【創作大賞2025】ROOK③【エンタメ原作部門】
(ミコゼ視点)
月白皇国秋津方面軍とはなんと素晴らしい軍だろうか。
ここは本当に現実か?
知らぬ間に天国に迷い込んでいるなど言わないだろうな?
羽張閣下においては、点での運用に留まる私を温かく迎え入れてくれて――それもお世辞でなく100%の好意でもって底辺ルークの私を褒めちぎってくれた。
一体なぜ私などを認知しているのか、さっぱり分からない。戦勝国である皇国であれば私のようなルーク擬きではなく、いくらでも優秀な加護を持つ帝国ご自慢のルークを引き抜けただろうに。
――その答えはすぐにわかることとなる。
なんということだ。最後の最後に私が叩き落とした子の上官か。まさかあの笑顔の裏に、よくもやってくれたなって復讐心があるのか?
彼の部下である皇国のルーク――最後の撤退戦で相まみえたエアメイジ、帝国での識別コードをホワイトフォックス。莫大な魔力でもって、はるか後方においても帝国の魔力探知に引っ掛かることからネームドとされた狐憑き。
空でも思ったが、なんと理性的な少年だろうか。
神に至りかかる程の魔力は人の身に少なからず影響を与える。一般的に魔力が多ければ多いほど見た目麗しく、それこそが精霊に好かれる所以である。
入江真白――その名の通り、穢を知らぬ純白。月白皇国には珍しい白銀の髪はきっと精霊のご好意によるものだろう。
うつわが素晴らしいのは当然、されどその中身まで完璧とはなんとも恐ろしい。私を前にして驚きこそすれど、憎しみの『に』の字も表に出しはしない。
皇国は子供たちにいったいどういう教育を施しているのか。この世の悪というものを知らないのではないかと不安にすら思う。私の部下であってもこの態度は取れないだろう。私であっても難しいかもしれない。
入江少佐に連れられて各種調査を取られる。
軍医の方においても、帝国兵である私を心配すらしてくれる。一体どんな教育を受ければ私に負の感情を抱かずにいられるのか。
私がお前たちの親兄弟を殺しているかもしれないのに……ついこの間まで敵兵だった者に二人分の配給チョコバーを恵むなんて。
こんなの帝国であれば受け取った時点で二人分の戦果を出さなければならなくなる。その思いが受け取りを遠慮するが、ご丁寧に個包装を剥いてまで手に握らせてくるのだから食べざるを得ない。
身体検査のお次は持ち物検査だ。
せっかくよい子の皮をかぶっていても、バックパックを暴かれればぶりっ子もくそもない。
いつか役に立つだろうと貯めに貯めていた端材
勝者の当然の権利として鹵獲した各種武装
私に向けられた弾丸の類
他、エトセトラetc.
魔力量に依存しない亜空間収納術式は開口のタイミングでしか魔力消費をしない。つまり何をどれだけ仕舞い込もうが吐き出そうが、私個人に割り当てられた亜空間との接続時にのみ魔力を消費する。
シールドやヒーリングといった魔力量に依存する術式と違い、これは魔力貧困層の私が唯一まともに使える術式であると言って過言ではない。
――で、あるからこそ、この様だ。
誰がどう見たって、手癖の悪い『クソガキ』でしかない。
お上品な入江少佐をもってしても開いた口が閉じないほど、私が仕舞い込んだ物資というのは多かった。
拡大解釈すれば歩く爆薬庫。皇国に対して『テロを考えていませんか?』と聞かれたって仕方のない状況だ。
あーあ、もう本当に一瞬だったな……誰も私のことを知らない土地でぶりっ子計画は開幕頓挫。なんて、どうせ長続きしないぶりっ子生活、早めに終止符打ってくれた入江少佐には脱帽である。
***
翌日、入江少佐は白狐分隊との顔合わせの場を設けてくれた。帝国軍はその高魔力故にイマイチ規模を掴めていなかったが、我々ハーピー分隊と同じく分隊規模だったようだ。
私と顔合わせさせるということはやはりルークはルークとして纏めての運用か。
引き抜いた手前、出し渋るということはないだろう。
しかし、入江少佐のような少年少女が分隊規模で存在すると――?
