【保存版】決算発表日の15分チェックシート|短信・説明資料を読む順番
決算発表が重なると、売上高と利益、株価の反応だけを見て次の銘柄へ進みがちです。
しかし、残したいのは「良かった・悪かった」という印象ではなく、①確認できた事実、②まだ分からないこと、③次に見る数字の3つです。
企業分析の入口で使える確認手順を、15分で埋められるチェックシートにしました。短時間で投資判断を終えるためのものではありません。詳しく調べる価値がある論点を見つけ、読み違いを減らすための一次確認用です。
記事後半に、コピーしてそのまま使えるテンプレートを置いています。次の決算発表日に使えるよう、保存してお役立てください。
【最初に用意するものは3つ】
まず、会社のIRサイトか適時開示情報から次の資料を開きます。
・決算短信
・決算説明資料
・同時に出た適時開示(業績予想・配当予想の修正、自己株式取得、M&Aなど)
ニュースやSNSは論点を知る入口にはなりますが、数字と会社の説明は元資料へ戻って確かめます。
【0〜2分:比較の土台をそろえる】
最初に、数字そのものより「何の数字か」を確認します。
・四半期単独か、期首からの累計か
・連結か、単体か
・前年同期と比較できる条件か
・会計方針や連結範囲に大きな変更はないか
・「訂正」の資料が後から出ていないか
ここを飛ばすと、3か月分と6か月分を比べたり、買収で会社の範囲が変わった数字を単純比較したりします。増減率を見る前に、比較の土台をそろえます。
【2〜5分:4つの数字を横に並べる】
売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を確認します。IFRS採用企業など、呼び方が異なる場合は会社の表示に合わせます。
見るのは金額だけではありません。
前年同期からどう変わったか
営業利益率は上がったか、下がったか
通期会社予想は変わったか
配当予想は変わったか
売上が伸びても利益率が下がっていれば、原材料、人件費、先行投資などが影響しているかもしれません。理由は推測せず、説明資料の増減要因で確認します。
進捗率は便利ですが、それだけで上振れ・下振れを決めません。季節性や計上時期で、利益が特定の四半期に偏る会社があるためです。
【5〜8分:最も動いた事業を1つ探す】
全社の増減を見たら、セグメント別の売上高と利益へ進みます。
・増益への寄与が最も大きい事業はどこか
・減益を招いた事業はどこか
・数量、単価、製品構成、原価、為替のどれが動いたか
・一時的な要因か、次の四半期にも続き得る要因か
全部を理解しようとせず、全社の変化を最もよく説明する事業を1つ選びます。会社が理由を書いていなければ、無理に物語を作らず「未確認」と残します。
【8〜11分:利益の外側を見る】
損益計算書の次は、貸借対照表とキャッシュ・フローです。四半期資料でキャッシュ・フローが開示されていない場合は、無理に埋めず次の半期・通期開示で確認します。
・売上債権・契約資産:売上の伸び以上に増えていないか
・棚卸資産:将来の販売準備か、滞留の兆候か
・現金と有利子負債:投資、買収、返済、株主還元でどう動いたか
・営業キャッシュ・フロー:利益との差は何で生じたか
残高が増えたという一つの事実だけで、良い・悪いとは決めません。複数期間と会社説明で分けます。
【11〜13分:利益の質を分ける】
当期純利益が大きく増減したときは、本業以外の要因も確認します。
・固定資産や政策保有株式の売却益
・補助金、受取保険金、負ののれん
・減損損失、事業整理損
・為替差損益
・税金費用の特殊要因
・買収や連結除外による比較範囲の変化
「純利益が増えたから本業も好調」「純利益が減ったから本業も不調」という早合点を避けます。
【13〜15分:3行だけ残す】
最後に、長い感想ではなく次の3行を書きます。
確認できたこと
まだ分からないこと
次の開示で確認すること
「営業利益率は改善した」「主因は高採算製品の構成比上昇と会社が説明」「その構成が次四半期も続くかは未確認」のように分けます。
【コピーして使える15分チェックシート】
以下をメモ帳へコピーして使えます。埋まらない欄は「未確認」のままで構いません。
企業名/証券コード:
発表日時:
対象期間:四半期単独・累計・通期
会計基準/連結・単体:
■1. 業績
売上高:(前年同期比 %)
営業利益:(前年同期比 %)
営業利益率: % → %
経常利益または税引前利益:
当期純利益:
■2. 会社予想
通期予想:据え置き・上方修正・下方修正・未定
配当予想:据え置き・増額・減額・未定
修正理由として会社が挙げたこと:
■3. 変化の主因
最も寄与したセグメント:
数量・単価・製品構成・原価・為替・その他:
一時的/継続し得る/未確認:
■4. 利益の外側
売上債権・契約資産:
棚卸資産:
現金・有利子負債:
営業CF(開示がある場合):
一時利益・一時損失:
■5. 3行まとめ
確認できたこと:
まだ分からないこと:
次に確認する開示・数字:
一次情報URL:
【迷ったときの5つの停止線】
・大きな増減率なのに、比較元の金額を見ていない
・進捗率だけで通期の上振れ・下振れを予想している
・純利益の変化から、一時利益・一時損失を分けていない
・売上債権や在庫の増加だけで異常と決めている
・株価の動きを、確認できていない材料へ結びつけている
決算は、15分ですべてを理解できるものではありません。ただし、15分あれば「何が事実で、何がまだ分からず、次にどこを読むか」は整理できます。
このチェックシートは個人の企業研究に自由にコピーしてお使いください。「ここで手が止まった」という項目があれば、コメントで教えてください。次の解説記事で優先して取り上げます。
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【公式の確認先】
JPX「適時開示情報閲覧サービス」
https://www.jpx.co.jp/listing/disclosure/01.html
金融庁「EDINET 閲覧サイト」
https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/
本記事は企業研究の手順を学ぶための一般的な情報です。特定銘柄の売買推奨や個別の投資助言ではありません。資料の読み方や数値は企業・会計基準・決算期によって異なります。各社の最新の一次情報をご自身で確認してください。
【次に読む】
チェックシートを使った後は、次の3本へ進むと企業研究の流れをつかみやすくなります。
実例から、決算の読み方をもう一段深める
https://note.com/tatsuya_sabato/n/n841bc3232c0c
企業分析の全体像を「会社の健康診断」から学ぶ
https://note.com/tatsuya_sabato/n/n58edfaf901dc
このnoteの使い方と、初心者向け無料記事を見る
https://note.com/tatsuya_sabato/n/na9bc92107c20
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