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第63話「私にはコントロールできない、絶対的な変数。—29日の光について」
私の予定は、彼の生活の中に存在する『私が預かり知らない変数』によって、いとも簡単に書き換えられてしまう。
日中関係の冷え込みが、私と彼のゴルフの予定をキャンセルさせた。
2週間後に控えていた彼とのゴルフ。それは、彼女が中国旅行へ行くという、奇跡のような空白の時間に約束されたものだった。
けれど、フライトはキャンセルされた。
彼女のパスポートにスタンプが押されることはなくなり、同時に、私たちの予定も消えた。
泣きはしなかった。ただ、私の幸せの鍵は、私が握っているのではなく、一度も会ったことのない『彼女』の手の中にあるのだという事実を、冷え切った部屋で再確認しただけだった。
一度は予定を上書きされたけれど、彼は別の時間を作ってくれた。それは私にとって、単なるデート以上の意味がある。まして、東京と大阪の遠距離恋愛だ。
大人の恋には、自分ではどうしようもない『変数』が常に潜んでいる。
誰かの旅路が閉ざされ、私の期待も一度は行き場を失った。
けれど、年の瀬の29日、東京。
偶然か必然か、私たちの間に生まれた新しい余白に、再び灯りがともる。
今、ゴルフの練習も、お風呂に入る気力もない私にとって、
彼に会えるその日の数時間だけが、暗闇の中に残された唯一の、そして絶対的な光。
つづく
