【短編小説(短編連作)】辻切区のどこか奇妙なXmas 10 靴下じゃなくて手袋だったら? 1000字
[HL:クリスマス……激務……こなけりゃいいと少し……]
割引込みで2000円を少し超えた手袋を当たりということでまあいいかと思いつつ、手袋を巨大靴下袋にいれながらふと呟いた。
「靴下があるのに手袋がないのはおかしくない?」
「え? そうですか?」
特に誰の返事も期待してなかったのに、近くにいた吾郷君には聞こえていたようだ。すぐにポケットからスマホを取り出す。
「えーと、身売りされそうな娘の家に聖ニコラオスが金貨を投げ入れたら暖炉につるしていた靴下に入って身売りをしなくてすんだ、ってネットに書いてあります」
若い子はすぐ調べて偉いなぁ。俺はたいして気にならなきゃほっとくのに。
「じゃあ手袋に入ってたら手袋だったのかな」
「多分そうっすね」
よくデパートで売ってるお菓子のつまった段ボール製の靴下を思い返す。あれが手袋だったら指の部分が随分が随分無駄で、不格好そうだなと思う。ハリセンボンみたいだ。
「そういえば聖ニコラオスってサンタさんのことだっけ」
「そうなんすか? 公理さん物知りっすね」
「いやまあ受け売りっていうか」
どこで聞いたんだろう。でも多分こういうのってたいてい環の受け売りな気はする。環こそこういうのをよく知っていて、たまに常識的なことを全然知らなかったりする。変なの。
「公理さん、クリスマスの日ってパーティします?」
「え? したい? 俺なんか帰ってすぐ寝たいんだけど」
あ、なんか俺今すごいおっさんぽいこと言ってる?
「イブの日はさすがに無理っすけど、25日の方です。25日は多少余裕があると思いますよ」
25日……?
あれ。でもパーティって24日にやるもんじゃないの? そんなイメージ。店は繁華街も近いから、お仕事のお姉さんが夕方くらいからずっと続いてその後はオールでパーティをハシゴする連中が真夜中までっていうイメージだったけど。
「予約って今どうなってる?」
「25日の予約は21時で最終ですね。24日は酷いですけど、特に公理さんは指名で死ねるレベル」
思わず頭をかかえた。予想はしてたけど、この2日は毎年記憶がない。いつのまにかぶっ倒れて26日の昼過ぎに目が覚めて、26日は丸一日休みにしてもらってる。そういえばどうやって帰ってるんだ。
「今年も俺倒れるかも」
そうなるとパーティどころか、靴下のプレゼント配れるかも自信はない。
「吾郷君、俺駄目になってたら代わりに配っといて」
吾郷君は実に残念そうな顔で俺を見た。
to be Continued
★次の話
#いつきちゃんのアドベントカレンダー
#手袋
おじゃましますー。なるべく毎日、智ちゃんが主人公の話を書いてみようかな的な。途切れたらそれまで。
★似た系列の話
智ちゃんも環ちゃんもでてこないけど錦織さんのパティスリーは出る。
