梨の木1本が教えてくれたこと

今日、果物農家さんと話をする機会があった。
世羅町はフルーツの町で、ぶどうもあれば、梨は特に有名だ。

果物は、収穫量によって単価が変わり、年間の売上も大きく変わる。
梨も同じで、木1本にどれだけ実をつけるかが、収量を左右する。

年数が経った梨の木で、一般的には1本あたり2トン半から3トンほどが収穫量らしい。
それだけでも十分すごい話だと思って聞いていた。

ところが、その会話の中で、こんな話が出てきた。
先進的な試験場では、梨の木1本から10トンの収穫ができる仕立て方をしているところがあるという。

同じ梨、同じ木。
それでも、仕立て方ひとつで結果は3倍以上変わる。

仕立て方ひとつで、収量は3倍以上になる。
単純に考えても、売上高が3倍になるということだ。
その話を聞いて、正直、すごく夢があるなと思った。

そして同時に、こういう「夢のある話」がなければ、
農業はなかなか続いていかないだろうなとも強く感じた。

ただ現実には、その夢にブレーキをかけてしまう場面も少なくない。
そこでよく耳にするのが、
「うちは昔からこうだから」という言葉だ。

この言葉自体が悪いわけではない。
長年続いてきたやり方には、理由も実績もある。
でも、それが“変えない理由”になった瞬間、成長は止まる。

収量は、頑張った量だけでは決まらない。
設計で決まる。
仕立て方、考え方、そして、やったことがないことに向き合うかどうかで決まる。

この話をしてくれたのは、40代で農園を経営している代表の方だった。
世羅町の農業の平均年齢が60代以上と言われる中では、決して多数派ではない。

その人は、実際に試験場へ足を運び、
1本で10トン収穫できる仕立て方を、自分の目で見てきたという。

ちなみに、その仕立て方は、現時点では全国でも本当に1カ所しか実践されていない方法らしい。
全国で1カ所しかやっていない。
だからこそ、やらない理由はいくらでもある。

それでも、その前例がほとんどない仕立て方にチャレンジしようとしている。
正解かどうかは分からない。
失敗する可能性もある。
それでも舵を切る。その姿勢に、自分は強く感銘を受けた。

若い、若くない、という話ではない。
どこを見ているか。
そして、変わることを選ぶかどうかの話だ。

農業だけの話じゃない。
経営も同じだし、人生も、地域も同じだと思う。

変えないことで守れるものもある。
でも、変えないことで失っている可能性も、きっとある。

梨の木1本の話を聞きながら、
自分はずっと、経営や生き方の話をしていた気がする。

時代は必ず変わる。
変化に応じて動かなければならない。
変わらないという選択は、現状維持ではなく、衰退だと自分は思っている。

だからこそ、その時代の流れや行き先を見極め、
しっかりと舵を切る必要がある。

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