「うちは絶対認めへんからな!!お前のことぜっったい認めへんからなぁ!!」
「何言うてんねん。伊代が認めんでもお国のご意向やろが」
「うるっさいねん伊代。恥ずかしいわ」
――なんとまあ可愛らしいひな鳥だろう。
私はようやく安心を覚えた。
地団駄を踏みながら私に対して精一杯の威嚇をする伊予と呼ばれた少女。それはもう、ピーピー鳴くひな鳥そのものだった。
私の翼下にしまいこんで安心させてあげたい。
なんでこんなに可愛らしいひな鳥が軍服を着ているの?皇国の道徳心は何処に行った?
「なんでお前ら平然と受け入れてんねん!こいつのせいでどんだけ苦労したか!忘れたわけやないやろ!」
「伊代」
私を指差し、集められた白狐隊の面々に同意を求めんその姿のなんと健気で可愛らしいことか――皇国軍全体の心情を彼女一人に代弁させるなど、酷すぎやしないか?
「真白さん!!うちは嫌や!こいつを入れるなんて絶対嫌や!」
「伊代、ええ加減にせえ」
対して私の隣に立つ入江少佐のなんと冷ややかなことか――こいつ本当に子供か?
怒鳴るわけでもないのにその言葉には圧倒的なプレッシャーがある。肉体言語で従わせてきた私なんかとは大違いだ。言葉だけでその場を支配できる。ルークでなくともその階級に見合うカリスマ性。
これは良き頭を得られたな。
私はただ彼に付き従えば良いに違いない。
安泰安泰――がてら助け舟を出す。
「いえ、入江少佐。当然の反応かと……いくら国家が和平を結ぼうとも、昨日の敵が今日の友になろうとも、私が御国にしたことが消えるわけではありません」
「しかし、我々は軍人です。命令に従う義務があります。貴女もそれは同じはず」
「はい」
なるほどなるほど、そうだろうとも――
「そしてこの阿呆もそうでなければならない」
「うぐぐ」
ゾッとするほどの冷たさだ。
感情の乗らない平坦な言葉は、怒鳴られた方がいっそマシかもしれないと思わせる。
「彼女は、皆の気持ちを代弁してくれているに過ぎません。我らは軍人である以前に人間であります。憎しみというものはそう簡単に消えうるものではないと、理解しております」
「何を良い子ぶってんねん気色悪い!国に帰れ!」
「……伊代、仏の顔も終いや」
「ひっ」
私も自分の分隊にそうしたように、これは必要な『見せしめ』なんだろ?大丈夫だよ、本意じゃないって解るよ。
だからいいよもう。そのへんにしとこう、分かったから――っていうフォロー虚しく伊予という少女は入江少佐の地雷原をドシドシと踏み荒らす。
まるで重力が2倍にでもなったかというようなプレッシャー――それは入江少佐の魔力の揺らぎがもたらすもの。
顕現する狐の耳と九尾に併せて瞳が金色に輝く。矛先が『伊予』であっても、その余波がこれほどとは――よくぞ、生き延びたな私。
(黒鉄視点)
ここにいる誰よりもちっさくて、誰よりもガリガリの少年兵が、誰よりも母性溢れる大人である歪さ。
なんで伊予に噛みつかれながら庇えるのか。
それが形だけのものじゃなく本心だと思うから余計に気持ちが悪いのだ。
「どうか入江少佐、おやめください。彼女は何一つ間違ってなどいない。当然の反応、正常な感性です。それはとても大切なものです。失って良いものではありません。ましてや彼女はまだ子供なのですよ?」
驚いた。
外面はギリギリ保てているが、内心ではほんとにもうひっくり返るほど驚いた。
帝国からルークの派兵があるのは聞いていた。
なんなら昨日、真白の隣を歩いてるところを俺は見ている。そんで真白に詰め寄ったし。
「なあ、なあ、なあ!あの子誰?」
