髭は恋をする。“毎ショ”
田舎町に住む美容師のカズオさんは、長年独身だった。彼の自慢は立派な髭。朝晩丁寧に手入れし、髭専用のオイルまで使ってツヤツヤにしていた。
ある日、カズオさんの前に、赴任してきた美術教師のアヤ先生が現れる。彼女はちょっと変わり者で、初対面でこう言った。
「あなたの髭、すごく…感情がありそうですね」
それからというもの、カズオさんの髭は変わり始めた。アヤ先生が近づくと、ふわっと広がり、遠ざかるとしゅんとしぼむ。まるで髭自体が恋しているみたいに。
村人たちは噂した。
「あの髭、恋してるぞ」
「カズオじゃない、髭がアヤ先生に!」
意を決したカズオさんは、
ある日、髭に向かって言った。
「お前がそんなに好きなら、俺もちゃんと伝えるよ」
そして髭を整え、花束を持ってアヤ先生に告白した。
返事は、にっこり笑ったあと、
ひと言。
「私は、髭も、あなたも、どっちも好きですよ」
こうして、カズオさんとその髭は、
ダブルで恋を叶えたのだった。
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