「タイパ」指向が加速中
column vol.801
私は週3〜4日、1日1時間程度、ジムやランニングで汗を流すのですが、今の時代、フィットネスにもタイパ(タイム・パフォーマンス)が求められるようです。
1日5分の運動で健康に導く。
RIZAPのコンビニジム「ちょこざっぷ」に注目が集まっています。
〈OCEAN / 2022年10月3日〉
価格は、月額2980円。
無償提供されるスターターキットの「体組成計」と「ヘルスウォッチ」がトレーナー役を務めくれます。
すでに都内を中心に105店舗(大阪、名古屋、その他の地方都市含む)展開。
そして、今年の12月末までに200店舗、2023年3月末までに300店舗の出店を予定しているそうです。
「5分で結果にコミットする」
タイパを求める今の時代のシンボリックな事例です。
特にタイパを重要しているとされる若者たちのインサイトはどのようになっているのでしょうか?
「動画視聴」85%がタイパ重視
SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング研究機関「SHIBUYA109 lab.」は、15〜24歳のZ世代を対象に、「Z世代の映像コンテンツの楽しみ方に関する意識調査」を実施。
その結果によると、動画視聴については85%の人がタイパを重視しているそうです。
〈AMP / 2022年8月18日〉
視聴態度の詳細を見てみると、「ながら見(別の作業をしながら映像を見る)」する人が81.3%。
多くの人が同時に何かしながら視聴している。
ちなみに、「倍速視聴」は48.6%、「スキップ再生(映像を飛ばしながら見る)」は51.5%、「ネタバレ視聴(作品を楽しむ前にある程度の内容を把握しておく)」は44.3%と、約半数。
私はZ世代ではありませんが、こういったタイパ行動が増えてきているので、なるほど…と思いました…。
就活生の約56%がタイパを意識
タイパ志向は就職活動にも見られています。
学情は今月6日、2024年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生239名を対象に「タイパ」に関する調査結果を発表。
就活にタイパを意識している人は55.7%もいるとのことです。
〈マイナビニュース / 2022年10月7日〉
具体的な工夫として「アプリの有効活用」の他、「一度に複数の企業の話を聞けるイベントを活用する」などが挙がっています。
「イベントは、話を聞きたい企業が3社以上出展していたら参加する」「話を聞くだけのセミナーは参加せず、仕事体験ができるインターンシップを選んで参加するようにしている」
といった意見から、「かかる時間の長さ」よりも、「かけた時間に見合う情報や成果を得られるか」が重視されていることが分かったそうです。
採用する側としては、心に留めておきたいと思います!
90分の講義は長い??
学生ということで言えば、最近の大学生を教える先生たちもいろいろと工夫が求められています。
最近の大学生は、一般的な1コマ90分の講義を苦痛に感じているとのこと…(汗)
〈テレビ朝日 / 2022年9月15日〉
きっかけは、コロナの影響で導入が広まったオンライン講義。
動画を録画し、倍速で見られるようになったことだというのです。
生徒の中には2倍速で見る人もいるようで…、逆に凄いなぁ…と思ってしまいます。
そんな中、先生たちもがんばっているようで、兵庫教育大学の小川修史准教授は、なんと、意識的に話すスピードを上げ、普段の1.3倍の早口にしているそうです…(驚)
他にも一方的に話すのではなく、質問形式にするなど、インタラクティブに授業を進めたりと、飽きさせない工夫をしているとのこと。
そうやって大学の先生たちも柔軟に時代の変化に対応しているのです。
「位置情報共有アプリ」をなぜ使うのか?
そして、タイパ重視傾向の中で、私の中で最たるものだなと思ったのが「位置情報共有アプリ」です。
位置情報共有アプリとは、お互いに承認した相手と位置情報を常に共有するためのツールです。
〈マイナビ子育て / 2022年9月27日〉
こちらのアプリは、リスクもあって、例えば、今年の8月に北九州市で母親と高校生の娘が刺傷される事件が起きましたが、位置情報共有アプリがあったことにより、加害者が被害者の自宅を特定できたと言われています。
また、犯罪までいかなくても、カップル間で、友達間で、過度な束縛を求め合ってしまうものとして、使用については慎重さが求められていますが、それでもなぜ若者はこのアプリを使おうとするのでしょうか?
私は、そこまで誰かがどこにいるのか把握していたいと思ったことがないだけに、若者がなぜ必要としているのか分かりませんでした。
しかし、上記マイナビ子育ての記事を読んでなるほどと思ったのが、ここにもタイパ重視の考えが一因としてあると理解できました。
このアプリがあることで、友人のオンタイムの状況を把握でき、コミュニケーションの効率化を図れるということです。
例えば、「今、通話できる?」とメッセージを送っても、相手がバイト中なら数時間返信が来ないかもしれません。
でもアプリを開けば、バイト中なのか、自宅でゆっくりしているのかが分かります。
もしその友人が忙しそうな場合は、他の友人の様子を見て、暇そうな人に声を掛けられる。
つまり、相手の状況を把握するためのやりとりについて無駄が省けるというわけです。
タイパ重視はある意味「SOS」でもある
このタイパ重視が良いことなのか、息苦しいことなのか、少し考えさせられる部分があります。
私が最近書いた【“多忙な時”こそ“振り返る”】でも触れましたが、人間はテクノロジーの進化によって、よりタイパを求めてしまう性を持っています。
そういった観点で考えると、もしかしたら、タイパ志向の加速は、人間にとっては不自然なほど早く進化するテクノロジーのスピードと相関しているのかもしれませんね。
つまり、タイパ偏重は現代病の一種であり、人間の声にならないSOSなのかもしれないと思えてきました。
ビジネス(マーケティング)的には加速するタイパニーズを捉えつつも、社会学的に考えると、少し人間の進化とテクノロジーの進化のスピードがアンバランスになっているということなのでしょうか?
と、いろいろと考えさせられました。
タイパへの強い欲求は、急速に変化する時代の中で、立ち止まることも許されない、その窮屈さの象徴なのかもしれませんね。
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