といったように。
せやけど真白は「まだ機密やから」と黙っとったわけや。
よう機密やからって黙ってられたな。あの『ハヤブサ』迎え入れといて。
真白にとってハヤブサは積年の某だろうに。それは好敵手でもあり仇でもあり憧れでもあって、一言で言い切れない相手だったはずだ。
――そんな相手に「子供なんだから勘弁したりやしょうや」言われて、いくら真白と言えど黙ってられへんかったのやろ。
「……ここにいる全員が子供やろが。何が子供や……アンタだって子供やろ。ミコゼ少尉ができることを――アンタだって俺らが憎いやろに軍人として割り切ってうちに加勢してくれてんのやろ――俺らができんなんて言い訳、通ると思ってんのか」
「はい、いいえ入江少佐。出過ぎた真似をどうかお許しください」
そんでもっと気持ち悪い思うんが真白を落としたハヤブサの階級や。
少尉?俺よりも低いやんけ。
階級だけで言えば伊予と宵――八社宮の双子や銀次と同じ。うちに階級だけで判断するアホはおらんにしてもや。ただでさえほんの先日まで敵国だったルークで心理的に嫌悪感があるのに、低すぎる階級はやりにくすぎる。
「ミコゼ少尉はええねん。八社宮伊代少尉、分かったな?」
「うっ、ぐぬぬ…………はい」
同じルーク、同じ階級、されど国の違いでこうまで変わるか。
俺らにしてみれば真白は変態や思うほど完璧な軍人だったのに、本物の軍人を前にしたら真白すら霞む――当然俺らなんか幼子や。
戦争に勝ちはしても、真白が勝てへんわけやわな。
「……ミコゼ少尉はこれより白狐分隊所属となる。それに伴い一部編成を修正する。黒鉄中尉、不知火少尉、新島軍曹」
「はい」
おっと?
なんや俺呼ばれたぞ
「独立偵察班としてミコゼ少尉の下に付け」
「はい」
ははー、なるほど。
羽張閣下も考えよる。
伊予が反発すること見越して白狐分隊に組み込みながらも、班を隔離したわけや。
そんで班員の人選もええとこ突かはる。
派兵にあたり出し惜しまんはずのハヤブサ
見張りの俺
出撃に伴いうちで一番のヒーラー銀次
まだ比較的染まってへん新兵ルークの虎徹、か。
「なっ!?恐れながら――」
「意見具申は受け付けん。これは羽張閣下の命令である」
「……拝命いたします」
帝国で自分の分隊持っとったハヤブサや。
当然の采配やろに。なんなら班しか与えられんことに不満を持つか思ったら、真逆の反応しとった――嘘やろお前、俺らの下につくつもりやったんか。どの面下げて本家本元のアンタを使うっちゅうねん。
「また当然であるが、皇国と帝国の階級は同等ではない。帝国ルークはその経験値の高さから、皇国において階級より2階級上相当の扱いとする」
「は?」
「決定事項である」
きっちり軍人の皮を着込み直した真白の言葉にハヤブサはいよいよポカンとした。
別段おかしなことでもないやろにな。そんで2階級上でやっと大尉やねんからちょうどええやろ。
「ごもっともかと。いやぁ、よう考えはりますなぁ」
中尉の俺からすれば自然と『ナイス判断』と口から出る。真白と目が合えば少しだけホッとしたような顔をした。
「――恐悦至極であります。御国のため、この身、この命、捧げさせていただきます」
対してハヤブサといえば、歯をギリリと噛み締めて目を瞑った後、動揺を消化していた。
――そこが同じ子供のくせにえらいとこや。
なんでここまで自分をコントロールできんねんな。俺には無理や。そもそも敵国だった国に一人放り込まれて平静を保ててるだけで拍手もんやろに。
(ミコゼ視点)
なんっで、こうなるんだクソッタレがぁ!!
