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【蝦夷幽世問わず語り】アフンラサンペ

紋別の伝承に登場する、鳥の姿をした妖怪。名前の字義は【あの世に棲む化け物】。ケナシウナラペ(【ケナシウナラペ】の項目を参照の事)の正体とも言われる。

〈容姿〉
ミミズクに似ているが、兎のように長い耳がある。

〈性質〉
地下の湿地の国テイネポクナモシリ(アイヌの人々にとっての地獄・奈落)の番をしていると言う。また、アフンラサンペが集めた枯れ枝の塚をそれと知らずに拾って焚き木にしようものなら、枯れ枝を奪った者の家の近くに現れて、夜通し恐ろしげな声で談判チャランケしてくるとも言われる。

〈備考〉
アフンラサンペが長い耳を持つ由来譚に、以下の説話がある。

昔、アフンラサンペの若者が文化神オキクルミカムイの妹を嫁に迎えたいと高望みをした。
最初の内は、アフンラサンペの申し出を軽くあしらってはからかっていたオキクルミカムイだったが、度々軽んじられたアフンラサンペが遂に怒ってオキクルミカムイに詰問するとオキクルミカムイは急に真面目な顔になり「詫びの印に特別な品を進呈しよう。寒い時に被ると、とても良いものだ」と言ってオナンチ(鹿の臑の革。普通は靴を作るのに用いる)でサパンペ(頭巾)を作ってアフンラサンペに被せた。然しそのサパンペには巫術が掛かっており、いつの間にかアフンラサンペの頭と同化して長い耳となってしまった。それ以来、アフンラサンペは鳥なのに耳がある醜い姿になったのだと言う。

〈附記〉
アフンラサンペの正体について、萱野茂さんは【アオバズク】としています。その一方で、更科源蔵さんは【コミミズク】と推測しています。然しアオバズクもコミミズクも、伝承にある【長い耳】(おそらくはミミズク特有の【耳羽じう】と呼ばれる飾り羽の事であり、本来の耳とは無関係)を持っていません。
或いはアイヌの人々が、様々なミミズクの仲間を妖怪視した過程で生まれた全くの空想上の存在がアフンラサンペなのかも知れず、また【長い耳】も比喩では無く直喩なのかも知れません(【マカオタリ】の項目も参照の事)。

アフンラサンペ
(テクパン・クリエイト筆)

参考資料
炎の馬(萱野茂著、すずさわ書店)
アイヌ文化の生活誌(更科源蔵著、NHKブックス)

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