鏡の中の彼は【第16回】
🍊第16回 3つのお題
🎈お題①:「真夜中のバス停」
🐾お題②:「落ち葉の手紙」
⏳お題③:「鏡の向こうの約束」
真夜中のバス停に、バスは来ない。最終のバスは、とうに行ってしまった。それでも、なんとなく来るような気がして彼女はバス停で待っていた。
そしたら、たぬきの郵便屋さんが、やってきて、
「バスを待っているのは君かい?」と聞いて来た。
頷くと、落ち葉の手紙を渡してくれた。
「はい、これは君に渡すために配達してるんだよ」
と言って、行ってしまった。
落ち葉の手紙を読んでみた。
「この手紙を受け取ったあなたへ、
僕は鏡の向こうの約束を覚えているよ。君は覚えてくれているかい?」
「約束?なんだろう?」
そう言うと、バッグから、コンパクトを出して、鏡を覗き込んだ。
「あ、あなたは!でも、そっちへ行く方法が分からないわ。どうすればいいの」
「やあ、このまま話をすればいいんだよ。僕もそっちに行く方法は、分からない。ただ、こうしていれば君と話すことが出来る」
ふたりはお互いの存在を理解して、話をする。もう一度、会って話をすること。それは愛だということ。
もう真夜中の午前2時を過ぎていた。
バス停にひとり、コンパクトを開き話をする彼女。
それを狙って忍び寄る者がいた。
気づいたのは、鏡の中の彼だった。
「ねぇ、君、誰かが君を狙って近づいて来る!逃げて!!」
「え?」
彼女は駆け出した。追って来る者の方が足が速い。
彼女は捕まってしまった。それは、真夜中の盗人だった。捕まれば殺される。
「コンパクトを地面に置いて、早く」
彼女は、コンパクトを言われた通り地面に置いた。
まばゆい光がコンパクトから放たれて真夜中の盗人は、消えてしまった。
「ありがとう、助けてくれてありがとう」
彼女はコンパクトに話しかけるが返事はない。
コンパクトの鏡は割れていた。
「ああ、もう会えないの。私を助けるためにあなたは消えてしまったの」
たぬきの郵便屋さんがやって来て、
「そうか、助けてもらったんだね。
それが君との約束だったんだよ。
もう家に帰ったほうがいい。そして、ここにはもう来ない方がいいよ」
彼女は泣き崩れた。
この夜のことは誰にも話さず、
時々、鏡に向かって話しかける彼女だった。
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