宅配ピザの2枚目半額は誰を狙ってる?🤣|駐車場のない店から見えた二つの市場
■ 導入
宅配ピザの店では、よくこんなキャンペーンを見かける。
持ち帰りなら2枚目半額。
おお。
半額🤩
家族や友人と食べるなら、かなりお得に見える。
でも、前から気になっていたことがある。
宅配ピザの店舗って、
駐車場がない店、多くない?🤣
持ち帰りを強くアピールするなら、車で取りに行けた方が便利なはずである。
ところが、実際には小さな店舗も多く、専用駐車場がない。
では、自転車で行けばいいのか。
いや、ピザの箱は大きい。
普通の自転車のカゴには入らない。
片手で持ちながら運転するのは危ないし、荷台に載せるなら固定用の紐が必要になる。
バイクも同じである。
しかも、
2枚目半額だから、箱が2つになる🤣
お得になるほど、持ち帰りにくくなる。
そう考えると、持ち帰りキャンペーンを実際に利用しやすいのは、
👉 店舗から徒歩圏内に住んでいる人
くらいではないだろうか。
全国でCMを流すほど宣伝しているのに、実際に利用できる人はかなり限定される。
これ、なんなん?🤣
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■ よくある説明は「配達コストが浮くから」
気になってネットで調べてみると、よく出てくる説明はこれだった。
持ち帰りなら配達が不要になる。
配達コストが浮く。
その分を値引きできる。
なるほど。
一見すると、筋が通っている。
俺も最初は、
そういうことかな?
と思った。
でも、少し考えると違和感が残る。
宅配ピザの配達員は、
👉 注文が入るたびに雇われるわけではない
👉 あらかじめシフトに入っているアルバイトである。
つまり、持ち帰り注文が1件増えても、その時間の人件費が1件分消えるわけではない。
1件持ち帰りになった程度では、人件費の多くはそのまま残る。
浮くのはガソリン代など、一部の変動費くらいだろう。
となると、
配達コストが浮くから2枚目を半額にできる。
だけでは、少し説明が足りない。
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■ 2枚目半額は損してない?
ここで仮に、持ち帰り販売をなくした場合を考えてみる。
現在持ち帰りを利用している客が宅配へ移れば、店は2枚目を半額ではなく、通常価格で販売できる。
もちろん、宅配にすれば配達コストがかかる。
ただし、ここで重要なのは、配達コストの性質である。
配達員は、前述の通り注文が入るたびに1人ずつ雇われるわけではない。
あらかじめ、その日の宅配件数を想定してシフトに入っている。
注文が1件増えても、既存のシフトで対応できる範囲なら、追加でかかるのは主に一往復分のガソリン代である。
一方、持ち帰りで2枚目を半額にすれば、その値引き分は確実に利益から減る。
しかも、宅配ピザを食べるのは複数人であることが多い。
家族
友人
集まり
最初から2枚以上注文する客も珍しくないはずである🤣
もし、もともと2枚買う予定だった客の2枚目を半額にしているなら、
👉 2枚目の追加購入を生んだのではなく、
👉 もともと売れる2枚目を値引きしただけ
になる🤣
それなら、徒歩圏内に住んでいる客にも通常どおり宅配して、2枚とも通常価格で売った方が利益は大きいのではないだろうか。
つまり、もともと宅配を利用していた客を持ち帰りへ移すだけなら、店側にとって得とは限らない。
それでも本当に、
👉 配達コストが浮くから、2枚目を半額にできる
という説明だけで足りるのだろうか。
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■ 駐車場があれば成功するのか
ここで、一つ思い出した事例がある。
詳細までは知らないし、一店舗だけの話なので、これだけで何かを断定することはできない。
ただ、近所に、
駐車場のあるコンビニ跡地に入った、2枚目半額の宅配ピザチェーン
があった。
持ち帰り半額。
さらに駐車場あり。
車で取りに行き、ピザを水平に積んで帰れる。
持ち帰り施策にとって、かなり良い条件に見える。
ところが、その店舗は1年ほどで閉店した。
もちろん、閉店理由は分からない。
家賃かもしれない。
競合かもしれない。
商圏に問題があったのかもしれない。
ただ、少なくとも、
👉 駐車場さえあれば、持ち帰り半額は強い
とは限らないことが分かる。
むしろ、車を出した瞬間に選択肢が増える。
スーパー
ファミレス
回転寿司
弁当
ファストフード
他のテイクアウト
わざわざ車でピザを取りに行く客は、ピザ以外の店も自由に選べる。
駐車場があるから強くなるとは限らない。
では、持ち帰り半額は誰を狙っているのだろう。
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■ 主力は宅配。持ち帰りは別市場では?
