風船切符【第12回】3つのお題に空想のひらめきを
🍊第12回 3つのお題
🎈お題①:「鏡の中の住人」
🐾お題②:「風船切符」
⏳お題③:「消えない足あと」
鏡の中の住人は、婚姻届を役所に提出しなければ結婚は認められなかった。
だから、鏡の外へ出なくてはならない。それには、風船切符が必要だ。
風船切符は、駅の切符売り場にあることを知ったふたりは駅に向かった。
「風船切符を2人分ください」
「片道ですか、往復ですか?」
「往復です」
「わかりました。では往復切符です。3日間有効なので気をつけてくださいね」
と、駅員は言った。
「それを過ぎたらどうなるんですか?」
「1年間ここに戻れなくなります。それに足跡が消えません。消えない足跡になるんです。だから、あなたが何処に行ったかすぐに分かります」
「もし、そうなってしまったら、どうなるんですか?」
「ここに戻れるのは1年後です」
とにかく、風船切符を手に入れた2人は、切符を使い汽車に乗り、
鏡の中から外に出た。
「まず、役所に行きましょう。花嫁が言った。
「うん、でも楽しそうな街だね」
花婿は街の賑わいに興味を持ったらしい。
風船片手に役所に着くと、
「婚姻届を提出します」と言い、受理されて2人は夫婦になった。
「さぁ、帰りましょう」
花嫁が言うと、
「少しだけ街を眺めて行こうよ」
と、花婿は笑って言った。
「そうね、じゃ少しだけ」
そして2人はあちこちをふわりふわりと飛んでいた。
「あら、あそこに消えない足跡があるわよ。きっと切符の有効期間が過ぎてしまったのね」
「ああ、そうだね。ね、あそこ、ゲームがたくさんあるよ。行ってみよう」
花婿は楽しそうだ。
「私は駅で待ってるわ。必ず来てね」
「うん、わかった」
と言ったものの、花婿はゲームに夢中になり切符のことなど忘れていた。
花嫁は汽車が来ても待っていたが、とうとう花婿は来なかった。
その時花婿の風船がパン!と割れた。
花婿は地上に落ち、鏡の中へ1年間は帰れなくなった。
そして、自分の足跡も消えない。
汽車が空に向かって飛んでいく。
花嫁の涙が雨のように降ってきた。
花婿は情けなかった。
ひとり花嫁を帰してしまった。
「僕はなんてバカなことをしたんだろう」
「1年間、待ってておくれよ!!」
汽車に向かって叫んだ。
花嫁に、声は届き、
「1年間、待ってるわ、帰るのを待つわ!!」
と叫んだ。
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