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自分で決めるチキンレース、『海底探検』小説付き。

こんにちは。
今回はOINKGAMESの『海底探検』です。


参加人数:2~6人
プレイ時間:30分前後(人数によらず)
対象年齢:8歳以上
おすすめな人タイプ:チキンレース好き。煽ラー。一攫千金好き。
お手軽度     楽★☆☆☆☆大変
ルール理解難易度 楽★☆☆☆☆大変


共通前書き。
コロナ前にボドゲにはまっていたのでたまにショートショートな小説付きで紹介したいと思います。
ルール自体に著作権はなく、ジャケやイラスト、記載文言自体には著作権が生じていると認識しているので公式HP引用のみにしていますが、問題があれば削除するのでご指摘ください。


プレイ雑感SS:潜水艦の挑戦者(1500字)

 ギィゴゴと古い潜水艇内に不吉な音が響き渡った直後、けたたましいアラートが鳴り響いてハッチが開き、4人の挑戦者が帰還する。同時にアラート音をかき消すほどの歓声が狭い艦内を埋め尽くす。そして未だ水を滴らせる挑戦者たちが手に手に掲げる財宝に垂涎の眼差しが注がれる。
 次は自分だとばかりに、挑戦者たちが脱いだばかりの汗臭い潜水服を奪い合って新たな6人の挑戦者が並ぶのに、ものの5分もかからなかった。
 艦長の声が響き渡る。
「いいかぁ! てめーら聞け! ここがお宝の海域だぁ!」
「「「うおおおおお!」」」
「今回はこの6人が潜る!」
 同時に羨むような、不幸を願うような、そんな声が狭い艇内にくぐもって響く。本番の前の小さな争奪戦を勝ち抜いた六人はご満悦だ。このためにここまで来たのだし、その機会は早い方が良いのは自明の理。

「お前らも知ってる通り、深ければ深いほどお宝は手付かずだ! 暗い海中ほどお宝は明るく光り輝く!」
 腕を天井に高く掲げる館長の声に潜水服を着込んだ6人のヘルメットが期待で揺れる。艦長は揚がりの1割を手にする契約だ。9割はお宝の潜水者の手元に残る。破格だ。破格の条件だ。
「だが! だがな! 気をつけろ! ここのタンクの残存空気は通常時の大人1人換算で二時間分しか持たねぇ」
 艇内に緊張が走る。
 そうだ。だからこの船は乗る時にそれなりの乗船賃を取る。浅い宝じゃ赤字になるほどの。けれども深く潜れば……。ゴクリという音がどこから聞こえた気がした。
 乗船して初めて知ったんだが、この艇内に空気タンクは一つっきゃない。これが乗船中が安かった理由だろう。つまり6人で潜れば1人頭20分潜れる。けれど1人が安全を取って10分で上がれば他の5人の持ち時間が2分ずつ増えるって寸法だ。だからみんな、他のやつが早く脱落することを願っている。
 海底では何が起こるかわからない。でかい財宝を引き上げるには……それだけ余計に空気が必要ってことは分かるよな? 宝を、つまり荷物を持てば持つほど浮かぶ労力は爆上がりだ。
 つまりこれは海底に眠るお宝を目指したチキンレース。引き際を誤った者は空気を失い溺れ死ぬ。その事実が皆の脳裏に刻みつけられている。さっきの潜航も、6人潜って4人しか返ってこなかった。冷やりと、暗い暗い海底のお宝に目がくらんで止まれなかった者の怨嗟の呟きが聞こえた気がした。

 けれどこの船に乗っている奴らは簡単には止まらない。止まれない。
 もう乗車賃は支払ってしまったのだから。こんなボロ船に乗る奴らに2度目の乗船賃の当てなんかない。ヘルメットを掴んだ時点で、そして船に乗った時点でこのレースはすでに始まっている。
 選ばれた6人は次々と残る男たちと握手する。これから冷たい海に入る前に、最後の温もりを求めるように。本当に最後かもしれないから。
 一通りの挨拶が終わり、ゴウとハッチが閉じられる。6人のいる下の区画には既に水が頭に満ちているだろう。
 命のカウントダウンが始まった。空気がなくなるまでに一体何人がここまで戻ってこれるだろうか。
 戻ってこれないならそれはそれで……好都合だ。艇の近くには持ち帰れなかった宝が山となって沈んでいるということだから。俺が潜るときにはきっと宝が手に入れやすいだろう。
 この死の檻に集まる者のうち、果たして何人が生きて帰れるのか。
 うん? 俺は当然生き残るさ。

海底探検情報(From公式HP)

海底の財宝、減っていく空気。
海底に眠る財宝を探索するのは潜水艦に乗り合わせた欲張りな探検家たち。潜水服に身を包み勇んで宝探しに向かいますが、なんとこのオンボロ潜水艦では、すべての探検家がひとつの空気タンクにつながっているのです。無謀な者が一人でもいると全員の命が危険にさらされることに。はたして探検家たちは無事に宝を持ち帰ることができるのでしょうか...?

