長屋に鳴る鬼 明治幻想奇譚 第一話 序 業火の隙間(全17話30000字)
あらすじ
明治11年夏。
山菱哲佐は博打で負けて金に困っていた。その帰り道、土御門という貴族ヅラした学友にばったり出会い、蕎麦を奢らせていると話は妙な方向に転んでいく。
「ではお化けが出るか確かめてくれませんか? お給金をお支払いしましょう」
高給につられてたどり着いた長屋は確かに妙だった。
それが山菱哲佐こと俺と頭のおかしな陰陽師の化け物退治に駆り出されるようになった切欠だ。
第一話 序 業火の隙間
助けて。
助けてよう。
誰か。
アディソン? アレクサンドラ?
みんな、みんなどこにいったの。
ここはどこ?
もうもうと白く煙る世界の中で蠢く僅かな影。
けほ、けほ。
息を吸えば白い煙は口から体の中に入って、もう動けなくなる。
「いたぞ、こっちだ」
「囲え!」
「化け物め!」
たくさんの黒い影が僕を取り囲む。
その後ろでは白い煙がもうもうと立ち上っていて、パチパチと赤い火の粉が待っている。
怖い。
い、や。
助けて。こないで。
お願い。
いやだ、もう。
助けて、誰か……
怖い。
#創作大賞2024 #ホラー小説部門 #妖怪 #陰陽師 #明治時代 #生贄 #あやかし
