狭く強く届ける
vol.1337
十人十色どころか「一人十色の時代」と言われて久しいですが、“広く届ける” というマスマーケティングが難しくなっていることは理解しつつも、時代に合わせた新しいやり方への意識転換は、なかなかできないものです…
しかし、最近のヒット商品の中にはニッチを狙い、結果として多くの方々に支持されるようになった商品が多いと感じます。
いかに愛を持ったコアファンを見つけ(時には育み)、尖った商品を届けられるのか?
今日はそんな新しい考え方で人気を博している好事例をご紹介したいと思います。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ〜
“生クリーム”に振り切り
突然ですが、皆さんは生クリームは大好きですか?
実は、生クリームが9割を占めるというスイーツ缶があるのです。
その商品の名前は「なまくり」。
大々的に広告していないのにも関わらず、わずか2年半で販売数は30万缶を超えています。
〈ITmediaビジネスONLINE / 2024年11月28日〉

写真は、11月18日に発売した新商品「超超バニラ」。
洒落たパッケージに加えて、「超超」と何だかバニラが凄そうなネーミングが目を惹きます。
新商品はこれだけではなく、なまくりは2ヵ月に1回ほどの頻度で期間限定の新しい商品を発売。
これまでに
●れあちーず
●宇治抹茶
●ロイヤルミルクティ
●かすたーど
●クッキー&クリーム
など10種類ほどの新商品を発売しています。
これも話題を集める要素となっているのです。
ちなみに、今年の8~9月に、これまでに発売した期間限定商品とレギュラー商品を含めた全種類から人気ナンバーワンを競う「なまくり総選挙」を実施。
その時、1位となったのは商品が「10倍ちょこみんと」なのです。
これも、名前から攻めていますよね?
生クリーム好き同様にチョコミント好きも多く、そうしたファンのことを「チョコミン党」と呼ぶそうです。
つまり、生クリーム好き×チョコミン党の究極のニッチ商品を打ち出している。
さらには、“10倍” としているのにもワケがあります。
実は昨年、「ちょこみんと」をリリースした際、「ミント味が薄すぎる」とチョコミン党の皆さんから多くのリクエストが入ったことから、ここまで攻めた切り口になったのです。
とにかく偏愛を満たす方向に徹底的に寄せていく。
この思い切りの良さが、シビれるのです。
アプローチも徹底的に絞り込む
しかも、販促も販路も徹底的に絞り込んでいます。
なまくりは、SHIBUYA109や池袋のアドアーズサンシャインなど多くの人流がある場所で販売しているのですが、購入する多くの方々がファンのようです。
つまり、通りすがりの方ではなく、予め商品のことを知っている方が買っている。
これも、あえてそのようになるようなコミュニケーション戦略を行っており、SNSを駆使して情報を届け、狙って買いに来てもらう流れを意図的につくっているそうです。
コアファンだけに注目してもらえるように尖った商品を開発し、その人たちにしっかりとアプローチするようにコミュニケーションを図っていく。
今はSNS時代。
コアファンは推奨客となり、お客さん自身が拡散してくださる。
たがらこそ、広く伝えるのではなく、いかに推奨客に広げていただくかという発想が重要なのです。
当然、コミュニケーション戦略だけではなく、販路もコントロールする。
どこでも買えるようにはしないため、なまくりは卸を依頼が来ても断っているそうです。
販路を限定することで、製造面でクオリティの高さも維持できる。
特に中小企業が勝っていくための弱者の戦略の良きお手本が見えてきますね。
絞り込むことで永く愛される
こうした良きお手本は、今年、原宿にオープンして話題となった「東急プラザ原宿 ハラカド」でも見られます。
ハラカドの目玉店舗の1つが、90年続く東京・高円寺の銭湯「小杉湯」2号店。
ここでも、コアファンを育むための絞り込んだ運営を行っているのです。
〈日本経済新聞 / 2024年10月10日〉
小杉湯が最も大事にしているのは地元のお客さん。
1号店も、末永く愛される銭湯になるため、日常使いしてくださる高円寺に住む方々を大切にしてきた歴史がある。
そのため、2号店は開業日は4月17日だったのですが、5月12日までは午後の時間帯である正午〜午後6時の営業を休止。
しかも利用者を地元・原宿の住民や働く方々だけに限定しました。
(通常の営業時間は、午前7時から午後11時まで)
まずは、しっかりと地元客との関係をつくり、愛さられる銭湯の礎を築く。
その上で、5月13日からは「規制」を緩め、
●午前7時から午前11時までは地域客限定
●午前11時から午後6時までを一般向けに開放
そして午後6時から午後11時までは原宿に加え、周辺の神宮前、千駄ケ谷などと再び限定したのです。
こうした丁寧な顧客づくりを行ったことで、日曜日の客数は倍増し、平日も大幅に伸びたとのこと。
そして、フルオープンとなったのが8月1日だったのですが、9月22日日曜日は500人を超えています。
洗い場が3倍近い高円寺の1号店は日曜日で800〜1千人の利用客があることを考えると、これは驚きの客数。
コアファンづくりと売上の確保を理想通りに叶えていったのです。
関根江里子副社長は
「5〜10年で地域の文化に育て上げたい。なので一時的にSNS(交流サイト)でバズるような仕掛けをできるだけ排除した」
と話す通り、最近の人気銭湯が仕掛けるような映えスポットの設置などは行わず、安定的な客数が見込めるサウナもつくらない。
銭湯一本で地道に勝負しているところが、ますます潔くカッコ良いのです😊
〜ということで、今回は【狭く強く届ける】と題してマスマーケティングとは対極のアプローチについて語って参りました。
もちろん、各社業界でのポジション次第ではありますが、日本は中小企業が99.7%を占めていると言われています。
きっと、こうした戦略を取る方が得策という会社の方が多いのではないでしょうか?
ファン客を育み、推奨客として応援していただく。
そうした設計を上手に組み立ていけると良いですね😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
