2026年上半期ベストソング10 by てけしゅん
2026年も折り返しました!
ってことで、J-POPからミニマルテクノ、ロンドンのラップからグラスゴーのポストパンクまで。てけとしゅんがそれぞれ10曲ずつ、この上半期のベストソングを選びました。
10位から1位へ、2人のカウントダウンを交互にお届けしますが、合計20曲でかぶったのはたったの2曲(さて、どの曲でしょう?)。
そして2人とも結果的に「ドーパミン感がない」選曲になったかも。即効性のある快楽ではなく、じわじわ染みてくる曲や、後から思い出す曲。それが2026年前半のモードなのかもしれません。
ぜひお楽しみください!
10位
しゅんの10位: VENTI「sybau (feat. mari geti)」
しゅん フランスのラッパーVENTIの「sybau (feat. mari geti)」。去年このアーティストがレイ・ハラカミをサンプリングした曲を出していて、気になって追いかけてたんですよ。今回の「sybau」は1分ちょっとのラップソングで、チルい感じの音なんだけど、歌ってる内容はめちゃくちゃ暴力的。タイトルも「shut your bitch ass up」の頭文字ですからね。
てけ 今回のしゅんくんの10曲をざっと見ると、ラップが好きなんだなって感じが出てる気がしますね。その辺も注目してランキング見て欲しいです。
てけの10位: 藤井風「My Place」
てけ ワールド・ベースボール・クラシック史上初となる公式サウンドトラックに、藤井風が提供した1曲です。サウンドトラック全体のミュージック・プロデューサーを務めたのが、ラテン界の重要人物であるTainy。「My Place」はTainyが統括し、Albert Hype、Jota Rosaとともに手がけています。
Tainyはグラミー賞を2度受賞し、米BillboardのProducer Chartで通算100週の1位を史上初めて達成した人物。藤井風とTainyが関わる国際的なプロジェクトとしても注目されたんですけど、この曲、もう忘れられつつある感じがある。でも、忘れちゃいけない。
ここまでダンサブルな藤井風の楽曲って、たぶんほかにないし、「Watch your step, watch your step/こっから死ぬまで, watch your step」というリリックの強さや現代性も、改めて見直したいなと思って10位に入れました。
しゅん 「あんたのことなど, no one cares」も大好きですけどね。藤井風のパブリックイメージっぽくないっていうのはあるかもしれないけど、すごい大事な曲だと僕も思います。
9位
しゅんの9位: Lime Garden「Cross My Heart」
しゅん ブライトンの4人組バンド、Lime Gardenのセカンドアルバム『Maybe Not Tonight』の収録曲です。
前から好きなバンドで、何が好きって、見た目が超かっこいいんですよ。楽曲の印象としては、ParamoreとThe Slitsを合わせたような感じ。パンクやエモっぽさもあるんだけど、ポストパンク的な距離感によって、それらを中和している。どこかで聴いたことがあるようなサウンドなのに、どこにもない。
セカンドアルバムもすごく良かったし、ルックスも楽曲も含めて、もっと日本で人気になっていいんじゃないかなと思って選びました。
てけ さっきは「ラップが好きなんだな」って話をしたばかりですが、同時にしゅん君の10曲にはインディーの感じも出てて、ポップ以外の面が出てきてる感じが微笑ましく思いました。
てけの9位: Central Cee「WAGWAN」
てけ ロンドン出身で、現在、世界的に最も人気のあるUKラッパーの一人。そのCentral Ceeが今年、EP『ALL ROADS LEAD HOME』を出しました。「WAGWAN」はその収録曲です。
正直、このEP全体で見ると、ちょっとどうかなと思うところもかなりあるんですけど、この曲はめちゃくちゃ好き。「Wagwan」はジャマイカ・パトワで、「調子どう?」「何が起きてる?」くらいの意味です。でも曲自体は、全然ご機嫌な感じじゃなくて、すごくメランコリック。
EPのアートワークも、夜のロンドンで一人きりという寂しい感じがしてすごくいいんですけど、そのジャケットのムードをそのまま持った曲です。
歌詞には「I’m from London so I speak with a twang」というラインがあって、ロンドン出身だから独特のなまりで話すんだ、と歌っている。ロンドンの話し方をアイデンティティにしているこの感覚に、2000年代のThe Libertinesあたりがローカルな発音を誇ったカルチャーを受け継いでいる感じもするし、楽曲のセンチメンタルな雰囲気はThe Streetsも連想させます。
成功したラッパーが仲間やBentley、BMWのことを歌いながら、ビートとフローは寂しげ、というのがいい。
しゅん 今回のてけくんのラインナップ、評価が分かれてるものや無視されてるものをちょっと救い上げてる感覚がありますよね。なんでCentral Cee選んだのかなって最初思ったけど、納得しました。
8位
しゅんの8位: Flippy Flow「Pirate」
しゅん 日本のラッパー、Flippy Flow。これがめちゃくちゃかっこいい。「Pirate」は2026年にリリースされたシングルです。
レイジ以降の、音が割れていてテンポが少し速く、ゲーム音楽っぽさもある暴力的なサウンドなんだけど、ひたすら酔っぱらっているようなフローが、なかなか聴いたことのないレベルでいい。
