「カルチャー」が企業を「永遠」にする
column vol.716
昨日、サイボウズが世界的なインフレ傾向を踏まえ、「インフレ特別手当」を社員に支給するというニュースがありましたね。
〈Impress Watch / 2022年7月13日〉
日本とグローバル拠点で、同社と直接雇用契約を結ぶ社員(無期・有期雇用ともに)に対し、 7~8月間に特別一時金として支給。
日本の従業員には、月の就業時間が128時間超の場合15万円、96時間超128時間以下の場合12万円、64時間超96時間以下の場合9万円など。
海外拠点では各拠点で決定して支給されるそうです。
素晴らしい企業判断ですよね。社員はモチベーションが上がるのではないでしょうか?
サイボウズと言えば、社員一人一人が主体的に仕事をする自律型組織のイメージがあります。
こういった企業文化はどのように育つのでしょうか?
ビッグテックが重視する「企業カルチャー」
サイボウズのことは青野慶久社長の著書『「わがまま」がチームを強くする。』など、同社を語るさまざまな書籍にお任せしたいと思います。
最近、自律型の組織をつくる上でとても参考になったのが、東洋経済オンラインの【GAFAMにあり日本企業にないのは「カルチャー」だ】です。
〈東洋経済オンライン / 2022年7月14日〉
『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える 「現場からの風土改革」で組織を再生させる処方箋』の著者、シナ・コーポレーション代表取締役の遠藤功さんは、イノベーションを生み出し続けている企業の源泉には、等しく「優良なカルチャー」があると語ります。
その筆頭がGAFAMと呼ばれる巨大テック。
独自のカルチャーを「目に見えない最大の資産」として形成することに成功し、発展し続けています。
「カルチャー」は組織にとっての「土壌」。
良い企業文化があるからこそ、事業という「幹」や、利益という「果実」を育むことができるというわけです。
自分たちの会社がどんな会社でありたいのか。
確かに世界中の人々から愛される企業にはそれがあると感じます。
そのカルチャーが消費者を惹きつけ、そこで働きたい人たちを増やしていく。
共感している人たちが集まっているからこそ、自律性が生まれ、自律の総和が企業の価値や魅力を高めていくというわけです。
「っぽいよね」と言われるかどうか?
このカルチャーの重要性をブランディング、マーケティングの面から語っているのが、伝説のマーケターと呼ばれる足立光さんです。
〈AERA.dot / 2022年7月14日〉
足立さんと言えば、ファミリーマートのエグゼクティブ・ディレクターとしてチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)を務め、「ファミマル」を手がけたことで有名ですね。
足立さんはブランド資産について、「差別化」ではなく「独自性」を重視しています。
「差別化」では独自性と混同されやすいですが、「2割安い」など価格訴求も当てはまるので、ブランディングにはならない。
例えば、スターバックスやアップルと名前を出された時、何となくイメージされるものがあるはずです。
ファミリーマートでも、ブルーとグリーンの2色カラーや「あなたと、コンビに、」というタグラインなどはブランド資産と言えます。
カラーで言えば、そのブランド資産を活かして、ファミマの靴下がヒットしていることは周知の通りです。
大切なのは独自性を一貫させることで、この一貫させることが意外と実は難しかったりします。
ブランディングにせよ、マーケティングにせよ、新しい担当者が就くと新しい色を出したいと思う方も多くいらっしゃいます。
もちろん、新しい風を吹かすことは良いのですが、企業のアイデンティティを担保することが重要です。
新しく斬新な施策を打ったとしても、「なんか、この企業 “っぽい” よね」と言われること。
それを支えるのがカルチャーなのだと思います。
環境(状況)に左右されず利益を上げるために
ここで一つ、好事例を紹介したいと思います。
激安の殿堂「ドン・キホーテ」です。
ドンキと言えば、コロナ前はインバウンド需要を捉えた店舗でしたが、ウィズコロナにあっても成長を続けています。
〈@DIME / 2022年7月10日〉
ドンキを運営するパン・パシフィックの2021年6月期の売上高は前期比1.6%増の1兆7,086億円、営業利益は同7.8%増の813億円。
売上高はやや鈍化しているものの、コロナ禍でも増収増益でした。
さらに、2022年6月期の売上高は前期比9.4%増の1兆8,700億円、営業利益は4.6%増の850億円を予想しています。
外国人観光客が来館できない中、巣篭もり需要を捉えて、食品を強化したことが、その理由の一つ。
他にも要因はあるのですが、私が注目したいのがターゲットを絞り込んでニーズに沿った付加価値の高い商品を展開する方向へとシフトしたこと。
ユニークで特徴的な店舗が次々生まれているのです。
例えば、今年の5月にオープンした「キラキラドンキ ダイバーシティ東京 プラザ店」は、Z世代をターゲットとし、韓国・中国系のアジアンコスメを中心に品揃え。
韓国産のSNS映えするグミやキャンディなどの食品も販売し、Z世代が“わざわざ足を運ぶ”価値のある店舗を築き上げました。
また、昨年は千葉県にあるモラージュ柏に「驚辛ドンキ」を出店。
世界中の辛い食品1,000点を扱う店舗です。この店も辛い物ファンにターゲットを絞っています。
どんなものでもWebで手に入る時代。
小売店に来店する動機は“買い物”から“エンタメ”へとシフトしています。
とはいえ、エンタメは難しく、それまでマジメ、マジメでやってきた店舗だと、何か違和感が生じるかもしれません。
一方、ドンキは昔っからエンタメ要素は強かったので、時代にマッチし、さらにドンキらしい挑戦ができています。
少し、行き過ぎた挑戦でも「まぁ、ドンキっぽよね」と生活者が楽しんでくれる。
この「っぽさ」は、一朝一夕ではできないですし、どんな会社でありたいのかを持っていないと生まれないと思っています。
ビジネスは利益の追求だけではダメで、想像以上に哲学、文化が非常に重要な時代になっているのだと感じますね。
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