(毎ショ)ラブカ奇譚
「これがラブカ?」
初めて見る僕はクネクネした姿に驚いた。
「深海魚なのに、よく生きてるね」
僕は伊藤に聞いてみた。
「ああ、餌をあげてるからね。すごい勢いで食べるんだ」
「何を食べるの?」
「ああ、肉だよ。骨までバキバキ言いながら食べるんだ」
「餌は何処から持ってくるの?やっぱり魚?」
「ふふ、違うよ。魚じゃない」
伊藤は、不気味な笑みを見せた。
そうして「餌をもってくる」と言い、
その場を離れた。
僕は少し離れてラブカを見ていた。
そこに声が聞こえてきた。
「ねえ、キミ。ボクを助けてくれない?」
「えっ、誰がしゃべったの?」
「ボクだよ、ここ」
水槽が少し揺れた。
「ラブカ、キミがしゃべってるの?」
「そう。ねえ、ボクを海に帰して。ここにいると死んでしまう。それに、おかしなモノを食べさせられるんだ。ボクは食べたくないんだけど、お腹が空くから仕方なく食べるけど」
「何を食べてるの?」
「人間」
「ええ!?」
ボクはラブカを必死になって掴んで、
海まで走った。ラブカは、ヌルヌルしてるけど、必死に走った。波打ち際まで来てラブカを離した。
「ありがとう、ボク、キミの事、忘れない」
「あーなんて事をしてくれたんだ。ようやく切断して餌を持ってきたのに」
伊藤は怒っていた。
「バカヤロー、俺のラブカをお前は!」
伊藤に首を捕まれ海の中に入れられた。
「やめ..僕は、泳げない」
「うるさい!ラブカを返せ」
その時、バキバキと音を立てて、伊藤が海に沈んでいった。
「ラブカ、助けてくれたのかい」
「うん、コイツ、許せないから」
伊藤は、片腕が無い状態で浮かんでいた。
「ラブカ....」
「ボクに食べさせていたのは伊藤の父さんだ。伊藤はボクをあの水槽に入れて、父さんを殺して、少しずつ食べさせた」
「ラブカ、もう上に上がってきちゃダメだよ。深海に戻って」
「うん、ありがとう」
そう言うと、ラブカは、静かに沈んでいった。
怪談になりました
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