ファーストペンギン…スタンフォード 佐々木麟選手に思う
6月25日の日経新聞朝刊スポーツ面に、佐々木麟太郎選手の記事が掲載されていました。
佐々木さんは、MLBで活躍中の大谷選手や菊池選手も輩出した高校野球の名門校、花巻東高校の元注目スラッガーで、お父さんは同校監督をされています。高校卒業を控えた2年前、彼が進路に選んだのはなんとスタンフォード大学。世間の耳目が一層集まりました。
ちなみに2年前の夏、私は彼の高校野球最終戦を甲子園の外野席で観戦していました。あの日は本当に朝から暑くて、倒れそうになるほどでした…。
その佐々木さん、記事によれば日米の野球文化の違いに戸惑いながらも多様な価値観に刺激を受け、文武両道の両立に取組む、とても充実したカレッジライフを送っているとのことです。
スタンフォードでの経験の後、MLBに行くのか、NPBに行くのか、それともビジネスの世界に進むのか。
可能性あふれる若者のチャレンジに、心の底からエールを送りたいですよね。
でも、これって、日本で学び、働き、暮らす我々にとって、実はのんきに応援ばかりしている話じゃないんですよね。
野球でいえば野茂さんに始まり今の大谷さんたちに至るまで、
サッカーでいえばカズさんに始まり今の三苫さんたちに至るまで、
みんな、日本で実績をつくり名前を売ってからMLBや欧州リーグといった本場に渡る。そんな「プロセス」がずっと続いていました。
野茂さんが近鉄を経てMLBのマウンドに立ったのは1995年、カズさんがヴェルディー経てセリエAのピッチに立ったのは1994年。
そこから30年が経ちました。
才能ある10代の若者が、キャリアのステップの初期にして日本を選ばなくなった。それが如実に表れてしまった一例が佐々木さん、そんな風にも見ています。
まさに「失われた30年」とちょうど一致する…なにか因縁めいたものを感じますが、この30年で若者の価値観も確実に変化したということでしょう。
野茂さん、カズさんもそうでしたが、佐々木さんもまたファーストペンギンです。
岸壁に並ぶペンギンたちの目の前には荒れ狂う海。海中にはエサとなる魚がたくさんいるかもしれないけど、天敵のシャチがいるかもしれない。みな不安で怖い。でも、飛び込まずに魚を獲られることはない。一番乗りで飛び込めば、たらふく魚を獲れるはず。でも…。
「えいっ!」
一匹、先頭に立って飛び込んだ一羽の勇気あるペンギン。それがファーストペンギンです。
それを見て、安全なことを確認し後に続くのが、普通のペンギンたちです。
—後に続く道を創る。そして、世の中の常識を変える。
日本全国の才能あふれる若者たち。
野球に限らず他のスポーツ、芸術、そしてもちろん勉学。
彼の地で悪戦苦闘しながらも充実した日々を過ごす同世代のファーストペンギンを見て、「私も飛び込んでみよう」そんなムーブメントが起きる気がしています。
とても素晴らしいことなんですが、日本の学校、そして日本の企業が、果たして彼ら彼女らが飛び込みたくなる「魅力」を持っているのか、期待とともに、そんな不安を感じてしまう記事でした。
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