畳の疑問100選 第1回
なぜ畳1枚は「2尺9寸×5尺8寸」なのでしょう?
畳屋として仕事をしていると、お客様から
「どうして畳って、この大きさなの?」
と聞かれることがあります。
現在、関東で一般的に使われている「関東間(江戸間)」の畳は、
2尺9寸 × 5尺8寸
(約88cm × 176cm)
という大きさです。
実は、この寸法には日本の建築の歴史が深く関わっています。
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昔の畳は「敷物」でした
畳が使われ始めた平安時代、畳は今のように部屋全体へ敷き詰めるものではありませんでした。
身分の高い人が座ったり寝たりする場所に置く、特別な「敷物」として使われていたのです。
そのため、大きさや厚みも一定ではありませんでした。
鎌倉時代から室町時代にかけて、畳は部屋の一部から部屋全体へと敷かれるようになり、それに伴って畳の寸法も次第に統一されていきました。
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京間と関東間の違い
16世紀末ごろ、京都では
6尺3寸 × 3尺1寸5分
(約191cm × 95.5cm)
という規格の畳が使われるようになりました。
これが現在の「京間(本間)」です。
京都では、この畳の大きさを基準に柱の位置を決める**「畳割り」**という建築方法が発達しました。
一方、江戸では柱と柱の中心を**6尺(約182cm)とする「柱割り」**という方法が普及しました。
柱の太さを差し引くため、畳はおおむね
5尺8寸 × 2尺9寸
となり、これが現在の関東間(江戸間)の基準になりました。
つまり畳は、単なる床材ではなく、日本の家づくりを支える「ものさし」でもあったのです。
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畳屋は今でも尺貫法を使っています
現在はメートル法が一般的ですが、畳屋は今でも
「尺」「寸」「分」
という尺貫法を日常的に使っています。
採寸をするときも、

「1分強め」
「1寸5分小あまめ」
というように、職人同士では昔からの単位で会話をします。
何百年も受け継がれてきた畳づくりとともに、尺貫法も今なお職人の世界で生き続けているのです。
フローリングでも「6畳」と言う日本人
考えてみると、日本人には面白い習慣があります。
「どれくらいの広さ?」
と聞かれると、
「6畳くらいかな。」
「8畳くらいあるよ。」
と答える人がほとんどです。
その部屋がフローリングの洋室でも、マンションでも、多くの人が「畳」を基準に広さを表現します。
「約10㎡です。」
「縦4m、横2.5mです。」
と答える人は、それほど多くありません。
畳のある暮らしが少なくなった今でも、私たち日本人の感覚の中には「6畳」「8畳」という基準がしっかり残っています。
畳は床材であるだけでなく、日本人の暮らしの「ものさし」でもあるのかもしれません。
最後に
実際の畳は、すべてが同じ大きさではありません。
建物にはわずかなゆがみや誤差があるため、畳屋は部屋を細かく採寸し、その部屋にぴったり合うよう一枚一枚製作しています。
今でも畳屋は、この何百年も受け継がれてきた寸法をもとに、一枚一枚その部屋に合わせて製作しています。
畳には、日本の建築文化と職人の技術、そして長い歴史が受け継がれているのです。
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