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連載 第18回 行ったつもりでWORLD息子よ、ケニア・ナクル湖を知っているか。と、「あのお方への思い」


息子よ、

世界には、一度見たら一生忘れられない景色がある。

ケニアのナクル湖。

ここは「鳥たちの楽園」と呼ばれる場所だ。

湖に近づくと、まず目に飛び込んでくるのは、一面を染めるピンク色。

最初は目を疑う。

「湖がピンク色?」

違う。

何万羽、時には何十万羽ものフラミンゴが湖畔を埋め尽くしているのだ。

まるで地球が描いた一枚の絵画だ。

ここまで来てこの写真を撮った「あのお方」はやっぱり凄い。

だがな、息子よ。

俺が心を奪われるのは、フラミンゴだけじゃない。

その群れの中を、悠然と歩くモモイロペリカンだ。

全長は1.7メートルにも達し、翼を広げれば3メートル近い。

近くで見ると、その大きさに圧倒される。

まるで恐竜の末裔だ。

フラミンゴは、細く長い脚で静かに湖面を歩き、小さなプランクトンを嘴で濾し取る。

一方、モモイロペリカンは巨大な喉袋を使い、豪快に魚をすくい上げる。

食べるものも、生き方もまるで違う。

それなのに、同じ湖で共に暮らしている。

自然というものは、本当に面白い。

敵ではない。

競争相手でもない。

互いの居場所を侵さず、一つの世界を作り上げている。

息子よ。

人間は、すぐに「違い」を理由に争う。

考え方。

国籍。

宗教。

価値観。

しかし、ナクル湖では、姿も大きさも食べ物も違う鳥たちが、ごく当たり前のように共存している。

誰に教わるわけでもなくな。

それを見ていると、

文明を築いたはずの人間より、

自然に生きる鳥たちの方が、

ずっと賢いのではないかとさえ思えてくる。

もし人生で一度だけ、大自然の奇跡を見に行けるなら、

俺は迷わずケニア・ナクル湖を選ぶ。

朝日に染まる湖。

風に揺れる無数のフラミンゴ。

その上を、翼を大きく広げたモモイロペリカンが静かに滑空する。

そこには人工物も演出もない。

あるのは、何百万年も変わらない命の営みだけだ。

息子よ。

この景色を目の前にしたら、

人間が作ったどんなテーマパークも、

どんなCG映画も、

きっと色あせて見えるだろう。

それほどまでに、ナクル湖は、

地球そのものが見せてくれる最高のショーなのだから。


たった一枚の写真の向こう側

息子よ、前にも言ったがな。

このシリーズに載せている一枚の写真。

これは、ネットで適当に拾ってきたものでも、どこかから借りてきたものでもない。

実際にその場所へ足を運ばれた「あのお方」が、自分の目で見て、自分で撮った写真だ。

そして俺は、きちんと許可をいただいて掲載している。

このシリーズも、今回で18回目になる。

つまり、18枚の写真を紹介してきたことになるわけだ。

でもな、息子よ。

俺は時々思うんだ。

俺たちは完成した一枚の写真を、ほんの数秒で見る。

「きれいだな」
「すごい場所だな」
「一度行ってみたいな」

それで終わる。

だが、その一枚が撮られるまでには、俺たちには見えないものが山ほどある。

旅のスケジュールを調整する。

体調を整える。

旅費を用意する。

長い距離を移動する。

そして何より、実際にそこまで行くだけの気力がいる。

でもな。

それ以上に俺がすごいと思うものがある。

「どんな所なんだろう?」

「行ってみたい!」

この気持ちだ。

そう。

人一倍の好奇心だ。

俺はな、自分にないものを持っている人には、素直にリスペクトを感じる。

知らない場所があれば調べるだけじゃない。

写真を眺めて終わるわけでもない。

「見てみたい」と思ったら、本当に行く。

これは簡単なようで、なかなかできることじゃない。

俺みたいに、グダグダと講釈を垂れている奴よりな、

実際に動いた人の方が、何倍もすごいんだよ。

知識なら、本を読めば増える。

今ならネットで世界中を見ることだってできる。

AIに聞けば、知らない土地のことだっていくらでも教えてくれる。

でも、

「そこへ行った」という事実だけは、誰にも代わってもらえない。

その土地の空気を吸った。

その景色を自分の目で見た。

そして、その場所に立ってシャッターを切った。

だから、このシリーズに載せている18枚は、単なる「きれいな写真」じゃないと俺は思っている。

一枚一枚の向こう側に、

「知りたい」
「見たい」
「行ってみたい」

という好奇心と、

本当に行ってしまう行動力がある。

俺がこのシリーズで紹介させてもらっているのは、景色だけじゃない。

その景色までたどり着いた、一人の人間の好奇心と行動力も、一緒に紹介しているんだ。

18回目の今回。

改めて「あのお方」へ。

素晴らしい写真を使わせていただいていることへの感謝。

そして、その旺盛な好奇心と行動力に、

心からのリスペクトと、称賛を贈りたい。

息子よ。

世界は広い。

そして、世界を広くするのは知識じゃない。

最後はやっぱり、

「行ってみたい」と思い、実際に一歩を踏み出す人なんだよ。


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