『スーパーマン』の悪意と『シン・ウルトラマン』再評価
2025年の新作映画『スーパーマン』を観てきました(しばらくネタバレなしで書きますので、気になっている方もぜひ)。
監督は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズで知られ、『アベンジャーズ』のマーベルから『バットマン』で知られるライバルスタジオDCに移籍したことも話題のジェームズ・ガン。
さらには本作を皮切りに、新たなDCユニバース(DCU)シリーズが展開されていく予定とあって、あらゆる点から注目されている、『スーパーマン』リブート作品です。
筆者プロフィール:照沼健太
編集者・ライター・YouTuber。テレビ東京やNetflixのメディア運営、レディオヘッドら数々のアーティストのCD封入解説文、HIKAKIN、米津玄師、押井守、藤本タツキなどのクリエイターや多くのビジネスパーソンの取材を担当。2023年末からはYouTubeチャンネル「てけしゅん音楽情報」を運営(2025年2月末時点でチャンネル登録者数約5万人)。
前提:おすすめできる映画かどうか?

少しでも気になっているなら、ぜひ映画館で観るべき作品だと思います。
というのも、僕は基本「2000円くらいで映画館で新作映画を観られるのは、サービス価格」だと思っています。2000円は決して安い金額ではありませんが、その限られた期間でしか提供されない体験であり、映画を作る労力に対して「2000円」という金額設定は、スケールメリットやら商慣習やらが可能にしたバグだと解釈しているからです。
そんな考えを抜きにしても『スーパーマン』は観ておいて損はないと思います。
・DCユニバースの第1作目
という記念碑的な意味合いはもちろんですが、
・現在のヒーロー映画の最高峰
・2025年のハリウッド大作のテイスト
を知られるという点でも、チェックしておいて損はないかと。
注意点もある

観る前からわかることですが、『スーパーマン』はヒーロー映画です。
あくまで寓話であり、エンタメです。
『ダークナイト』のような「スーパーマンが現実にいる」ように感じられるタイプの作品ではありません。
「ヒーロー映画なんて子供っぽくて無理」「SFとか現実にありえないし」ってタイプの人はやめておきましょう。
例えば「『シン・ゴジラ』はOKだけど『シン・ウルトラマン』はダメ」って人はムリだと思います。
すべてのフィクションは寓話である

さて、ここから『スーパーマン』についての感想です。
始まり方がすばらしい
スーパーマンのキャラクターがいい
VFXはイマイチ
長い
ベースは子供向け
ビビるくらい勧善懲悪
全体的にシン・ウルトラマンっぽい
ポイントだけ羅列するとこんな感じ。
僕は予告編等、一切チェックしていなかったのですが、一番よかったのは冒頭ですね。
「映画の印象は冒頭数分で決まる」と言いますが、その点でこの映画はすごく良い作品だと思いました。ぜひどんな始まり方をするのかは、劇場でチェックしてみてください。

そして、スーパーマンのキャラクターがいい。
基本的にすごくいいやつなんです。マジで典型的にヒーローなんです。だから、ヴィランからもヒーロー仲間からも、恋人からも、基本的にうっすら嫌われてる感じがある。
多分ジェームズ・ガン監督も、スーパーマンのことをうっすら嫌っているでしょう。
「いいやつなんだけど、なんか不愉快。こいつと一緒にいると、自分のことが嫌いになりそう」
そんな感じ。
この作品を観て「スーパーマンに共感した!」という人は、多分ほとんどいないのではないかと思うのですが、そんな「共感できないやつ」としてスーパーマンを描きながらも、彼には彼の不完全さがある。
僕は「めちゃくちゃ脇役っぽい主人公だな」と思いました。

一方で、『シン・ウルトラマン』のウルトラマンの描き方がいかに素晴らしかったのかを痛感する思いも。
スーパーマンは圧倒的な力を持っているだけで、根本は人間です。
しかし、それに対して『シン・ウルトラマン』のウルトラマンは圧倒的な力を持ち、その代わりに人間性を持っていません。完全な生命体ゆえに、不完全な人間のことを理解できない。
SFとして、フィクションとして、寓話として、圧倒的に面白いのは後者だと思います(『シン・ウルトラマン』の脚本に『スーパーマン』の予算がついたら最強なのに)。
この辺の「莫大な制作費をリクープするには、共感ポイント作らないといけないもんな」って感じが特に顕著なのが、「政治っぽさ」×「ビビるくらいの勧善懲悪」だと思いました。
(ここからネタバレを含みますので、ご注意ください)
本作について多くの映画ファンが絶賛してるポイントといえば……
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