オーダーメイドケーキ
「あのう、お誕生日ケーキをお願いしたいんですけど・・」
常連さんが遠慮がちに話しかける
「ホールのケーキですね。大丈夫ですよ。」
「受け取り日は1カ月後で・・」
「はい。どんなケーキが良いですか?」
「金柑とかお酒を使った、大人っぽいケーキがいいです。
生クリームがふわふわの、どこにもでもあるような苺のケーキとかは嫌で。
3~4人で食べるくらいのサイズがいいです。」
オーダーメイドケーキのイメージのパズルのピースをお客様から受け取りながら、頭の中でケーキが組み上がっていく。
松露酒造
SETOKA PEEL LIQUEUR の香りが頭に浮かんだ時、
ケーキの全体像がばちっと決まった。
いいなあ。こんなケーキ、私も食べたいくらい。
作る日が待ち遠しいや・・
後日改めて、このお客様から
オーダーメイドケーキの注文詳細がメールで届いた。
できるだけ酸味のある金柑を選んで、種子島産の粗糖でコンポートを作る。
金柑の爽やかな香りを活かしたいので、白ワインなどは加えずにシンプルにお砂糖と果実を馴染ませていく方がいい。
金柑のコンポート液でSETOKA PEEL LIQUEUR を割って、スポンジにしっかり染み込ませたいので、スポンジも厚めに焼いた。
カスタードベースのバタークリームで爽やかな金柑コンポートを包み込み、リキュールとシロップの染みたスポンジの真ん中に挟み込む。
四角いケーキの四方の断面を
カットして魅せるようにするのもいいかもしれないけど、
個人的に視覚的な映えよりも美味しさと機能面を重視しているので、スポンジに染みたお酒とシロップが蒸発しないように、バタークリームで表面全てを覆い、ローストしたアーモンドで食感にアクセントを付けながら飾る。
こうしてバタークリームで全体を覆う事で、時の経過と共にケーキの中では水分が行き渡り、
しっとりと口溶けの良いスポンジから香水の様にリキュールの風味が溢れ出す。
ケーキのトップにHappy Birthdayの文字とローズマリーの花を飾ったら、オーダーメイドケーキのできあがり!
受け渡し日当日
「お待ちしておりました!ケーキをお持ちしますね。」
「うわぁ~!!すごいステキ!嬉しいー!」
何度でも、この仕事をしていて良かったと思える瞬間。
遠くから通って来てくれて、大切なお誕生日ケーキの注文までしてくれて、本当に嬉しかった。
こちらこそ、こんな素敵なケーキを作らせてもらえる機会を作ってくれてありがとうだよと思った。
「お陰様で私もこんな美味しいケーキを新しく考案できて良かったですよ!
お店でも提供しても良いですか?」
「いいですね!」にこにこの笑顔で応えてくれる。
「良かった!私もこのケーキ気に入っちゃって!」
「嬉しい~、本当に良かった。」
今日の夜、家族でお誕生日のお祝いをするらしい。
想像しただけで顔がほころぶ。
いくつになってもお誕生日はお祝いされて嬉しいもの。
帰りがけに彼女は
「また5月くらいにもケーキお願いしたいと思ってます」と言っていた。
どんなオーダーメイドケーキの注文が来るのか楽しみだ。
