哀愁の燻製「毎ショ」
喫煙所の隅っこで、サラリーマンの田中は、静かに燻製器をいじっていた。
「今日こそ完璧なベーコンを…」
昼休みに会社の屋上で自作の燻製をしている変人として、社内では一部の社員に「スモーク田中」と呼ばれている。やめろと言われても、
「これは趣味だ。魂の蒸留だ」と聞く耳を持たない。
そんなある日、部長がふと屋上に現れた。
「田中くん、例のプレゼン資料って、、なんだその匂いは!?」
「これは、豚バラです」
「違う! そういう意味じゃない!」
燻された豚バラとともに、部長の怒りもスモークされていく。だが次の瞬間、部長はふと目を細めた。
「うまそうだな、それ」
次の日から、喫煙所は“社内燻製部”に変貌した。部長はスモークチーズ担当、経理の佐藤は鯖、そして田中は、今日も静かにベーコンを見つめる。
「人生って、じわじわ味が出るんですよ」
煙の向こうに、少しだけ哀愁が漂った。
いいなと思ったら応援しよう!
いつもありがとうございます。よろしければ応援をお願いします。これからも分かりやすい記事の投稿に努めてまいります。