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雑記と私#127:生ける伝説

生ける伝説リビングレジェンド』。


色んな界隈でそう呼ばれる人たちがいる。

己を磨き上げ、成功し、その世界において
大きな功績を残した人物たちに対して、人々は
尊敬の念を込めてそう呼ぶ。

今回ご紹介するのもそうした”生ける伝説”の1人だ。


皆さんはこの写真、あるいはここに写っている
男性をご存知だろうか。

こちらが撮影されたのは2017年。

どういう訳か、数年に一度はSNSなどで話題になる
「片思いハート」などと呼ばれるこの写真。

一見するとコスプレ女子とヲタク男子のイマイチ
噛み合わないワンショット、そんな風に見える。
そのために何も知らない人がどこからかこの写真を
見つけてきては「ヲタクはこれだから・・・」などと
のたまうわけだ。

全くもって冗談ではない!
このお方を誰と心得る?!(落ち着け)


彼の名は”Justinジャスティン Wongウォン”。

いくつものギネス記録を持ち、オバマ大統領時代には
ホワイトハウスに招かれたほどのプロゲーマー。
対戦格闘ゲーム界における世界的な第一人者だ。


前出の写真は世界最大規模の格闘ゲーム大会、
通称『EVO』にて撮影されたものだ。
実はこの写真には”元ネタ”がある。

同じくEVO2017にて撮影された1枚。

先程の写真とはハートとサムズアップが男女逆に
なっているのがお分かりいただけるだろうか。

こちらの男性は『梅原 大吾ウメハラ ダイゴ』氏。

日本初のプロゲーマーであり、44歳を迎えた現在も
第一線で活躍を続ける、もう1人の”生ける伝説”。
ジャスティンとは伝説となった戦いを繰り広げた
ライバルであり、プロになった際は同じ企業から
スポンサードされた元チームメイトでもある。

どちらの写真にも同じ女性が写っているが、
彼女はあるプロ格闘ゲーマーの”いい人”。

当時すでに格闘ゲームの世界では知らない人は
いないくらい有名になっていたウメハラ氏と
ツーショットで記念撮影をお願いしたのだが、
ここでウメハラ氏の天然ぶりが炸裂!
彼女のハートマークをものの見事にブレイクして
しまったのである。

「片思いハート」はそんなウメハラ氏の天然ぶりを
受けて撮影されたジャスティン渾身の”ネタ”なのだ。

いかにウメハラ氏とジャスティンが仲が良いかを
象徴する1枚、というわけなのだが・・・どこで何を
間違えたのか、日本ではすっかり”がっかりヲタクの
ネットミーム”と化してしまっている。

少々どころではないくらい残念な話だ。


ではそんなジャスティンはどれくらいスゴいのか。

彼は格闘ゲームにおいて幅広いタイトルを網羅する
マルチゲーマーであり、プレイするタイトルを
絞り込む親友のウメハラ氏とは真逆のスタイルだ。

そんな彼が最も得意とするタイトルが
『MARVEL vs CAPCOM 2 -New age of Heroes-』。

MARVELコミックとCAPCOMのゲームの
ヒーローたちが一堂に集う3vs3のチームバトル。
数々のヒーローやヴィランたちが画面を所狭しと
駆け回る。チームバトルならではの
三位一体のド派手な攻撃も!

発売から20年以上を経てなおアメリカを中心に
人気のMARVEL vs CAPCOMシリーズの傑作。

ジャスティンはこのタイトルで賞金が掛かった
大会において、個人では4年以上無敗を誇った。
これが彼が持つギネス記録の1つである。

ただ強いというだけではない。

格闘ゲームというものはその性質上、どうしても
キャラクターの優劣というものが出てくる。
そのため、勝ちにこだわるのであればやはり
性能的に優秀なキャラクターを選びがちになる。
実際、現在の格闘ゲームシーンでも、そうした大会を
観ていると上位に勝ち上がってくるプレイヤーは
使用キャラもある程度偏りがちだ。

しかし、ジャスティンは違う。
自身がカッコいいと思うキャラ、好きなキャラを
使用する。

例えば前述のマヴカプ2ではチームのメンバーに
X-MENのリーダー、サイクロップスを採用している。
このサイクロップスというキャラ、ゲーム内での
性能はよくて中堅、より強力なキャラたちには
勝つのが難しいと言われている。

ジャスティンはそんなサイクロップスを使って
大会中に観客の度肝を抜いたことがある。

3on3形式のゲームで他のメンバー2人が倒され、
ジャスティンに残されたのはサイクロップスのみ。
対する相手はいわゆる「強いキャラ」で固めた
ガチガチのチーム編成でチームが3人とも健在だ。

「これはジャスティンでももう無理だろう」

そんな会場の空気をジャスティンはその実力で
ブチ壊した。

”3タテ”。

誰もが不可能だと思った逆転勝利をジャスティンは
サイクロップス1キャラだけでもぎ取ったのだ。

それ以来、アメリカでは
「ジャスティンが負けたらニュースになる」
とまで言われたという。


格闘ゲームをそれなりに知っている人であれば、
ウメハラ氏とジャスティンが繰り広げた伝説、
「背水の逆転劇」のイメージが強いかもしれない。

ウメハラ氏が使うのは白い道着のキャラ”ケン”。
対するジャスティンはチャイナ服の”チュンリー”。

試合はジャスティン優位に進み、ウメハラのケンは
相手の必殺技をガードしただけでもKOされる。
そんな中放たれたジャスティン操るチュンリーの
スーパーアーツ(超必殺技)”鳳翼扇ほうよくせん”・・・
レッツゴージャスティーン!

この試合で1セットを失ったジャスティンは
その流れのままウメハラ氏に敗退、4位に終わった。
まだ2人がプロの道を歩む前の話である。

この試合があまりにも有名であるため
(格闘ゲームにおいてYouTubeで再生された回数が
世界一の動画としてこちらもギネス認定されている)
「ジャスティンってそんなに強いの?」と
思っている方もいるかもしれない。

彼はこの試合を自らネタにして楽しむほどの強靭な
メンタルすら持ち合わせた生粋のゲーマーだ。
だからこそ”4年以上無敗”などという記録を
打ち立てられたのだ。


現在は妻子にも恵まれ、アメリカからカナダに
移り住んでいる。
愛娘との時間を大切にするために第一線からは
退いたが、今でもアメリカを中心に各地の大会や
イベントには引っ張りだこ。
特にジャスティンの解説はわかりやすくて面白いと
評判のようだ。

休日は家族と過ごしながらも、大好きな格闘ゲームの
配信も続けているなど、格闘ゲームのコミュニティを
広げるためにまだまだ積極的に活動している。

最後にもう1枚、写真をご覧いただきたい。
これは2024年に日本で開催された『EVO JAPAN』の
会場で撮影されたものだ。

レッツゴージャスティーン?

来日したジャスティンとの「記念撮影」のために
次から次へと男女問わず(笑)「片思いハート」を
求められた様子のごく一部だそうだ。
コスプレイヤーのえなこさんまでいるではないか。

ジャスティンいわく「数千人に声を掛けられた」
そうである。
『EVO JAPAN 2024』の来場者がのべ数万人規模だと
いうからあながち大袈裟でもないのかもしれない。

人気もそうだが、嫌な顔ひとつせずに笑顔で
応じるジャスティン。
紳士的で、格闘ゲームの腕前だけでなく人柄も
”一流”の、まさに『生ける伝説』そのものである。


そんなジャスティンにイヤというほど

「オーマイガー!」


と言わせた日本のエンターティナーの試合で
この記事を締めくくろう。


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