てっきり冷静沈着で優秀なルークであられる入江少佐の下で、優雅な下っ端生活ができると思っていたのに!
なんの責任もなく、ただただ与えられた命令に従う――頭を空っぽにして。
そして皇国の肉壁になり、そこそこの意味を持って死ねるものだと、そう信じていたのに!
無欲すぎるぞ皇国よ!
なんで戦勝国が敗戦国のクソガキに忖度してるんだ。もっと私を顎で使え。奴隷として扱ったって帝国は怒らないんだぞ!
しかも実質2階級上ってなに?帝国で分隊長させるために無理やり士官階級にさせられただけの存在。そもそも下士官――2階級下の軍曹が相応の身分であるのにだ。
実質大尉ってなに?なんなの?なんなんだ?
八社宮伊予少尉!今こそ声を大にして反抗すべきとこだぞ!
「帝国軍第三師団所属元ハーピー分隊分隊長ジウ·ミコゼ少尉です。過大な評価をいただき、本独立偵察班班長の任、拝命いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」
「機械化魔導飛行団所属白狐分隊、黒鉄繋中尉です。隊長殿の名声はかねがね聞いとります。ご存知かもしれませんが我々はハーピー分隊を目標に組織されました。ミコゼ隊長殿の下で戦えること、大変名誉に存じます」
存じません。そうだったんですか!?
「同じく不知火銀次少尉であります。先程は同期が不敬を働き、大変申し訳ありませんでした。自分はヒーラーですので、ミコゼ隊長殿の配慮があればこそ、今真白さんが生きているのだと知っています……微力ながら、隊のお力になれるよう努めます。どうぞ、よろしくお願いいたします」
入江少佐が生きているのは少佐自身の加護と貴官の治癒術の賜物です。
私がしたのは多少の政治的配慮に過ぎません。誰であれそうするでしょう。
「お、同じく新島虎徹軍曹であります!自分は本戦線より入隊した新参者です。ご指導のほど何卒よろしくお願いいたします!」
可愛いひな鳥だこと。
なんで私なんかに教えを乞うかね。
「ミコゼ隊長殿、大尉殿。虎徹こそ入隊ホヤホヤの新兵でありますが、我々は皆実戦経験のない殻をかぶったひよこ。対して隊長殿は数多の戦線を渡り歩いた歴戦のルークであります。どうか国も階級も度外視して、我々を立派なハーピーにしていただきたい」
烏羽色の髪をした黒鉄中尉は、徹頭徹尾友好的な態度だが果たしてこれは本心か?絶対的に他国のルークを野放しにするはずがないので彼が私の監視役であるはずだ。それは皇国として正しい判断だ。問題はない。
ただ、頑なに私を『班長』ではなく『隊長』と呼称するのは一体何の意図があるのか。皇国軍として、なんらかの意志表明か?お前の隊長は入江少佐だろう。指揮系統を乱す懸念のある発言は指摘すべきか?
いや……切り替えろ
我が翼下に収まるひな鳥に、羽色の違いは関係ない。子供なのだ。ひな鳥が親鳥より先に死んでよい道理はない。
「……昨日の敵である私を受け入れてくれること、誠に感謝する。本班は独立偵察と名付けられているようだが実際の程が分からん。羽張閣下に確認後、追って方針を決定する」
「はい」
皇国は自国のルークを本当に前線に出すつもりなのか。帝国戦では出さなかったのに、共和国戦には投入する?皇国の理念が綺麗事に堕ちるほど厳しい状況と?
