辛口本醸造(大澤酒造/長野)
〈辛口本醸造タイプ〉
長野・佐久の老舗蔵が醸す、澄み切った味わいの辛口本醸造。
軽さの中にも米の旨味がしっかり感じられ、キレが抜群です。
燗にしても嫌な香りが出にくいのが特徴で、エイヒレの香ばしさをすっきり受け止めてくれます。
「甘口は苦手だけど、エイヒレの相棒が欲しい」という方にぴったりの一本。
ぬる燗〜熱燗(40〜50℃) がおすすめです。
まとめ
エイヒレには「香り穏やか・甘味しっかり・酸味控えめ」 の日本酒が合う。
本醸造や普通酒の軽さとアル添の柔らかさが、珍味の肴との相性では大きな武器になる。
迷ったら大那 あかまるのぬる燗で。エイヒレの甘味と香ばしさを最も自然に引き立ててくれる。
日本酒ペアリングの体験が格上げされました
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この記事を書いた人:Tasterr
J.S.A. SAKE DIPLOMA / Wine Expert。全国でお酒のイベントを開催し、これまで7,000人以上にお酒を注いできました。旅を通して、その土地ならではのお酒との出会いやペアリングを楽しんでいます。プロフィール [EN]
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