テニスは、あなたもできる究極の健康エクササイズ
私がテニスを始めたのは、60歳のときでした。
それから11年が経って、71歳になった今なんですけれども、これ以上ないほど自分の体が進化しているのを感じています。
特にこの2年ほど、右手でも左手でもバックハンドを中心に打ち返す「二刀流壁打ちテニス」をやっています。
この左右バランスのエクササイズこそが、私の体と人生を完全に変えました。
多くのテニス愛好家の方は、利き手のフォアハンドばかりを練習されますよね。
でもフォアハンドの動作というのは、どうしても体を内側へと丸め込んでしまうので、猫背や巻き込み肩になりやすいのです。
ところが、バックハンドは違います。
胸をグッと張って、両腕を外側へ広く開いていく感覚です。
この体を広く開く運動を、右手でも左手でも交互に続けていきます。
そうすると、普段歩いているときも、両肩の余計な力が全然入らなくなります。
すんなりと柔らかい状態になって、まるでピノキオのように、肩が自由にたらっとした感じになるのです。
全然力みがなくて、肩関節がストーンと下にぶら下がっている感覚。
これ、本当にすごい感覚なんですよね。
多くの人にぜひ感じてほしいな、と思っています。
そんな風に日々体を整えていたら、この前、思いがけない大事件が起きました。
私がいつものように二刀流の壁打ちをやっていたら、向こうの方で野球をやっている子供たちが、特大のフライを打ち上げたのです。
飛んできたのは、テニスの緑のボールでした。
私はそれに気づいて、すぐにラケットを地面に置いて、大至急で走っていきました。
もし野球のグローブを持っていれば、片手を出せばいいので、体のバランスは取りやすかったと思います。
でも、それを素手の両手で取りにいったのです。
上空のボールに向かって、頭上ギリギリのところまで、両手をまっすぐに伸ばしました。
体は後ろに大きく反るような形になりますから、やっぱりバランスを取るのが難しかったのだと思います。
空中でのキャッチの感覚があって、見事に成功したと思った瞬間、勢い余って後ろに転倒してしまいました。
左肩、左肘、左膝という順番で、ちょっと打撲をして崩れ落ちていきました。
でも、ここからが日頃のエクササイズの成果です。
最後の最後に、両方の手のひらで地面をグッとつかんで、自分の体を支えました。
うまく衝撃をコントロールできたのです。
頭や腰を打つこともなく、体全体をしっかり守ることができました。
昨日、いつも仲良くしている子供たちに「あのボールどうなった?」って聞いてみたのです。
彼らは私の大事な友達で、みんな私のことを「hideさん」って呼んでくれる関係なんですよね。
すると、「hideさん、確かに空中ですごいキャッチをしてたよ!」って教えてくれたのです。
そのまま後ろになだれ込んで落ちていったときに、ボールは手から離れてしまったそうなんですけれども、空中でのキャッチは大成功だったわけです。
71歳の私が、これだけダイナミックに後ろに倒れても、すり傷だけで大きな事故にならなかった。
これは本当に、両手のひらで地面をつかんで体を支えられたのが良かったのだと思います。
倒れた瞬間に、首の筋肉や、腹筋、背筋をずいぶん使ったなという実感があります。
普段から両手バックハンドで体幹を鍛えていたからこそ、自分の体が自然と自分を守ってくれました。
そして、この二刀流バックハンドのエクササイズは、さらなるおまけをくれました。
実は私、最近になって口笛がどんどん吹けるようになったのです。
将来は口笛奏者もいいなと考えていて、YouTubeで口の形とかいろいろなテクニックを見ていたのですが、なかなかついていくのが大変でした。
ところが、この両手バックハンドのエクササイズをやっていたら、自然と口笛ができるようになってきた。
どうしてだと思いますか。
バックハンドで右手も左手も大きく開くことで、空気を押し出すための腹筋や背筋がしっかり鍛えられたからなのです。
胸が広くなって、肺活量も上がりました。
何より、肩や首の力がピノキオのようにストンと抜けたので、顎や喉の余計な緊張まで一緒にほぐれたのです。
口先のテクニックではなく、体という楽器そのものが、お腹の底から綺麗に響くようになったのですよね。
このままこのエクササイズを続けていったら、もっと自由に口笛が吹けるようになるに決まっています。
こんな素晴らしい健康エクササイズ、もう手放せません。
でも、このエッセイを読んだ人は、きっと「自分とは関係のない特別な世界の話だな」って笑ってしまうかもしれません。
もしそうだとしたら、ちょっと寂しいなぁと思うのです。
だって、誰だってやろうと思えば、この両手バックハンドのエクササイズは今すぐできるのですから。
壁がなくても、ラケットを持っていなくても、素振り(シャドーイング)で十分にできる運動です。
むしろ壁がない方が、ボールを気にしなくていい分、右手も左手も後ろの方までかなり伸びるように、胸を大きく開けると思うのです。
家の中にいて、ラケットの代わりに、何か手に少し重いものを持つだけでもいいですよね。
それを両手に持って、右、左、と胸を開いていくだけです。
そうすれば、フォアハンドの運動で丸まっていた背中や筋肉が、すっとリセットされていきます。
現代の猫背になってしまう運動から、体を広く開いていく運動へ。
これに気づいたら、もうバックハンドのエクササイズをやるに決まっていますよね。
どうしてみんなやらないのかなあ、って不思議に思うくらいです。
年齢に関係なく、自分の体の声を聴きながら、いつでも、誰でも、その場で始められる。
これこそが、テニスが教えてくれた究極の健康法なのです。
(2026年5月27日 水曜日 曇り)
