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『折れた大根と、私の二刀流の休日』〜ダンゴムシの洗礼を越えて、妻には言えない畑の秘密〜

読者の皆さんおはようございます。
最近は雨続きで、大好きな二刀流壁打ちテニスになかなか行けなかった私なのです。
ですが昨日は本当に久しぶりに、運動場へ体を動かしに行ってきたのですね。

家内からも「あんまりnoteのエッセイばかり一生懸命になりすぎないで」と言われていたのです。
「たまには外に行って運動してきなさいよ」と、優しくお尻を叩かれていました。
それで、ようやく重い腰を上げたというわけです。

でもね、テニスに行くその前に、私は夕方の5時を過ぎた頃、ふと思い立って寄ってみたのですね。
あの90歳になる私の大切な親友の、ご婦人の畑へとひょっこり立ち寄ってみたわけです。
すると彼女は小屋の中で、明日売り出すための野菜の出荷作業をしていたのですね。
それはそれは一生懸命に、仕事をやっておられたのです。

私は「この前いただいたあの大根、すっかり美味しく食べ終わりましたよ」と声をかけました。
そして、畑の向こうをじっと見つめてみたわけです。
見ると、あのどでかい大根が、まだ7本ほど地面から力強く頭を覗かせているじゃないですか。

彼女は「どうぞどうぞ、お好きなのを持ってって!お好きに!」と笑顔で言ってくれたのです。
私は嬉しくなって、さっそく畑の奥へと大根を取りに向かいました。
どれもこれも「これでもか」というほど見事に成長していて、さてどれにしようかと迷います。


あまり大きすぎると、中に「す」が入っていてスカスカなことがあるので嫌じゃないですか。
だから、ちょっと小さめのものがいいな、なんて思ったんですね。

ところが、大根を覗き込んだその瞬間、私は思わずうわっと身震いをしてしまったのです。
その場に立ちすくんで、びっくりしてしまいました。
なんと、大根の立派な葉っぱと、首の付け根の隙間のところにですね、いやー信じられないくらいの数のダンゴムシさんが、ぎっしりと固まっていたんですね。

「あのダンゴムシさんたちが、この葉っぱをかじっていたのかなぁ」と思ったら一瞬だけ腰が引けて、「これ、本当に持って帰って食べるのか……?」と、頭の中で葛藤がぐるぐると渦巻いたわけです。

でも、大自然の中で立派に成長した見事な大根ですから、ここで諦めるわけにはいきません。
私はその場で、ダンゴムシさんをちょっと優しく払いのけました。
抜くときは一気に引っ張ると先っぽがポキリと折れてしまいますから、ここは慎重に、テニスの二刀流のように、手首を右回りにくるくるっと回しながら、やっとの思いで引き抜いたのです。

「やあ、やっぱりでっかいなぁ!」と大満足した私なのです。
ところが、それを地面にぽんと横に置いた瞬間、信じられないことが起きました。
別に放り投げたつもりはなかったのに、一番デリケートな先っぽの部分が、私の目の前でポキリと綺麗に折れてしまったのですね。

びっくり仰天しながらも、私は残ったダンゴムシがいないかをしっかり確認しました。折れた先っぽと長い本体を、両手に一本ずつ抱えて、彼女の小屋へ持って行ったのです。
「いやあ、また割れちゃいましたよ」と苦笑いしながら見せたんですね。

すると彼女は、その瑞々しい断面をじっと見て、こう言ってくれたのです。「あら、これは中に『す』も入っていなくて、もの凄く美味しそうだねえ!大丈夫、大丈夫、これは食べられるね。最高の当たりだよ」って。

「この前いただいた大根の首のところ少し黒くホウソ欠乏症だったんですけれども、そのまま美味しく食べましたよ」

こう言うと、切ろうとするので、「大丈夫、大丈夫そのままにしてください」とお断りしたのでした。

婦人とはいつもこんな素朴なやりとりで、ほんとに嬉しくなってしまいます。

婦人の温かい言葉に私の胸は一気に明るくなり、やっぱり持って帰って大正解だったなと思ったのです。
ただね、緑の葉っぱも持って帰ろうか一瞬悩んだのですが、彼女は小屋から包丁を持ってきて、スパッとその葉っぱの部分を切り落としてくれたのです。

「この葉っぱは、ちょっともう食べようがないんじゃないの?難しいと思うよ」と彼女が言うのです。
「そうだよね、仕方ないよね」と、私もすっかり腹落ちして、葉っぱは置いていくことに決めました。

その時、小屋の隅を見ると、出荷用に仕分けされた長ネギが目に留まりました。
小屋の外には、長ネギの外側の部分がたくさん捨ててありました。
よく見ると、まだまだ十分に食べられる長ネギが残っているではありませんか。
「素晴らしい長ネギが残っているなぁ」と思った私は、それもありがたく頂戴しました。
持っていたビニール袋へと、しっかりと仕舞い込んだわけです。

さらに畑の隅には、あの香りの良い山椒の葉っぱが、青々と茂っているので、私は嬉しくなって、ハサミでチョキチョキ摘み取り、これも大自然のギフトとしていただきました。

こうして、折れたどでかい大根と、長ネギと、山椒の葉を両手に抱えて、私はようやく壁打ち運動場へと向かったのです。

久しぶりの二刀流壁打ちで思い切り汗を流しながらも、私の頭の中は、今夜の夕飯のことでいっぱいだったのです。

ただ、読者の皆さんにだけ、ここで一つだけ重大な「オフレコ(秘密)」を明かしておかなければなりません。
あの、大根の首の付け根にダンゴムシさんがぎっしり固まっていたシーンは、私の妻には絶対に、生涯内緒のつもりです。

もしも家内に「ダンゴムシが山ほどいたのよ」なんて言ったら、彼女は気持ち悪がって、この大根を絶対に食べませんから。

実は前にも、ちょっとダメになった人参をたくさん頂いてきて、冷蔵庫にしまっておいたことがあったのですよ。その時、家内が人参に残っていた小さな虫を見つけてしまい、それ以来、その人参には一切手をつけなかった苦い経験があるのです。

だから今回のダンゴムシ事件は、私と90歳の親友、そして読者の皆さんだけの秘密にして、美味しく大根を味わう今朝の私なのです。
この取れたてのみずみずしい大根、家内がスムージーに役立ててくのれるのが楽しみでなりません。

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