神秘の青に導かれて

やってきました。
矢車草の季節がやってきました。
先日、九十歳になる知人の女性から、この美しい矢車草を分けていただきました。どうです、この鮮やかでいて、どこか慎ましやかな佇まい。素敵でしょう。
彼女は本当に心根の優しいお人で、自分の畑に咲いた幸せを、こうして誰彼に惜しみなく「おすそ分け」してくださいます。そのお気持ちが、花の色をいっそう深く見せている気がします。
どの色も綺麗なんですが、 やはりこの青を見つめていると、ふと、中学生だった頃の自分に引き戻されます。
当時、背伸びをして手にとった岩波文庫の『青い花』。ノヴァーリスが描いた未知なるものへの憧れや、形のない理想。そんな青臭くも純粋だった記憶が、何十年という時を隔てたいま、目の前の花びらと重なり合います。
さて、さっそく台所に飾りましょう。
きっと、妻も喜んでくれるはずです。
日常のなかに、ふっと現れる季節の便り。
そんな小さな喜びを分かち合える相手がいる。それだけで、人生は十分に豊かなのかもしれません。
一2026年(令和8年)4月10日金曜日は曇りのち雨
