【毒吐く南瓜】#毎週ショートショートnote
発見された新種の南瓜は毒を吐くらしい。
比喩ではなく毒を吐く。
死ぬほどの毒ではない。
その南瓜の周りでは酩酊いやむしろ悪酔いした者たちがぐったりと倒れている。
動けないから、症状はひどくなるばかり。
助けるべく近づくと、確かに何かを感じる。症状は最初は軽い眩暈だ。
その眩暈のうちにそこを立ち去れば、そう時間をかけずとも症状は治る。
毒吐く南瓜は成長を続けている。
研究者たちは南瓜が毒を吐く瞬間を捉えたいと躍起になった。
絶えずガス状のものを放出しているのではないか?という意見もあったが、毒吐く南瓜の毒にあたった人たちは皆一様に「毒を吐かれた」と言う。
眩暈を感じた後にとどめの一撃の如く毒を吐かれるのだろうか?
しかし被害者の誰もが記憶が曖昧だった。
毒吐く南瓜の決定的瞬間はまだカメラには収められていない。
誰かが囮になって毒を吐かれる瞬間をドローンカメラで撮る作戦は決まっているが、誰が囮になるのか?
被害者たちの様子を見ると名乗り出るものはいなかった。
毒吐く南瓜の成長が止まった。
蔓や葉が萎れ始めた。
枯れる前になんとかしたい。
研究者たちの苦悩は続く。
