日本と宇宙が近くなる
vol.1448
先週、NASAがレゴリス(月の砂)から酸素を抽出することに成功したという驚きのニュースが世界を駆け巡りました。
〈TABI LABO / 2025年5月8日〉
酸素は人間の生命維持だけではなくロケット燃料にもなる貴重な資源。
月のレゴリスから酸素を生成できれば、地球からの酸素輸送コストを大幅に削減することが可能になる。
今回の発見は、宇宙探査の未来を大きく変えていくことになるでしょう。
非常に興味深いニュースですが、「月のニュース」といえば、個人的にさらに楽しみにしている話があります。
それは、日本の宇宙スタートアップ企業「ispace」による月着陸船着陸です。
〈NHK NEWS WEB / 2025年5月7日〉
成功すればアジアの民間企業では初の歴史な快挙。
着陸は6月6日を予定しており、その興奮の瞬間まで残り1ヵ月となっております。
そして、ispace以外にも、日本企業の宇宙事業の躍進により、この国と宇宙がグッと近くなるような予感がしている。
〜ということで、本日はワクワクするような各社の取り組みをいくつかご紹介させていただきます😊
アジア初の民間企業の成功へ
まずは、ispaceの続きをお話ししたいと思います。
実は、同社は2年前「民間企業として世界初」となる月面着陸に挑戦。
しかし、着陸の最終段階で高度認識システムの不具合が発生し、高度約5kmから墜落したとみられ、着陸は成功しませんでした。
一方で、私はこの失敗があっても、CEOの袴田武史さんが描く壮大なビジョンに注目をして参りました。
同社の主な事業は、月面・月周回における
●高頻度輸送サービス(ランダーやローバーを用いたペイロード輸送)
●データ取得・調査支援およびその販売
●ペイロード(搭載物)開発支援
●採掘事業(資源採取)
などを展開。
先週、JAXAが進める宇宙戦略基金 第一期の公募テーマの1つである、「月-地球間通信システム開発・実証(FS)」について、KDDIとともに月面モバイル通信に関する調査の委託業務契約を締結したことがニュースになりました。
〈NIKKEI COMPASS / 2025年5月8日〉
袴田さんも、今回の締結に対して
「ispaceが目指すシスルナ経済圏の構築には欠かすことの出来ないビジネスであり、その未来につながる第一歩に貢献出来ることを嬉しく思います」
とコメントしているのですが、この「シスルナ経済圏」こそが、私の注目するispaceのビジョンなのです。
民間企業を目指す「シスルナ経済圏」
シスルナ経済圏というのは「月面経済圏」のこと。
地球と月が一体となった新しい経済・社会の仕組みを指します。
同社は、月に存在するとされる水資源を中心に、建設・製造・エネルギー・通信など多様な産業の参入を促し、月面インフラの確立を推進。
長期的には、2040年代までに1,000人が月面に居住し、年間10,000人が月を訪れる世界を構想しているのです。
この経済圏では、単なる実験や冒険にとどまらず、ビジネスとしてお金が循環する仕組みをつくることで、持続的な宇宙活動を実現しようとしている。
特に月の水資源を利用してエネルギーを現地生産することで、地球周辺の衛星インフラの維持や、より遠い宇宙への探査が低コストで実現することができるでしょう。
これは、先ほどのNASAが発見した酸素の話に通じますね。
ispaceは、人類の生活圏を宇宙にまで拡大し、地球と月が一つのエコシステムとなることで、最終的には地球上の生活や産業にも還元することを目指している。
ちなみに皆さん、「スカパー」と聞いて、どんな会社を思い浮かべるでしょうか?
恐らく、有料多チャンネル放送「スカパー!」を思い浮かべるかと思います。
つまり、メディア事業会社。
しかし実は、もう1つの柱となるのが宇宙事業なのです。
アジア最大規模の静止軌道衛星や低軌道衛星を活用し、衛星通信サービスの提供や衛星データを活用した新たな宇宙ビジネスを展開しています。
これにより、防災や危機管理の通信インフラ、地球環境モニタリングなど多様な分野に貢献。
つまり、宇宙への進出は、地球上でのより安心・安全で豊かな暮らしにつながるのです😊
「国産ロケット」に高まる期待
ロケット分野でも、日本の期待を集めている企業があります。
それが三菱重工業です。
〈JBpress / 2025年5月7日〉
次世代基幹ロケット「H3」は、新開発のLE-9エンジンや民生品の活用などにより、H2Aの基本型で約100億円だった打ち上げ費用を半減。
低コスト・高頻度・高性能という特長を活かし、国際的な商業衛星打ち上げ市場での競争力向上を目指しています。
多様な衛星や軌道に対応できる柔軟な設計にすることで、小型衛星の多数同時打ち上げから大型衛星の単独打ち上げまで幅広く対応することが可能になるのです。
『ロケットサバイバル2030 国産H3は世界市場で勝てるか』の著者で、ノンフィクション作家・科学技術ジャーナリストの松浦晋也さんも
「安全性に関していえば、H3の前世代機であるH-ⅡAロケットの打ち上げ成功率は97.95%(49機中48機が打ち上げ成功)と諸外国のロケットと比較しても十分に高い実績を残しています。
また、定時性に関しては、機体や設備に起因する延期なしの打ち上げ率(On time率)は79.6%(49機中39機)と、他国と比較して非常に高い数値となっています。これは日本ロケットのブランドイメージ、かつ、競争力のアピールポイントともいえます。
さらに、低コストという点でも、50億円という低価格に目途がついています。昨今の円安がさらなる追い風となり、確かな強みといえそうです。
このようにH3ロケットは、輸送システムとしての基本的な能力である安全性・定時性・低コストについて、世界的な商業用ロケット市場から見ても高い競争力を持っているといえます。世界的に打ち上げ需要が逼迫する中、そこにH3が食い込む余地は十分にあるのではないでしょうか」
とコメント。
H3は、まさに日本の希望の星ですね✨
完全子会社化で輝きを増す「星」
「星」といえば、もう1つ期待したい話題があります。
それがNTTが進める宇宙事業「NTT C89」です。
こちらの名前には、NTTグループの宇宙関連事業を「星」に例え、それらをつなげて「89番目の星座」を作るという意味が込められているのですが、
先週発表されたNTTによる NTTデータの完全子会社化が、この星をさらに輝かせると予想しています。
〈NHK NEWS WEB / 2025年5月8日〉
C89は
●静止軌道(GEO)衛星を活用した通信サービスや光データリレーサービスの提供
●低軌道(LEO)観測衛星とデータプラットフォームの開発、3D地図やデジタルツインサービスの展開
●高高度プラットフォーム(HAPS)の商用化と国内外でのサービス提供
●通信LEO衛星分野では、Amazon Project KuiperやStarlinkなど外部パートナーと連携し、サービス化を加速
などを進めていますが、NTTデータの持つDX・AI・データ解析などのノウハウやリソースが同事業の中で生きている。
今回の完全子会社化は、グループ全体での横断的な取り組みが加速していくことになるでしょう。
これにより、C89のグローバル展開や競争力強化が推進されるはずです。
そんな希望的観測を持ちながら、今後の各社の取り組みを見届けたいと思います。
正直、まだまだご紹介したい会社やプロジェクトは数多あるのですが、今回はこの辺で😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!

