【京都】東寺の近くで育った私。五重塔とストリップ劇場があるまち。
私は京都にある世界遺産・東寺の近くで育った。高さ約55メートルの五重塔は新幹線の南窓からもよく見える。こう書くと、いかにも「ザ・京都人」という感じだが、このあたりは京都市の中心部から離れており、大学生まで「東寺の近くに住んでいます」というのが恥ずかしくて仕方なかった。東側に「DX東寺劇場」という有名なストリップ劇場があり、「東寺」と口にした瞬間、そちらを連想される方が結構いらっしゃったのである。7月の弘法市の日、ふと懐かしくなって東寺を訪ねた。
※DX東寺劇場の写真はありません。写真は東寺だけです。
「弘法市」は、地元では「弘法さん」という名前で親しまれている。弘法大師の月命日である毎月21日、境内に骨董、古着、食品などの露店がずらりと並ぶ。12月の「終い弘法」と1月の「初弘法」は特に有名で、テレビや新聞でとりあげられることも多い。

東寺といえば五重塔。小学生の頃、夏休みの宿題の定番は、五重塔の絵を描くことだった。私は怠惰な子どもだったので、涼しい日陰でスケッチブックを開き、ささっと描いて色を塗り、おしまいにしていた。構図に何の工夫もない。ところがクラスに1人、絵が上手な子がいて、彼は歩道橋の上から見た五重塔を遠近法を使って描いていた。小学生の絵とは思えない、すごい出来だった。もっとも彼の家は歩道橋の近くにあったので、いつも見ている景色を描いただけだっただろう。

ところで、弘法さんで売られている商品にも、ゆるやかな流行がある。もうだいぶ前からアンティーク着物の店は大人気で、インバウンドの方々が興味深そうに眺めている。うまく探せば、今のものとは違う、珍しい着物や反物が手に入る。私の友人は安く買った着物や反物を洋服にリメイクしている。絞りの羽織で肌着、浴衣でステテコを作ってプレゼントしてくれたが、気持ちよくて重宝している。帯地のバッグの店もあって、とっても可愛い。

五重塔、金堂、講堂、食堂など、歴史ある建物が並ぶ境内に、おもちゃ箱をひっくり返したような露店が並ぶ様子を眺めていると、東寺って懐が深いお寺だなあと、つくづく思う。多種多様なものがあり、それぞれ生き生きとして見える。
そう思うと、すぐ近くに「東寺」の名を冠したストリップ劇場があることも不思議ではない。
「DX東寺劇場」には去年、ある人に誘われて初めて伺ったが、思いのほか素晴らしくて感動した。
こういう劇場はアングラであってほしいので、詳しくは書かないが、若い踊り子さんもベテランの踊り子さんも、工夫した音楽と振付で、それぞれの肉体を堂々と魅力的に見せていた。「推し」の踊り子さんにリボンを投げて応援する「リボンさん」と呼ばれる男性たちがいて、踊りの邪魔にならないようにリボンを投げる様子は、もはや匠の技であった。女性のお客さんも多かった。
ちょっと意外だったのは、踊り子さんたちが、お行儀よくパンティーを身に着けていたこと。劇場の存続を思えば、まあそうなるだろう。だけど、パンティーがない方が、本当の女神様みたいで格好いいんじゃないかなあ、と少し残念に思った。