公式HP

簡単なルール説明

 一言でいうと、潜水艦(スタート兼ゴール地点)から海に潜って海底のお宝を探して『持って帰る』ゲーム。お宝カードの上を歩く一本道のすごろくで、好きなところで宝を集めて潜水艦まで帰ってきます。一番たくさんお宝を持って帰った人が勝ちだけど、帰れなければ点数はない。
 おうちに帰るまでが遠足です。

 具体的にはサイコロを振ってその出目の数だけ一直線にどんどん潜っていく。それで任意の場所でお宝カードをめくって取得すると、深さの段階に応じて点数が入る。浅いところは0~3点、一番深いところは12~15点。つまり深く潜れば潜るほど点が高いってこと。
 でもその点数は船に戻るまでわからない。なぜなら海の中でお宝の査定をするとかそんな悠長なことはできないから。お宝沢山取っても全部0点なら負けるし、一つでも15点なら多分勝てる。

 この潜水に一番大切なのは空気だ。エアのほうの。
 潜水艦の中の空気は全員共通の定量空気30個分で、その30個の空気を全員で分け合う。問題はここから。お宝は重い。お宝を保持してしまうとその分だけ空気の減りが早くなり、お宝の重さで戻るのが遅くなる。
 例えばサイコロで4を出す。何も持っていなければ4マス移動できるところ、宝を2つ持っていると移動するのに空気を2個消費し、さらに出目の4から2を引いた2マス分しか戻れない。つまり2が出てしまうと一歩も動けなくて空気だけ消費する羽目になる。
 たくさんお宝を取ればとるほど空気が減って潜水艦に戻るのが大変になる。一点突破で深く潜るにしても、その間に他のプレイヤーが浅いところでお宝をとりまくって空気を消費すれば帰るまでに空気が枯渇する。最後の方の減り方はみんなお宝持ってるからマジやばい。下手すると1ラウンドで空気が15吹っ飛ぶ。
 当然ながら潜水艦に戻らないと点数は得られない。帰り道で死んでしまえば死んだ地点に宝が放置され、次ラウンドのプレイヤーがそこに止まれば、一気に大量の宝を手にできるかもしれない。

 だからこれは他のプレイヤーの行動と空気残量を見ながらどこまで深く潜るかっていうドキドキのチキンレースです。
 どこで引き返すかっていうのが結構手に汗握るし、何よりお気軽でやってみればルールがすぐわかるので機会があれば一度どうぞ。

プラスアルファ的プレイ感

 このゲームは普通の他人をいかに出し抜くか、という単純なところに留まらない。他の人の潜り具合や獲得宝数を見ながらどこで引き返すかに頭を悩ませるこのゲームは、後半になればなるほど一人の無茶が他人の生死に直結するため、特定他人を地上に戻さないためにどう考えても帰れない量の宝をかき集めて沈没して道連れにするなんてこともできてしまう。そして喋ることが禁じられないからこそ、「お願いだから戻ってきて」とか「次は早めに帰りますから」とか口約束な場外乱闘トークができてしまうのだ。
 そこもまた醍醐味ではあるのだけど、あまりやりすぎるとお友達をなくしてしまうのでご注意。

あとがき

 最初に選ぶべきゲームは普通カタンとかカルカソンヌとかの超有名どころなのかなという気はするものの、あれはルールが少々複雑なんだ。だから最初は簡単でとっつきやすいのにしてみた。
 このOink Gamesさんのゲームはコンポーネント(箱)が小さくてとても可愛い。最近は大型書店とかでも売ってます。
 このシリーズは一応目的があって。
 ①内容(テーマ)に即したSSの作成の練習。
 ②プレイ方法をわかりやすく簡潔に記載する練習。
 そんな感じなので適当にやります。たまに。

◆ボドゲ沼にはまるマガジン

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