ここで、これまでに出てきた二つの点を重ねてみる。
一つ目は、持ち帰りできる人が限られていること。
導入で述べたように、店舗には駐車場がないことが多い。
ピザ箱は自転車やバイクでも運びにくいため、遠距離の客が持ち帰りを利用するのは難しい。
つまり、持ち帰りを利用しやすいのは、
👉 店舗から徒歩圏内に住んでいる人
にほぼ限られる。
二つ目は、近隣への宅配が持ち帰りに変わっても、配達コストが大きく減るとは限らないこと。
配達員は一件ごとに雇われるのではなく、一日単位のシフトで入っている。
近隣への宅配が何件か持ち帰りに変わっても、広い商圏への宅配は残る。
そのため、必要な配達員数や人件費は簡単には減らない。
つまり、
👉 遠距離の客は持ち帰りを利用しにくい。
👉 近隣の宅配が持ち帰りに変わっても、配達員の人件費は大きく変わらない。
この二点を考えると、持ち帰り半額は、
「宅配客を店頭受取へ移動させ、配達コストを削減する施策ではない」
のかもしれない。
つまり、宅配ピザの主力は、あくまで宅配である。
家から出なくていい。
複数人分を届けてもらえる。
多少高くても、利便性を買いたい。
この宅配市場は、そのまま維持する。
そのうえで持ち帰り半額を使い、
👉 別の市場を取りに行く。
それが、
👉 店舗周辺に住む人の外食・中食需要
ではないだろうか。
👉 今日は外食しようかな。
👉 何か買って帰ろうかな。
👉 晩ご飯を作るのが面倒だな。
そんな近隣住民に、
「近所なら取りに行ける」
「2枚目半額なら、家族で食べても外食より安い」
と思ってもらう。
👉 宅配ピザを買う予定だった人を動かすのではない。
👉 スーパーや飲食店へ流れるはずだった需要を、持ち帰りピザへ引き込む。
持ち帰りの本命は、遠くから車で来る客ではない。
👉 店舗から徒歩で持ち帰れる近隣住民
なのである。
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■ 市場が二つなら、配達員は減らない
この仮説が正しければ、配達員が減らない理由も見えてくる。
宅配市場は維持する。
そのうえで、徒歩圏の外食市場を追加で取る。
この形なら、配達員は引き続き必要である。
増減があるのは配達コストではない。
あるのは、同じ店舗、同じ厨房から出せる注文数である。
つまり持ち帰り半額は、
人件費を削減する施策ではなく、
👉 既存の店舗と厨房を使って、別市場の売上を上乗せする施策
と考えた方が自然ではないだろうか。
👉 宅配では広い商圏を取る。
👉 持ち帰りでは徒歩圏を取る。
一つの店舗から、二つの市場へ売る。
こう考えると、単なる配達コスト削減より、だいぶ筋が通る。
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■ 「配達しないなら安くして」の心理
持ち帰りを選ぶ客の心理もある。
近隣住民が自分で店舗まで取りに来たのに、宅配と同じ価格だったらどう感じるだろう。
おそらく、
👉 配達してもらってないのに、安くならないの?
と思う。
実際に店の人件費がどれだけ減るかとは別の話である。
客は宅配ピザの高い価格に、配達代も含まれていると感じている。
だから、持ち帰りでも同じ価格だと損した気分になる。
そこで2枚目半額。
すると客は、
「自分で取りに来た分、安くなった」
と感じられる。
複数人で食べるピザと相性の良い2枚目だけを半額にすれば、
値引き感は大きい。
そして、それはそのまま外食需要を持ち帰りピザへ引き込む役割にもなる。
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■ なぜ全国CMでアピールするのか
ここで最初の疑問に戻る。
徒歩圏の近隣住民しか利用しにくいのに、なぜ全国CMで大きく宣伝するのか。
全国の人を、遠くの店舗まで呼ぶためではない。
👉 全国に点在する各店舗の徒歩圏住民へ、一斉に知らせるため。
そう考えれば不思議ではない。
さらに、実際に持ち帰りを利用しない人にも、
あのピザチェーンは半額で買える。
あの店は意外と安い。
という印象が残る。
宅配ピザには「高い」というイメージがある。
持ち帰り2枚目半額を全国CMで繰り返せば、実際の利用者が限定されていても、ブランド全体の価格イメージは下げられる。
後日、持ち帰りではなく宅配で注文する人もいるかもしれない。
つまり全国CMには、
徒歩圏の外食需要を取る
+ ブランド全体に安い印象を付ける
+ 宅配需要も思い出させる
という複数の役割があるのではないだろうか。
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■ 配達コスト削減だけでは説明できない
もちろん、これは公開された経営資料をもとにした結論ではない。
駐車場のない店舗。
自転車やバイクでは運びにくいピザ箱。
2枚目半額という条件。
配達員の人件費の性質。
複数人で食べる商品の特性。
駐車場付き店舗が短期間で閉店した事例。
こうした点をつないで作った仮説である。
実際には、店舗ごとの立地、原価、注文構成、持ち帰り比率なども確認する必要がある。
ただ、これまで見てきたように、
👉 持ち帰りなら配達コストが浮くから半額にできるだけでは、説明できない点が多い。
しかも、持ち帰りは別市場を取る施策なら、元々の市場である宅配の配達員は減らない。
だから、本質はコスト削減ではなく、
👉 宅配を主力に維持しながら、持ち帰りで店舗周辺の外食市場を追加で取ること
ではないか。
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■ 最後に
最初の違和感は単純だった。
持ち帰り2枚目半額をアピールするのに、なんで駐車場がないの?🤣
でも、そこから考えていくと、
宅配と持ち帰りは、同じ客を奪い合う二つの受取方法ではなく、
👉 異なる市場を狙う二つの販売チャネル
に見えてきた。
👉 宅配は、広い商圏の利便性需要を取る。
👉 持ち帰りは、徒歩圏の外食需要を取る。
2枚目半額は配達コストの還元というより、近隣住民を動かし、「自分で取りに来た分だけ得をした」と感じてもらう仕組み。
ネットで検索すると、配達コストの削減という説明は出てくる。
でも、そこで納得していたら、この構造までは見えなかった。
ややこしいネタだけど、
配達コストとは何かを考えたら、別の見え方ができると思う。
