子育ての街「流山市」が凄いワケ
column vol.927
コロナ禍のリモートワークの広がりで移住を考える人は増えていますが、その理由に「子育てしやすい環境に移りたい」という点を挙げる人は多いでしょう。
実際、カラダノートの「子育て世代の移住に関する意向調査」の結果でもその傾向は見られます。
〈@DIME / 2023年1月28日〉
子育て環境を求める声が8割超
まず、「現在お住まいの地域よりも地方への移住・二拠点生活への関心がありますか?」という問いに対し、「現在、移住を検討中(7%)」、「関心はあるが、時期は未定(14%)」、「関心はあるが、調べたりはしていない(21%)」という結果に。
それらを足すと42%の子育て世代が地方移住への関心が高いということが分かります。
そして、その理由を見てみると「子どもの教育・自然の豊かさといった生活環境を考慮し関心を持った(83.3%)」が最も多く、次に多かったのは「地域コミュニティが豊かな環境で子育てがしたい(40.5%)」でした。
ということで、子育てのために移住を考えている人は多いということが証明されます。
ではでは、一体どこを移住先として皆さん考えているのでしょうか?
「移住したい都道府県」の回答を確認してみましょう。
1位は何と「京都府(19%)」。
以下、2位「大阪府・神奈川県(17%)」、3位「千葉県(14%)」、4位「沖縄県・北海道(12%)」、5位「群馬県・静岡県(10%)」と続いています。
そして、ようやく本日のテーマである「流山市がどう凄いか」という話です(笑)
流山市は3位の千葉県にあるのですが、「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」のキャッチフレーズで知られる街。
2016年から21年まで6年連続で「人口増加率日本一」を達成した市として有名です。
もともと都市計画コンサルタントだった市長が手腕を発揮して、駅周辺の近未来的な景観だけでなく、新しい商業施設、緑豊かな公園、旧市街の再生、交通の利便性を生かした産業の誘致など矢継ぎ早に取り組み、今では「千葉のニコタマ(二子玉川)」とも呼ばれる存在となっています。
流山おおたかの森駅は “子育てターミナル”
その凄さの一端を感じられるのが「流山おおたかの森駅」です。
流山市が市内の社会福祉法人に委託して運営している「送迎保育ステーション」が、子育て世代にはたまらない魅力を放っています。
〈デイリー新潮 / 2023年1月27日〉
午前7時から7時50分の間に、駅前ビルの3、4階にある送迎保育ステーションに子供を連れて行くと、市内各所の保育所に通う子どもたちをルートごとに送迎するバスが待ち構えています。
そして午前8時から9時までに子どもたちは保育所に送り届けられます。
そして帰りは午後4時、送迎保育ステーションを出発したバスが市内各所の保育所を回って子供たちをピックアップし、午後5時までに送迎保育ステーションに送り届けてくれます。
仕事帰りの親は午後6時までに迎えに行き、家路につくというわけです。
このサービスを流山市民は1日100円、月額最大2千円で受けられます。
さらに、送迎保育ステーションは通常の保育所も併設しており、お迎えが遅れても午後7時までなら100円、午後8時まででも30分500円の追加料金を支払えば子どもを預かってくれます。
このサービスに登録している人の数は、ピーク時で200人以上。
2018年には延べで5万人弱が利用していました。
その後、コロナ禍で利用者は減ったそうですが、感染拡大が収まりつつある今後は再び利用者が増えていくでしょう。
というように流山市では、子育て世代に嬉しいさまざまなサービスが用意されています。
では、なぜそんな街をつくることができたのでしょう?
マーケティングの力で「住みたい街」へ
この流山市、自治体には珍しく「マーケティング課」というものが存在しています。
〈DIAMOND online / 2023年2月13日〉
2003年5月に市長に就任した井崎義治さんは、まず流山市をSWOT分析したそうです。
SWOT分析とは、マーケティングの一つで組織や個人を「強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)」の4つのカテゴリーで要因分析し、経営資源を最適活用する手法です。
・流山の強みをどう活かすか?
・流山の弱みをどう克服するか?
・どのように機会を利用するか?
・どのように脅威を取り除くか?
それらを分析していけば自ずと流山市のやるべきことは見えてきます。
その上でマーケティングはメインターゲットを決めなければなりません。
しかし、このことに市役所社員は猛反発するわけです…(汗)
なぜなら、市役所が特定の誰かに目を向けることなんてあり得ないわけです。
しかし、予算は潤沢にあるわけではありません。
限られた予算をさまざまなことに満遍なく使っていけば、当然、全てのことが薄くなってしまいます。
マーケティングの世界では、「誰にも嬉しい」を目指すと「誰にも嬉しくない」状況になることを知っています。
とはいえ、自治体は一般企業ではありません。
ターゲット以外の人を切り捨てるわけにはいきませんから、何か別の手立てが必要になります。
そこで「対策」を「政策」に変えることでコストを削減したのです。
予算の集中投下で魅力的な街をつくる
つまり、どういうことかというと、例えば「道路」を挙げるとすると「陥没した道路を直す」は対策になります。
一方、陥没する前にその危険性を察知して先手を打つのが「政策」です。
つまり、陥没する前に手を打った方が道路にかかる費用は安く済むのです。
そこで、対策を政策にするためにデータマーケティングを駆使します。
何か問題が起こる前にデータで予測し、整備してしまうのです。
こうやってコストを抑えながら今まで通り、満遍なく市民のニーズに応えていく。
その上でメインターゲットに予算を投下していきます。
では、流山市のメインターゲットとは誰か?
もうお分かりですね、それは子育て世代です。
より正確に言うと「DEWKS(共働きの子育て世帯)」となります。
共働き夫婦は共助、公助なくして子育てすることはできません。
子どもは未来の光。
だからこそ、DEWKSが子育てしやすい街づくりを行ったのです。
その成果が、先程述べた通り6年連続の「人口増加率日本一」の達成につながっています。
自治体の運営にもマーケティングメソッドを活用すれば、理想の街づくりに大きく寄与することができます。
いちマーケターとしては、培ったマーケティングノウハウを企業という狭い枠ではなく、さまざまな社会貢献に使っていきたいと改めて感じた事例でした。
もしも、マーケティングに興味はあるけど、どこから手をつけたら良いか分からないという方がいらっしゃれば無料相談を受け付けます(笑)
いずれにせよ、マーケティングをちょっとでもかじっておくと、とても大きな力になってくれるはずですので、この分野に少しでも興味を持ってくださる方が増えたら嬉しい限りです。
