見出し画像

桜文鳥

*はらとけいさんの#せりふ三題噺参加作品です。
*せりふ「おめでとう!」
*三題「いちごパジャマ文鳥」

~~~~~本編~~~~~


同棲生活は、2年で終わった。
世の中は、桜の花が咲き始めるころなのに・・・。

おそろいで買ったパジャマも俺の物は古着やに出し、新しいものを買った。
彼女が出て行く前に予約していたいちごのバースデーケーキはキャンセルを忘れていていた。
せっかくなので、何日かに分けて全部食べた。

ここまでは、彼女の残していった物の処分はスムーズにできた。
さて、ここからが問題だ。
難しいものが二つある。

LINEの登録と「桜文鳥」だ。

同棲を始めた時、彼女は桜文鳥を連れて来た。
手に乗るのは当然、仰向けに寝かせお腹をさすると目を閉じて死んだように動かなくなる。

どうしたものか・・・。犬や猫なら捨てるのも憚れるが、鳥なら放せばどうにかなるかと思った。
部屋の窓を開け、鳥かごの扉を開けて放とうとしたが、外を一周回って部屋に戻って来た。

そのうち出て行くだろうと思ったが、文鳥は自分から鳥かごに戻り餌入れの前で待っていた。
捨てられない・・・。

LINEで「文鳥を持って行ってくれ」と頼んだが、既読スルーだった。

「あんなにかわいがっていたくせに、薄情な奴だ!」
とメッセージを送ってやろうかと思ったが、やめた・・・。
でも「あんな薄情な奴、出て行って良かったのだ」と自分の中の納得に繋げようとした。

桜文鳥との二人暮らしは、3か月目に入った。
やっと、手に乗ってくれるようになった。
そこで「ヘソ天」も出来るかと試してみた。

右手に乗った文鳥を左手で優しく包むように持つ。
右手の人差し指で文鳥のお腹を撫でる。
暴れることもなく、文鳥はされるがまま。
やがて、気持ちよさそうに目を閉じ動かなくなった。
「ヘソ天」成功。

その様子を、彼女にLINEした。
「おめでとう!」
「何それ・・・、おめでとうって」
一人で笑った。

自分は気が付いた「自分はまだ、彼女の鳥かごの中にいるんだ」と。
 

 

いいなと思ったら応援しよう!