確認しなければ。
私が自由に使える子達ではない。
「新島軍曹」
「は、はい!」
「ネクタイが歪んでいる。正せ。国が違えど、軍人たるもの軍服を正しく着用する義務は変わらないはずだ」
「は、はい!すみません!」
本気だった場合、彼らを半殺しにする勢いで叩き直す必要がある――でなければ生き残れない。
本当に皇国は、羽張閣下は、この子達に武器を取らせるつもりなのか。
「きゅ、急に隊長殿の空気変わりましたね」
「……帝国とうちの違いか」
「え?」
「せやからハーピー分隊はハーピー分隊たるんやろな」
***
(羽張視点)
「ミコゼ少尉入室いたします」
「おう、ミコゼ少尉。うちのんとは仲良くできそうか?」
お手本のような入室挨拶と共にミコゼ少尉は俺の部屋にやってきた。
きらりと光るラプターイエローは真っすぐ俺を射抜く。
そこに緊張はなく、ごく自然に、しかしそれが義務であると理解した態度。
「……はい、可愛い子達ですので。ところで独立偵察班についてお聞きしてもよろしいでしょうか」
「せやな。来ると思っとった」
会敵と同時に真白を子供扱いしたというのはどうやら事実のようだ。
ミコゼ少尉にとって他のルークは等しく子供であるのか。その感性は一体どうすれば構成されるのか。
「まずは格別のご対応、ご配慮をいただいたことに感謝を――」
「当然や。これは貴官のためだけの対応ではない。我々にとっての最善である。本題に入りや」
俺は最後まで聞き続けることなく手で制してしまった。
少女の口からカンペなしの礼節を重んじた口上がスラスラ出てくることに俺は耐えられなかったからだ。他国でたった一人で判断して、両国の関係を配慮し続けるその対応。まるで官僚のようですらある。
真白にできるか――いや、俺が彼女の年の頃できたんか?
明らかに場慣れている。言い慣れている。
自国の言語であっても難しいものを、他国の言語でここまでできるか。
「はい閣下。皇国軍はルークの前線運用に否定的と認識しておりました。この『独立偵察』とはあくまで肩書なのでしょうか……それとも実用に足るレベルまで叩き上げますか?」
ミコゼ少尉の眼差しは厳しいものだった。
『本当に皇国ルークを出撃させるのか』と言外に確認している。そして皇国軍の実情をこの質問で推し量ろうとしているのだ。
または散々帝国の在り方を否定してきたくせに、自分たちも少年兵を使うのかと嘲笑っているのかもしれない。
痛いところを突いてくる。いや、ミコゼ少尉の立場からしてみれば至極当然の確認であるわけだが。例え子供同士であってもうちのルークを預かるのだ。その責任をミコゼ少尉は正しく理解し受け止めている。
そしてプロパガンダの可能性を述べるほど彼女はうちのルークに対して『足りない』と感じているのだ。
「……フー、叩き上げてくれ。少なくとも引き抜いた手前ミコゼ少尉の出撃は確定しとる。そこについて行かせられるレベルにしてもらえるか」
「……承知いたしました」
吐き出した煙草の煙がやけに目に染みる。
そもそも帝国ルークの派兵要請そのものが皇国の理念と違える。他国の子供ならどうなっても良いと受け取れかねないその要請に、せめてもの自国のルークを随伴させることで体裁を整えるに至っているのだ。
――そしてルークを使わなければ共和国戦に耐えられない、それが皇国の実態だ。先の戦皇国の理念の下、勝ちはしたが大人を失いすぎたのだ。
ミコゼ少尉はそのラプターイエローを微かに見開き、そして俺の言外に含まれる意味を理解したように頷いて見せた。
「ハーピー分隊やと思って鍛えたってくれ。遠慮はいらん」
「恐れながら羽張閣下、小官は入江少佐のように理性的に言葉で解決する術を知りません。我が分隊も力技で従わせていたに過ぎない……多少の暴力を看過していただけますか」
随分石橋を叩きよる。
これだけ他国の言語を自在に操って見せておいて言葉で御せないと申すか。
世界で初めてルークのみで構成され、独立して行動せしめた分隊の隊長が『力技で従わせたに過ぎない』と?
――いや、帝国で優先最下位という立場ではそうならざるをえなかったのか。
「それで生きて帰ってこれるようになるんやったら是非もなし、やな……これだけ事前に確認をしてくれるんや。ミコゼ少尉、貴官の感覚を信じよう」
「はい……ありがとうございます」