曲の途中でトラックの速度感が大きく変わり、声の聞こえ方まで変化していく。1曲の中で速くなったり遅くなったりしながら、ラップの感触まで変えていくアイデアは、ほかのラッパーがあまりやっていない。今回は新しい人を選びたいという気持ちもあって、Flippy Flowを入れました。
てけ 歌詞を読みながら聴いても何言ってるかわからないんですよね。でもUber Eatsの配達員やってて辛いことがあるとか、YouTubeを見てまったりとか、ネットカルチャー以降、コロナ禍以降の世界がラップにはっきり染みついてる感じが良かったです。
てけの8位: Drake & Sexyy Red「Cheetah Print」
てけ 今年5月、Drakeが『Iceman』『Habibti』『MAID OF HONOUR』という3枚のアルバムを同時リリースしました。この曲は、その中でダンスアルバム的な位置づけの『MAID OF HONOUR』に入っている1曲です。
アルバムの中でも少し変わり種で、ハウストラックというより、もっとエレクトロな感じ。NewJeansの「How Sweet」や、ボルチモア・クラブっぽい雰囲気も漂っています。
僕個人としてはエレクトロよりハウスのほうが好きなんだけど、この曲は途中のブレイクで、Drakeが「お前の尻を叩く」みたいなフローを入れるところがめちゃくちゃ面白い。この曲を聴いていると、最近のラップは、あえてちょっと変なことをやるフェーズに来ているのかなと感じます。
しゅん 80年代のエレクトロや、当時のヒップホップっぽい感じもあるし、Sexyy Redが入るときのブレイクも新鮮。むしろ古いものに新鮮さを感じる、というのは良かったですね。
7位
しゅんの7位: 米津玄師「烏 - Raven」
しゅん 言わずもがな、「2026 NHKサッカーテーマ」になっている米津玄師の新曲です。
これはもうYouTubeでも散々語ったし、どこがいいかは伝えているので、説明不要かなと。ただ、7位になったのは、タイアップとの相性が良すぎて、むしろ曲単体で聴くと少しテンションが下がるという現象が起きたから。
あと、みんな「米津玄師は入るだろう」と思っているから、上位にはもう少し、みんなが知らない曲を入れたいなという気持ちもありました。
てけの7位: Doss「BIGFELLAFUNK」
てけ グラスゴーを拠点に活動するエレクトロ・ポストパンクデュオ、Doss。Sorley MackayとChilton Fawcettによる2人組です。
ラップデュオっぽく言われたり、電子音楽の人たちのように書かれたり、カテゴライズしづらいタイプなんですけど、この曲に関しては、LCD SoundsystemやDFA以降のポストパンク感が、より生バンド的な方向でリバイバルしている感じがする。
反復するビートの上に風刺的な歌詞が乗るのは、2000年代後半から聴き慣れた構造ではあるんだけど、塩梅やバランスは時代とともにちゃんと変わっていて、2020年代の音になっている。やっぱり、こういうインディーっぽいものを聴きたいよね、という気分があったので入れました。
しゅん LCDっぽさもあるし、少しSleaford Modsも思い出す。去年、グラスゴーのVlureというグループをインタビューしたんだけど、彼らはPrimal Screamの『XTRMNTR』みたいな音をやっていて。
グラスゴーには、意外とレイブっぽい、暴力的なダンスミュージックの流れがあるんだなと、Dossがグラスゴーのグループだと知って改めて思いましたね。
6位
しゅんの6位: Fcukers「if you wanna party, come over to my house」
しゅん ニューヨークのShanny WiseとJackson Walker Lewisによる2人組、Fcukers。今年、Ninja Tuneからデビューアルバム『Ö』が出て、その収録曲です。
めちゃくちゃLCDチルドレンなんだけど、そこにレゲエがあり、なぜかK-POPっぽい感じもある。Fcukersみたいなアーティストにそういう感覚があるのは、PinkPantheress以降の世界だなと思います。
タイトルもLCD Soundsystemの「Daft Punk Is Playing at My House」を思わせる、シンプルな楽曲なんだけど、本人たちがメジャー志向を前面に出しているわけでもないのに、結果的にポップな感触があるのがすごく面白い。
てけ Fcukersは初期のEPから聴いてたんだけど、どんどんポップになっていっていますよね。ニューヨークのYOASOBIっぽい雰囲気になっていて、その変化を見ているのはすごく面白い。
てけの6位: Vaundy「イデアが溢れて眠れない」
てけ フジテレビの月9ドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』の主題歌。これまでのVaundyの曲とも、また全然違う。引き出しがいくつあるんだというか、もはやどれがVaundyらしさなのかわからない。でも、この曲ではファンク的でリズミカルなボーカルスタイルが前面に出ていて、Vaundyの新たな一面が見えます。
そして、そういう新しさだけじゃなくて、曲もいいし、歌もいいし、歌詞もいい。「イデア」が溢れて眠れない。アイデアが溢れて眠れないんだ、ワクワクしているんだ、というのは、すごくVaundyそのものという感じがします。
5位
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