恐怖の円卓会議
「銀行は楽しいかい?」
全員が笑い、トップもつられて笑う
「定例の幹部会に、全員が出席できたことを、心から喜んでいる」
「当然ではあるけどな、当然だよな、当然全員出席だよな!」
「2ヶ月に1回、懇親を深めながらの重要な会議だ!楽しんでくれるよな!」
全員「勿論ですよ」と口々に唱えながらトップの顔を窺い、愛想笑いをする。
「皆、野球は好きだろう、これはオレの愛用のバットだ!」
全員、大笑いで拍手をする
「皆さんもご存知の通り、銀行を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、今期は特に、収益面でかなりの苦戦を強いられている」
「本来業務の収益源である預貸金利鞘は下降曲線を描き続けており、その対策としてフィービジネスに注力してきた。そのメインの商品が『投資信託』だ!」
幹部のほとんどが、「はい、そうです」と相槌を打つ。
「これまで銀行が取り扱うことのできなかった商品であり、銀行で販売するには、職員全員の協力が必要だ。特に幹部の皆さんの気持ちにブレがあってはならない、我々はチームなんだ!」
幹部の口から「チームワーク」と言う言葉が出て、幹部同士で目を合わせて頷く
「商品内容を十分に理解し、顧客への説明責任を果たし、個々の資産状況に適合した商品に投資していただく、そしてノルマを達成する。本物のチームにしか出来ない仕事だ!」
幹部の口から、「勿論」と言う発言が出る
「投資信託なんて銀行がやるもんじゃないとか、バカな発言をしている場合じゃない!」
そんな奴がいるのか?、と言う雰囲気で幹部が笑い出す。
「そんな奴がいると思うか?」
いるわけないと言う顔で、幹部達は両手を広げる。
「そうだよな!」
幹部たちは「当然」とお互いに目を合わす。
「オレが工作員をあちこちに配置していることは知っていると思うが、工作員の一人から、最近こんな話を聴いた」
「投資信託の販売に消極的な上に、経営批判ばかりしている幹部がいるらしいと、その幹部に言ってやりたことはないか?」
トップの目の前にいる幹部が、震える声で「大事なのはチームワークさ!」と言った瞬間、
トップは持っているバットで、その幹部の後頭部をめった打ちにした。
残る幹部達に笑顔は消え、頭を打ち砕かれる幹部から目をそむける。
血が滴る円卓を頭上からフカン画像でズームアウトしていく。
まさか、こんな「アンタッチャブル」な銀行があるわけはないが、
2ヶ月に1回の「エリア長会議」に出席していた時には、
後ろからバットで殴られる妄想をいつも抱いていた。
まさに円卓会議で、懇親会もあったし
