見出し画像

この論調、何回目?🤣|有名人を替えれば同じ社会問題がまたニュースになる

■ 導入


鷲見玲奈さんが、政治家の給料について語ったというニュースを見た。

以下の報道によると⁠、鷲見さんはInstagramのストーリーズで、

国民の給料は上がらないのに、政治家の給料は上がり続けている。

マニフェストを達成できなかったら、減給する仕組みにした方がいいのではないか。

普通の会社なら、ノルマを達成できなければ給料が下がる。

という趣旨の投稿をしたらしい。

なるほど🙂

言いたいことは分かる。

国民の生活が苦しい中で、政治家の給料だけが上がっているように見えれば、不満を持つ人もいるだろう。

でも、同時に思った。

この論調、

何回目?🤣

政治家は給料をもらいすぎ。

国民の生活は良くなっていない。

会社員なら成果が出なければ評価が下がる。

だから政治家も成果報酬にすべき。

昔から何度も見てきた論調である。

では、なぜ何度も擦られた論調が、また新しいニュースとして成立するのだろう。

考えてみると、論点の新しさとは別のものが見えてきた。

■ 政治家を会社員に置き換えるのは少し雑


まず、発言の中身を少しだけ見ておきたい。

政治家を会社員。

国民の給料をノルマ。

マニフェストを業務目標。

このように置き換えると、たしかに分かりやすい。

成果が出なかった。

だから評価を下げる。

給料も下げる。

会社員として働いた経験がある人なら、直感的に理解しやすい構図である。

ただ、制度として考えると少し雑である。

国民の給料は、個人の成績だけで決まるものではない。

企業の業績
物価
為替
産業構造
労使交渉
人手不足
海外情勢

さまざまな要因が絡む。

一方で、マニフェストも、個人ではなく政党単位で出されることが多い。

議席数や連立、野党との協議、財源、予想外の社会変化によって、実現条件も変わる。

では、誰の給料を何%下げるのか。

与党議員だけなのか。
野党議員は対象外なのか。
政策に反対した議員も同じなのか。

もしくは、簡単に達成できる公約ばかり出せば、減給を避けられるのか。

考え始めると、そんなに単純ではない🤣

ただ、今回の記事で政治家の給与制度を細かく論じたいわけではない。

俺が気になったのは、

👉 なぜ、この何度も見た論調がニュースになるのか

ここ🤣

■ 一般人が言ってもニュースにはならない


同じ内容を、一般人がXに投稿したらどうなるだろう。

おそらく、一つの政治批判ポストとして流れていく。

共感する人はいる。
反論する人もいる。
少し拡散されるかもしれない。

でも、ニュース記事にはなりにくい。

今回は、鷲見玲奈さんが言った。

だから記事になった。

つまり、新しいのは意見ではない。

新しいのは話した人である。

政治家の給料論が新しいのではない。

「鷲見玲奈さんが政治家の給料について語った」

という部分が、新しい情報として扱われている。

ここで、ニュースの商品の形が少し変わって見える。

売られているのは、新しい論点ではない。

有名人による、既存論点への反応である。

■ 女性アナには女性のキャリアを語らせがち


これと似た記事を、よく見かける。

女性アナウンサーや女性キャスターへのインタビューで、

結婚後の働き方。
出産と仕事。
育児との両立。
女性のキャリア。
管理職を目指すか。

こうした話を聞く記事である。

もちろん、女性のキャリアは重要な問題である。

本人に経験があり、自分の言葉で語りたいこともあるだろう。

それ自体を否定したいわけではない。

ただ、同じような記事が何度も作られる。

女性アナAさんが、出産後の働き方を語る。
女性キャスターBさんが、育児との両立を語る。
女性アナCさんが、女性のキャリアについて語る。

話している人は違う。
細かな経験も違う。

でも、記事全体の論調は似ている🤣

なぜ似るのか。

👉 テーマそのものを新しくする必要がないからである

今回はAさん。
次回はBさん。
その次はCさん。

話者を入れ替えれば、同じテーマでも別の記事になる。

■ 新しいのは意見ではなく話者


今回の政治家給与論も同じ構造ではないだろうか。

政治家は給料をもらいすぎ。
国民の生活は良くなっていない。
成果が出なければ減給すべき。

この論調自体は、何度も使われている。

でも、

今回は俳優が言った。
今回は芸人が言った。
今回はアナウンサーが言った。
今回はインフルエンサーが言った。

主語を替えれば、別の記事として成立する。

つまり、

社会問題を更新しているのではない。

👉 話者を更新している。

もっと簡単に言えば、

新しい人に、古い論点を語らせる🤣

これで新しいコンテンツが一つ生まれる。

■ 有名人×定番の社会問題


構造を整理すると、こうなる。

有名人

何度も語られてきた社会問題

分かりやすい怒りや共感

新しいニュースとして公開

定番の社会問題には、説明コストがあまりかからない。

政治家の給料が高い。
女性は仕事と育児の両立が大変。
若者の給料が低い。
税金が高い。
物価が上がって生活が苦しい。

どれも、多くの人が前提を知っている。

背景を一から説明しなくても、すぐに意味が伝わる。

そこに有名人の名前を置く。

すると、

「あの人が何を言ったのか」

という入口ができる。

内容に共感する人も開く。
反論したい人も開く。
