衝撃のお正月 ~私のこそあど#7~
TEDxHoseiU Marketingチーム3年の楢山です。
僕も「私のこそあど」書きます。
僕自身にも「こそあど」=立ち位置を変えて、世界の見え方がガラリと変わった決定的な経験があります。
それも、旅先や課外活動の場ではなく、実家のリビングでの出来事でした。
気づけない
今年のお正月、家族の何気ない会話の流れから、父が不意にこう言いました。
「うちは韓国の家系だからしょうがないよなあ。そろそろ区切りをつけようか。」
「韓国? 何の話だよ、父さん」
「言ってないっけ? 毎年やってるチェーサ、あれ韓国の法事なんだ。でももうそっちに思い入れのある世代は~~~」
あまりにも唐突な父の告白に、私は一瞬、頭が真っ白になりました。
なんと祖父母が日本人ではなかったのです。つまり父も日本人ではなかったのです。(帰化済)
生まれてから20年近く、自分が「日本人であること」を疑いもしませんでした。
しかし、その事実を知った瞬間、私の頭の中で過去の記憶が繋がり始めました。
おばあちゃんの一番の得意料理は「トック」だったり、
引き出しの奥で見かけた父のパスポートが緑色だったり、
九州に住んでいる親戚の呼び名は「コムさん」だったり。
祖父母・父どちらもずっと日本で暮らしているため、韓国訛りもなく、気づける機会はそういった些細なことに限られていました。パスポート見たなら気づいただろ、と思うかもしれませんが、聞けるはずもなかったのです。
もしかして父はいけないことに手を染めているのでは、と怖くなり誰にも相談できませんでした。あのとき口にできていれば、もっと早くこの事実にたどり着いたわけですが。笑
このように、その事実に辿り着くための伏線は、私の周囲にいくらでも転がっていました。
しかし、私はそれらを単なる「日常」として片付け、疑いませんでした。
私にとって、それらはあまりに身近で、幼少期から築き上げてきた「これ」だったからです。
きっと周囲の友達から見れば、私の「これ」は「あれ」なのでしょう。私も同じく「あれ」だと認識していましたが違いました。「自分の家族は、一般的な日本の家庭である」という「無意識の意識」により、「あれ」を「これ」と認識し、目の前にある確かなヒントを完全にスルーしていたのです。
「当たり前」から一歩引いてみる
この衝撃の事実を耳にした後、私の世界の見え方は一変しました。
それは、アイデンティティが揺らいだというネガティブなものではありません。20年間で築かれた「無意識の意識」を、意外にもすんなりと受け入れられています。むしろ、こんなにもあっさりと受け入れた自分に驚いています。
話が逸れましたがそういうことではなく、自分の日常を「それ」・「あれ」から見直す面白さを知った感覚でした。一歩立ち位置を変えて、自分の日常を「もし他人が見たら」という視点で捉え直したとき、見慣れた景色の中にたくさんの新しい発見が隠れていることに気づかされました。

これは数学における「別解」を見つける感覚に似ています。ひとつの解き方に固執することなく新たな解き方を受け入れ、それを自分の手札とした人は、あらゆる問題に対して多角的な視点でアプローチできます。
言語の違いも同じでしょう。「外国の人は英語を話す」という事実が、我々の当たり前として備わっていますが、歴史上で初めて海を渡り、言語の壁に気づいた人はどう思うでしょうか。これが人生で築き上げる当たり前です。
「これ」を大きくする
私たちは、バイアスのない世界を生きているつもりでいます。こう聞くと、「ああ、よくある話ね」と思うかもしれませんが、そうです。
ただ実際、他者が感じる違和感に気づくことはほぼ不可能と言っていいでしょう。なぜなら、当たり前とは「自分が疑うこともなく築き上げ、今までの人生を問題なく成り立たせてくれた正解」そのものだからです。

私たちは誰もが、自分の見慣れた「これ」の枠組みから世界を見ているに過ぎません。だからこそ必要なのは、誰かとの違いや新たな事実に直面したときに、それを受け入れられる寛容な姿勢です。何も恐れる必要はありません。違いに気づき受け入れることは、自身の生き方や当たり前を否定するものではありませんから。
「それ」「あれ」に触れ、理解し受容すること。
それは自分を縛る枠組みを壊すのではなく、自分だけの「これ」を大きくしていく工程に他なりません。
「どれ」
この世界は、まだ知らない「どれ」で溢れています。考えたこともない価値観や、思いもよらない問いに満ちています。その未知なる「どれ」に触れたとき、私たちは気づきます。違いを受け入れる歓びに。
あなたの「当たり前」を違う視点から見てみる
アイデアや新しい価値観との出会いは、何も特別な場所へ旅をしなくても、すぐ足元に転がっているのかもしれません。ただ、自分が立っている位置を、少しだけずらしてみる。それだけで、昨日までの「当たり前」が、全く新しいワクワクする発見に変わります。
自由で、多様な価値観が交差する現代だからこそ、周囲の「それ」・「あれ」に触れ、自分の「これ」を大きくしませんか?
TEDxHoseiUが、皆さんにとってそんな「立ち位置を変えるきっかけ」になれば嬉しいです。
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