忘れないと決めた満月
コールドムーンのスーパームーンを見上げながら、あの三ヶ月を思い出しました。理由も告げずに離れていった彼、何度も折れそうになった心、そして静かに支えてくれた人たちのこと。今年いちばんの「学び」を、満月と一緒に書き留めておきます。
今年最後の満月は「コールドムーン」で、しかもスーパームーンらしい。
ベランダに出て見上げた月は、本当にやけに大きくて、にじむように白かった。
その丸い光を見ていたら、七月の終わりからの三ヶ月を思い出した。
パートナーと、ある日を境に突然会えなくなった。
理由は何も言わない。メッセージも電話も、こちらから伸ばした手は空中で止まったまま。忙しいのかもしれない、と自分に言い聞かせながらも、「拒まれているのかもしれない」という言葉が、夜の布団の中でどんどん大きくなっていった。
あの三ヶ月間、私は何度も「もう消えてしまいたい」と思った。
息が浅くなり、ごはんの味がしなくなり、朝が来るのが怖かった。
「死なない理由」を探すことのほうが、ずっと難しいと感じる夜もあった。
それでも、私のまわりには人がいた。
黙って隣に座り続けてくれた姉。
何行にもわたる長文の愚痴LINEを最後まで読んでから、「生きていてくれてありがとう」と返してくれた友人。
仕事の打ち合わせのついでに、わざと雑談を長めにしてくれた取引先の人たち。
私が何度同じ話をしても、誰も「またその話?」とは言わなかった。
あの人たちがいなかったら、私はきっと、今日の満月を見ることはできなかったと思う。
秋が深まる十月の終わり、パートナーは何事もなかったかのように戻ってきた。
理由の説明もないまま、前と同じように笑って、前と同じように私の隣に座り、「彼氏です」という顔をしている。日常は、何事もなかったかのように形を取り戻しつつある。
今の私は、「まぁ幸せだな」と思える夜も増えた。
あの三ヶ月のことを、毎日毎日思い出しているわけでもない。
それでも、私は、私だけは、あのときのことを忘れちゃいけないと強く思っている。
本気でいなくなりたくなったこと。
そのふちで、私の手をつかんでくれたのが誰だったのか。
姉や友人や、仕事先の人たちが、私をこの満月まで連れてきてくれたこと。
今年いちばん学んだのは、「私を生かしてくれたのは、たった一人の彼ではなく、『みんな』だった」ということだ。
そして、幸せを取り戻したあとも、あの闇と、そこから引き上げてくれた人たちへの感謝を、ちゃんと覚えていようと自分で決めることだ。
ベランダで月を見上げながら、小さくつぶやく。
「ありがとう。絶対に恩返しする。忘れないよ」
今はまぁ幸せ。
でも、辛くて辛くてどうしようもなかったあの三ヶ月と、そのそばにいてくれた人たちのことを、私は一生忘れない。