その有名人が好きな人も開く。

そして、嫌いな人も開く🤣

つまり、

有名人
+ 誰でも知っている社会問題
+ 分かりやすい感情

は、記事にしやすい🤣

■ 本人の発言と、記事にする側は分けて考えたい


ここは分けておきたい。

鷲見さんは、自分のInstagramで自分の意見を投稿しただけである。

本人が、本気でそう思っている可能性もある。

政治について自由に発言すること自体は、何も悪くない。

問題にしたいのは、

その発言をメディアが拾い、

「有名人が政治に思いを吐露した」

というニュースへ変換する構造である。

本人が同じ論調を擦っている。

というより、

メディア側が、何度も使える論調を見つけ、有名人の名前を付けて再包装している。

発言者と、それを商品にする側。

ここは分けて見た方がいい。

■ ビジネスモデルが市場構造を作る


では、なぜこの形式の記事が増えるのか。

ここで、

ビジネスモデル

市場構造

がつながる。

アクセスを集めながら記事を継続的に公開するメディアでは、毎回すべての社会問題を一から調査するのは大変である。

取材には時間がかかる。
制度を調べるにも時間がかかる。
専門家へ話を聞くにも費用がかかる。

新しい論点を見つけ、読者へ分かるように説明するのも簡単ではない。

一方、有名人がSNSへ投稿した内容なら拾いやすい。

有名人の名前がある。
発言もある。
多くの人が知っている社会問題と接続できる。

あとは、

誰が言ったのか。
何を言ったのか。
どんな反応がありそうか。

この形へ整えれば、一つの記事になる。

つまり、継続的に記事を作り、アクセスを集めるビジネスモデルでは、

新しい社会問題を発掘するより、

👉 有名人を替えながら、実績のある社会問題を再利用する

方が効率的なのである。

そして、複数のメディアが同じ方法を使えば、市場には似た記事が増えていく。

ビジネスモデル

有名人の発言を記事化

定番の社会問題へ接続

話者を替えて再利用

同じ論調の記事が市場に並ぶ

こういう流れである。

■ 社会問題を語っているのに議論が深まらない


この構造には、少し怖いところもある。

社会問題の記事は増える。
政治家の給料について語る記事も増える。
女性のキャリアについて語る記事も増える。

一見すると、社会問題への関心が高まっているように見える。

でも、

👉 論点は毎回ほぼ最初から始まる。

政治家は給料をもらいすぎではないか。
女性は仕事と育児の両立が大変だ。
若者の給料が低い。
物価高で生活が苦しい。

ここまでは何度も語られる。

でも、その先へ進みにくい🤣

👉 政治家の成果を何で測るのか。
👉 マニフェスト未達の責任を誰が負うのか。
👉 成果報酬にした場合、どんな副作用が起きるのか。
👉 選挙以外に、どんな評価制度が考えられるのか。
👉 女性のキャリア形成を妨げている制度は何か。
👉 会社側の評価基準はどうなっているのか。
👉 育児負担は家庭内でどう分配されているのか。

こうした構造まで掘られない。

なぜなら、深掘りしなくても記事として成立するからである。

話者を替えれば、また入口から始められる。

その結果、

👉 社会問題の記事は増える。

でも、

👉 社会問題への理解は積み上がらない。

これ、結構大きな違いではないだろうか。

■ 有名人も役割へ押し込まれる


さらに、この構造では有名人側も一つの役割へ押し込まれやすい。

女性アナなら、女性のキャリア。
母親になった芸能人なら、育児。
若い芸能人なら、若者の政治参加。
経営者なら、仕事論や成功論。

有名人本人には、もっといろいろな経験や考えがあるはずである。

でも、記事にしやすいテーマだけが切り取られる。

すると、本人の個性ではなく、

女性代表。
母親代表。
若者代表。
国民目線の代表。

として扱われる。

誰が話しても似た論調になるのは、本人たちの考えが浅いからとは限らない。

メディア側が、その人に当てはめやすいテーマだけを選んでいる可能性もある。

ここも見ておきたい。

■ 最後に


鷲見玲奈さんの政治家給与についての発言を見て、最初に思った。

この論調、何回目?🤣

ただ、何度も擦られている理由を考えると、少し違うものが見えてきた。

同じ社会問題が解決していないから、繰り返し語られる。

もちろん、それもある。

でも、同じ論調が何度もニュースになる理由は、それだけではない。

有名人を替えれば、同じ社会問題でも新しい記事として成立する。

女性アナには、女性のキャリア。
母親になった芸能人には、育児との両立。
芸能人が政治について語れば、政治家の給料や国民感覚とのズレ。

論点は同じでも、話者が変われば新作になる。

そして、その記事を量産しやすいビジネスモデルが、似た論調ばかりが並ぶ市場構造を作る。

つまり、今回新しかったのは、

政治家の給料論ではない。

鷲見玲奈さんが言ったということ。

ここである。

社会問題の記事を読むときは、

何を言ったのか。

それは正しいのか。

だけでなく、

なぜ、この人にこの社会問題を語らせたのか。

なぜ、何度も擦られた論調が再び記事になったのか。

そこまで見ると、メディアの作り方が少し見えてくる。

👉 新しい話者は、新しい議論とは限らない

有名人を替えれば、同じ社会問題がまたニュースになる。

いや、この論調、

本当に何回目やねん🤣

いいなと思ったら応援しよう!