昭和天皇の釈教歌

昭和天皇の釈教歌

・昭和22年(1947年)戦後巡幸時

終戦から間もない時期、高野山を訪れた際に詠まれた歌です。

「奥の院に まゐりてみれば いにしへの ままなる杉の 木立なりけり」

・高野山には、昭和22年(1947年)と昭和52年(1977年)の参拝時のお歌が残されています。

「史(ふみ)にみる おくつきところを おがみつつ 杉大樹(おおき)ならぶ 山のぼりゆく」

・因通寺での「み仏の子」の歌

昭和24年、佐賀県の因通寺(浄土真宗)を訪れ、戦災孤児たちと対面された際の有名なエピソードに関連する歌です。

「みほとけの 教えまもりて すくすくと 育つらむ子ら たのもしきかな」

・善通寺(香川県)

昭和天皇は昭和25年(1950年)の南海道巡幸の際、弘法大師の誕生地である善通寺を参拝されました。

「いにしへの 聖(ひじり)のあとの 尊くて 善通寺の山を 仰ぎて見るかな」

・法隆寺(奈良県)

昭和26年(1951年)、聖徳太子1330年遠忌にあわせて法隆寺を参拝された際のお歌です。

「聖徳(しょうとく)の 太子の遺徳を しのびつつ 法隆寺の塔を 仰ぎて見るかな」

・知恩院(京都府)

昭和26年に知恩院を訪れた際、法然上人の遺徳を偲んで詠まれた歌があります。

「松風の 音もきこえて 静かなる 智恩院(ちおんいん)の 庭を見るかな」

・広隆寺・弥勒菩薩(京都府)

昭和26年(1951年)、京都を訪問された際に広隆寺の「弥勒菩薩半跏思惟像(国宝第1号)」を拝観されました。その際、その静謐な美しさに深く感じ入って詠まれたお歌です。

「みろくの ほとけのすがた おがみつつ 世の平和をぞ ひたすら願ふ」

・鹿苑寺(京都府・金閣寺)

昭和30年代に再建された金閣寺を訪れた際、その美しさを詠まれています。

「あたらしく 建てられたる 金閣の かがやくを見て 心なごめり」

・昭和36年(1961年)の「親鸞聖人七百回御遠忌」の時期に、浄土真宗の教えや聖人の歩みに思いを馳せて詠まれたお歌です。

「ひたぶるに 道を求めし いにしへの ひじりのあとを たどるたのしさ」

・満濃池は弘法大師が改修を手掛けた日本最大級の溜池ですが、昭和天皇は昭和41年(1966年)にこの地を訪れ、その情景を詠まれました。

「弘法の大師のむかし おもほゆて 満濃の池は 水たたへたり」


・成田山新勝寺(千葉県)昭和43年の本堂建立の際などに寄せられたお歌などが大切にされています。「古き世の たたずまひなる 寺々に いまもかはらぬ 鐘の音かな」


・昭和45年(1970年)大阪万博の視察に併せて高野山を再訪された際のお歌。

「二十(はたと)せあまり 経てまた来れば 高野山 木立もさらに しげりたるかな」

・四国巡幸の際、弘法大師ゆかりの地である室戸を訪れた際のお歌です。

「室戸なる ひと夜の宿の たましだを うつくさと見つ 岩間岩間に」

・昭和50年(1975年)、東大寺の大仏殿を拝観された際のお歌です。

「大仏(おおぼとけ)の おんすがたを 拝みつつ 平和なる世を ひたすら願ふ」

・昭和50年代、薬師寺の「お写経勧進」によって西塔が再建された際などに詠まれた歌。「人びとの ねがひをこめて 写経せる 文(ふみ)ををさめて 塔はたちけり」

・1951年(昭和26年)11月薬師寺を訪れた際に詠まれた歌。

「いにしへの ままなる御寺(みてら)の たたずまひ 尊くみえて こころうたれぬ」

・昭和54年(1979年)、昭和天皇が泉涌寺を参拝された際、御霊殿(歴代天皇の尊儀が祀られている場所)を仰ぎ見て詠まれた歌。

「みほとけの かたわらにこそ ましまさめ 御寺(みてら)にねむる 代々のきみたちは」

・昭和56年(1981年)の「日蓮聖人七百遠忌」に関連して読まれたお歌。

「法(のり)のため 身をささげにし いにしへの ひじりの心を いまもおもうかな」

・昭和59年(1984年)の「弘法大師一千百五十年御遠忌」に際して詠まれた歌。

「弘法の大師ののりの ともしびは いまも絶えずに 人を照らせり」

・日光をご訪問時、輪王寺に関連して詠まれた歌。

「杉の木の しげれる山に 囲まれて 静かにたてる 寺の尊さ」

・昭和天皇は比叡山にも登られており、その荘厳な雰囲気を詠まれています。

「比叡の山 ふもとの里は かすみつつ 雲のうへにぞ 寺はみえける」

「一隅(いちぐう)を 照らす心を 守りつつ つとめはげまむ 国民(くにたみ)をまつ」

・京都巡幸の際、広大な境内を持つ妙心寺に関連して詠まれた御歌。

「古き世の たたずまひなる 寺々に いまもかはらぬ 鐘の音かな」

・晩年、昭和63年(1988年)の夏、病に倒れられる直前に皇居の道灌堀に咲く蓮を見て詠まれた、絶筆に近いお歌。

「夏たけて 堀のはちすの 花みつつ ほとけの教え 憶(おも)う朝かな」

・中宮寺・菩薩半跏像(奈良県)

法隆寺に隣接する中宮寺の「如意輪観音(伝・弥勒菩薩)」を拝された際の御製。

「いにしへの 人の作りし ほとけぐさ 微笑(ほほえ)むをみて 心なごめり」

・京都府木津川市の浄瑠璃寺を訪れた際、九体の阿弥陀如来が並ぶ姿を拝して詠まれています。

「九(ここの)つの ほとけの座(くら)を おがみつつ 浄瑠璃寺の 庭を歩めり」

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